昨年はアメリカ在住の12歳の少年が核融合炉の製作に成功しましたが、次なる猛者が現れたようです。
ニュージーランドの大学生が、自家製の「核融合リアクター」をつくり、同国最大のネットオークション「TradeMe」に出品しました。
開発者のサミュエル・リーさんは、マールボロ・ボーイズ大学に通う学生で、「授業料をまかなうために出品した」とのことです。
リーさんは、4000ドル(最低でも3000ドル)での売却を希望していますが、まだ買手は現れていません。
出品の詳細は、「TradeMe」に掲載されています。
https://www.trademe.co.nz/antiques-collectables/clocks-scientific-instruments/listing-2519182185.htm
ホームメイドの「核リアクター」は機能する?
すでにご察しの方もいるでしょうが、リーさんが製作したこの装置は、「本物同様の核リアクター」というわけにはいきません。
実際は、反応室内で少量のプラズマを発生させるジェネレーター(プラズマ発生器)で、「フィロ・ファーンズワース フューザー」と呼ばれる核融合装置の一種です。
アメリカの発明家フィロ・ファーンズワースが開発したこの装置は、反応室内で瞬間的に高温状態を作り出すことのできる核融合装置として誕生しました。
一方この装置は、小規模の展示用フューザーであれば素人でもつくることができ、愛好家の中には、自作のフューザーを公開する人もいます。以下の動画は、その内の一つです(リーさんの核リアクターではありません)。
リーさんの核リアクターもこれと同タイプのものですが、出品リストには「同梱された20グラムの重水素を加えることで、核反応を起こし、ヘリウムと中性子を作り出すことも理論的には可能」と記載されています。
しかし、パープル色のプラズマ光とは違い、観察したり、検出するのは難しいとのことです。
また、リストには、今回の工作は資格のある電気技師のもと行われている旨と、20分以上の継続使用はしないようにとの注意書きがされています。
基本的には、核反応を疑似体験ができる展示用とのことなので、安全に使用できるそうです。
核リアクターに詳しいニュージーランド・マッセー大学のヨアキム・ブランド教授は、リーさんの自家製リアクターについて「とても興味深い装置」とした上で、「プラズマ発生器は、蛍光灯の照明メカニズムに似たもの」と解説しています。
リーさんの自家製リアクターは、出品後すぐに多くの話題を呼びましたが、現時点((2020.2.14)で入札には至っていないようです。
はたして落札者は現れるのでしょうか。
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