ディー・エヌ・エーDeNA)は2月5日2020年3月期に、05年の上場以来初の最終赤字になる見通しだと発表した。要因は主力のゲーム事業の収益悪化で、493億円の減損損失を計上したためだ。19年4~12月期の赤字は501億円に上る。

 この発表を受け、翌6日、株価は一時10%も下落。市場が懸念したのは、減損処理の大半がヒット作が出ず、16年に清算した米ゲーム関連企業エヌジーモコののれん代だった点だ。

DeNAはIFRS(国際会計基準)を採用しており、のれん代は定期償却の必要はなく、収益悪化時に減損処理をすればよいので、違法性はない。ただ、市場は他にも価値を見直していない不稼働資産があるのではないかと疑念を持っている」(大手証券会社幹部)

 99年創業のDeNAは、携帯電話などで参加者が交流しながら遊ぶゲームサイトモバゲータウン」の大ヒットで急成長、13年3月期に連結売上高が2024億円に達した。

「『ガチャ』など、熱心なユーザーアイテム購入で収益をあげていた。だが、スマホへの移行が進むに連れ、ユーザーゲームサイトからアプリへ流れ、ビジネスモデルが崩れていったのです」(証券アナリスト)

新規事業も不調、唯一好調なのは……

 ゲーム事業の落ち込みをカバーするため、新規事業に力を入れてきたが、16年にキュレーション事業で無断転用が発覚し、医療情報のまとめサイトなどを閉鎖。遺伝子検査サービスなどのヘルスケアは赤字が続き、その他新規事業も累計で84億円の損失を抱える。収益化が期待されていた配車アプリMOV」は、4月1日タクシー大手の日本交通子会社と統合し、連結から外れることに。

 そんななか、唯一、右肩上がりで成長を続けてきたのが、プロ野球横浜DeNAベイスターズだ。

TBSオーナーだった時代は毎年20億円前後の赤字だったが、買収から5年経った16年に黒字化。横浜スタジアムの運営会社を子会社にして、球団と球場の一体経営を実現したことで、営業利益を10億円以上叩き出している。観客動員数も8年間で2倍になった」(同前)

 DeNAの運転資金は250億円だという。直近の自己資本比率は70%を超え、860億円超の現金等を持つことから財務面での心配はないが……。

「今すぐというわけではないが、このまま赤字が続くようであれば、ベイスターズの売却も視野に入れざるを得ないでしょう」(前出・大手証券会社幹部)

 ゲーム頼みの「一本足打法」からの脱却は遠そうだ。

(森岡 英樹/週刊文春 2020年2月20日号)

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