米IBMは現地時間の1月30日、経営体制の変更を発表した。4月6日付で、クラウドとコグニティブ・ソフトウェアを担当するアービンド・クリシュナ シニア・バイスプレジデント(SVP)がCEOに昇格する。また、米IBMのシニア・バイスプレジデントも兼務する米レッドハットのジェームス・ホワイトハーストCEOも同日付でIBMの社長に就任する。バージニア・ロメッティ会長・社長兼CEOは4月6日以降も会長職のみ継続して務めるが、2020年末で退任する予定だ。

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 エンジニア出身の幹部であるクリシュナSVPは、AI、クラウド、量子コンピューター、ブロックチェーンなど、今後のIBMのビジネスの中核と位置づけられるテクノロジーの開発で大きな役割を果たしたほか、Watson事業の成長やレッドハット買収を主導した実績が評価されたという。Linuxディストリビューションコンテナ基盤である「Red Hat OpenShift」をはじめ、エンタープライズ向けのオープンソース・ソフトウェアと各種サービスを提供するレッドハットは、IBMにとってマルチクラウド・ハイブリッドクラウド戦略の要とも言える。CEOと社長を分離し、レッドハットのホワイトハーストCEOが社長に就任してクリシュナSVPとの二頭体制でIBMの経営を舵取りすることになる。レッドハットの重要性や、IBMが今後フォーカスしていく領域が明確に表現された人事と言えそうだ。(本多和幸)