アメリカで絶滅に瀕しているハイイロオオカミだが、2年前に生物学者によって追跡調査用の首輪がつけられていた雌のハイイロオオカミの死骸が発見された。どうやら仲間を探して長い道のりを歩き続けた末に死んだものとみられている。『UNILAD』『TIME』などが伝えた。

カリフォルニア州シャスタ郡で今月5日、絶滅危惧種のハイイロオオカミの死骸が見つかった。この雌のハイイロオオカミは2017年10月に生物学者によって追跡装置の首輪が装着され、“OR-54”と呼ばれていた。2016年にオレゴン州で生まれたOR-54は、3歳から4歳の間くらいで絶命したと見られている。

2018年1月23日のこと、OR-54が群れから外れて過ごしていることが判明し、同年2月にカリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)は「つがいを探しているか、もしくは別の群れを探して、新しい土地へと旅をしていると思われます」とOR-54が繁殖の相手、または仲間の群れを探していると声明を出していた。

それ以来、OR-54は7646マイル(約1万2千キロ)以上もの道のりを歩き続け、そのほとんどをカリフォルニア州北東部で過ごしたようだ。追跡調査用の首輪から、2019年10月~12月に一日13マイル(約21キロ)以上歩き続けていたことが判明したが、昨年の12月には追跡装置が作動しなくなったため、その後の動きは計測されていなかった。

米国生物多様性センター(CBD)によると、現在カリフォルニア州で確認されているハイイロオオカミは12頭もいないとのことだ。オオカミは家畜を襲うため、20世紀初頭から否応なしに人間の手によって殺され続けてきた。その結果、アメリカでは一部の地域を除いてハイイロオオカミ絶滅危惧種に指定している。

OR-54の死因は現在、CDFWによって自然な要因によるものか、もしくは意図的に殺されたのか調査中とのことだ。カリフォルニア州でハイイロオオカミは米連邦政府と州の絶滅危惧種法によって保護されているため、意図的に殺害した場合は最長1年の懲役と10万ドル(約1100万円)の罰金刑が科せられる。

なおOR-54が死ぬ前につがいの相手、または仲間の群れを見つけることができたのか否かは伝えられていないが、いずれにしても絶滅危惧種ゆえに孤独な生涯だったと思われている。

画像は『UNILAD 2020年2月9日付「Endangered Gray Wolf Found Dead After Walking 8,000 Miles To Find Mate」(US Fish and Wildlife Service/PA Images)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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