文藝春秋」2月号の特選記事を公開します。(初公開 2020年1月28日

 新年早々、イラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官(享年62)がイラクで米軍の無人機に攻撃され、殺害された。米軍が狙っていたのは、ソレイマニ司令官だけではない。ソレイマニ司令官殺害と同日、イエメンにおいて同部隊の財務部門幹部アブドル・レザ・シャハライ司令官の殺害作戦も実行されたが、こちらは失敗したという。

 そして、はるか極東の地においても、米軍が殺害を狙っていたターゲットが存在する。

 言わずと知れた北朝鮮金正恩委員長である。

 2017年に米国と北朝鮮の間で軍事的緊張が高まった際、米国政府は北朝鮮の核施設や弾道ミサイル基地に限定した攻撃を企図していた。作戦名は「ブラッディ・ノーズ(鼻血)作戦」と命名され、事実上「北朝鮮の指導部を含む、朝鮮人民軍への総攻撃」(アメリカインド太平洋軍幹部)が予定されていたのである。

大都市への天然痘ウイルス曝露まで想定

 金正恩排除後の懸念まで、米軍は緻密にシミュレーションしていた。アメリカ太平洋艦隊関係者が明かす。

「作戦立案の過程で、ある深刻な懸念が俎上に載った。もし総攻撃によって、北朝鮮の最高指導部(≒金正恩)のみを排除した場合のことだ。指揮系を失った残存部隊が暴走し、あらゆる兵器の使用をためらわない可能性だ。その兵器とは、核、細菌やウイルスなどの生物兵器、VXやサリンなどの化学兵器などの大量破壊兵器までを含む」

 具体的には、生物兵器を管轄しているある朝鮮人民軍幹部が天然痘ウイルスをひそかに持ち出し、ソウル、東京、ニューヨークなどの大都市に曝露した場合のシミュレーションまで行われていたという。

米軍の最大の課題は「ソウル防衛」だったが……

 さらには、米軍にとって「北朝鮮攻略の最大の障壁」と昔から言われてきた、北朝鮮の野戦砲についても、綿密な検証が行われていた。38度線付近には北朝鮮の野戦砲がズラリと並んでいるが、これをすべて稼働させれば、北朝鮮は最初の1時間で最大7万2000発もの砲弾をソウルに撃ち込める。実際、北朝鮮は「ソウルを火の海にする」との脅し文句をたびたび用いている。

 そこで、いかにこれらの野戦砲を無力化し、ソウル防衛を図るかが、米軍の最大の課題であった。2017年危機の際も、米軍はソウル防衛についての綿密なシミュレーションをおこなっている。

 ところがそれから3年が経ち、米国側にはある変化が起きているという。

「極端に言えば、ソウルの防衛より、アメリカの戦略的目標を達成することを優先するということだ」(アメリカ太平洋艦隊元幹部)

 いったいなぜ、米国はソウル防衛を格下げしたのか? いざ戦争になった場合、米軍はどのような行動をとるのか? そして、わが日本の自衛隊にはどのようなミッションが与えられるのか?……その衝撃的な内容は、「文藝春秋」2月号および「文藝春秋digital」掲載の麻生幾氏のレポート「2020年の『朝鮮戦争』」をご覧下さい。

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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年2月号)

金正恩委員長