文藝春秋」2月号の特選記事を公開します。(初公開 2020年1月12日

 昨夏の参院選で重い障害を抱える2人が当選を果たすなど、大きなブームを巻き起こした山本太郎代表率いる「れいわ新選組」。山本氏自身は落選したが、参院選以降も「#れいわが始まる 山本太郎全国ツアー」と銘打ち、連日のように全国各地で演説会を開いている。

 一方で、山本氏と言えば、かつては過激な言動が物議を醸し、最近では大衆に迎合するポピュリストという批判も根強い。果たして、山本氏は本気で政策を考えているのか――。 

単身女性の3人に1人が貧困、毎年2万人以上が自殺

 そうした疑問に答えるべく、山本氏が「文藝春秋」2月号に「『消費税ゼロ』で日本は甦る」と題した論文を寄稿した。冒頭で山本氏はこう宣言している。

〈みんな本当に苦しんでいる。子どもの7人に1人、高齢者の5人に1人、一人暮らしの女性の3人に1人が貧困状態にあります。日本は今、生きていくのに、全く希望が持てない社会なのです。結果、毎年2万人以上が自殺し、50万人以上が自殺未遂をしている。そんな地獄のような世の中はもう終わりにしたい〉(論文より)

 にもかかわらず、安倍政権が2019年10月に踏み切ったのが、10%への消費増税だった。

〈もはや国民に対する“DV”と言ってもいい。許し難い暴政です〉(同)

 では、日本の経済と人々の暮らしを立て直すために、どうすればよいか。山本氏が最も効果的な施策と訴えるのが「消費税廃止」だ。しかし、消費税は制度の導入からすでに30年が経ち、税制度の大きな柱になっているのも確か。廃止など無理ではないか――そんな声も少なくない。

消費税を廃止したマレーシアを視察して

 だが、実際に消費税を廃止した国が身近にあるという。マレーシアだ。山本氏は2019年8月に現地2泊の強行日程でマレーシアの経済状況を視察。マレーシアでは2018年6月から6%だった消費税を事実上ゼロにし、代わりに2015年まで存在したSST(売上サービス税)を復活させた。SSTはいわば、贅沢税のようなものだという。

消費税廃止、贅沢税復活から1年、マレーシアの経済はどうなったか。マレーシアの19年4~6月期のGDPは前年同期比で4.9%増(日本は1.0%増)。両国ほぼ同様にGDPの6割を占める個人消費で見ると、7.8%増(日本は0.7%増)です〉(同)

 山本氏は、日本とマレーシアの成長率を単純には比較できないとしつつも、消費税廃止に個人消費を増やす効果があるのは明らかであり、〈マレーシアにできたことが日本にできないはずがない〉と訴えている。

どこから財源27兆円を引っ張り出すのか

 しかし、こうした消費税廃止論に対し、必ず指摘されるのが、財源の問題だ。単純計算で、消費税を廃止した場合、26~27兆円の財源が必要だという。

 どこから巨額の財源を引っ張り出すのか。消費税廃止で本当に庶民の生活は救われるのか。政策実現のために欠かせない野党の結集は可能なのか。

 こうした疑問についても、山本氏は「文藝春秋」2月号および「文藝春秋digital」に寄稿した「『消費税ゼロ』で日本は甦る」で、論拠を示したうえで詳しく答えている。“ポピュリズムの申し子”による本気の政策論文は大きな議論を呼びそうだ。

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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年2月号)

山本太郎氏 ©文藝春秋