…2「ヨネダコウさすが!とうなってしまう絶妙な悶絶設定」より続く

元ネタ比較】『囀る鳥は羽ばたかない〜』3

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ヨネダコウ原作による人気BLコミック劇場アニメ化した『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』が公開となった。

ストーリーは原作とは大きく変わることがなかったが、むしろ劇場アニメとなったことでとてもわかりやすくなったことが少々気になった。いや、わかりやすくなったなら、それでいいのだが……。

前述のキャラクターについて「〜のようだ」と煮え切らない口調が多かったが、それは筆者が感じたことで明記されてるわけじゃないからだ。漫画としては当たり前のことかもしれないが、ヨネダコウの作品はいわゆる行間で語ったり、セリフがあっても表情は見せなかったりするため、読者の想像にまかせる部分がある。

それは映画のような雰囲気だと感じていたし、映像化とは相性がいいと思っていた。ただ、アニメとなるとそうもいかないためか、はたまた長い原作をまとめなければいけないためか、ダイレクトでわかりやすい表現が多いように感じた。

漫画を読み進めるうちに浮かび上がってくるキャラクターの内面が、アニメでは全面に出ている気がして戸惑ってしまった。これは原作が好きで読み込み過ぎたからこその弊害かもしれない。劇場には原作を読まずに見にくる観客ももちろん少なからずいるだろうし、ページを戻るなど自分のペースで読み進められる漫画と違い、アニメでは観客を置いてきぼりにしないことは大事だ。独りよがりな作品は嫌いだから、わかりやすくて不服を言うのはわがままかもしれない。

ヨネダコウ作品は好きでも、「囀る〜」の極道たちのドラマが苦手という向きにはその点もわかりやすくなっているのは良かったと思う。実は矢代と百目鬼のBLストーリーだけでなく、そこに極道たちの抗争のドラマが絡んでくるのが「囀る〜」のもうひとつの面白さでもある。

ただ、極道の強面のおじさんたちがいっぱい出てきてわかりづらいという声も聞くので、アニメキャラクターたちが動いて声もつき、わかりやすく整理されていれば面白く見ることができるだろう。初めて「囀る〜」の世界に触れる人たちも入ってきやすいと思う。

そう、初めてこの「囀る〜」の世界に触れる人たちがいる、そのこと自体に感動を覚える。一部の熱狂ファンに支えられていた傑作BLがフジテレビアニメレーベルによって劇場アニメ化され、全国のシネコンスクリーンで上映されるのだ。このお祭りに参加しない手はない。

劇場グッズバラエティに富んでいるし、オリジナルレモンスカッシュが劇場販売されることも決定した。なぜレモンスカッシュなのかは本編を見ればわかる。普段は劇場でドリンクなど購入しない筆者も買ってしまいそうだ。甘くて爽やかなはずのレモンスカッシュが作品を見ながら飲めばほろ苦く感じ、そのことが嬉しくなってしまうだろう。

今作『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』は現在6巻まで刊行されている単行本の2巻の中盤のあの衝撃的な事件までが映画化されていて、ええ!? これからどうなるの??というところまでで終わるので、早くも続編が待ち遠しくなる。(文:矢野絢子ライター

『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』は公開中。

『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』 (C)ヨネダコウ・大洋図書/「囀る鳥は羽ばたかない」製作委員会