株式会社Ales(代表取締役 藤井竜太郎)はAIによるストーリー生成ソフトウェアのプロトタイプ「フルコト」の開発に成功いたしました。フルコトは当社が独自に開発したP-S-L技術を利用して、脚本家の創作手法に沿ったストーリーを出力する世界初のAIシステムです。


AIスピーカー、自動運転、お掃除ロボット。AIのめざましい進歩は、ますます生活を便利にしてくれています。便利よりも素晴らしい未来。そう考えた時、会長の松原仁を中心に当社Alesが注目したのは『AIと創造性』という分野でした。小説、ライトノベル、漫画、アニメ、映画、ドラマ、ゲームなどなど。全てに共通していること、それは"物語/ストーリー"を持っていることではないでしょうか。我々は、AIが"物語/ストーリー"を語り始めることを夢見て、壮大な開発構想を思い描きました。そのエッセンスを詰め込んだプロトタイプが遂に完成しました。プロトタイプに「フルコト」という名前を与えました。我々とともに、成長を続ける「フルコト」が自由に"物語/ストーリー"を語り始めた未来を想像してみませんか。大げさではなく、世界のエンタテインメント業界にも、AIによる大きな変化がもたらされることを我々は確信しています。変化は時に議論を呼び、摩擦を生みます。しかし、気が遠くなるほどの変化の繰り返しこそが、人類の進化の歩みだと我々は考えています。我々Alesは変化を恐れず、人類のより豊かな未来を勝ち取るために、たゆまぬ前進を続けます。


日本固有の起・承・転・結という創作手法を学ぶため、我々が最初に始めたのは、一線で活躍する脚本家や作家の方々からのヒアリングでした。そこから、起・承・転・結の創作手法とAIを繋ぐ独自のデータフォーマットが生まれました。起・承・転・結の創作手法を独自のデータフォーマットを使用し、AIによる創作へと昇華させた結果、生まれたのが「フルコト」です。「フルコト」のベースとなっているのは、当社が開発したP-S-L技術です。
(P)プロットライングラフ、(S)感情分析(Sentiment Analysis)、(L)ログラインこの3つの要素を複合的に評価、判断することで、人間が理解できるストーリーを起・承・転・結に則して作成する技術、それがP-S-L技術です。今回のプロトタイプでは、脚本の世界で言うところの、大箱を起・承・転・結それぞれについて作成しました。さらにその大箱に対して中箱を4つずつ作成しました。その結果、短編映画の映像制作に耐えうる、脚本の生成に成功しました。

今後、当社はこの脚本の映像化プロジェクトに取り組んでいきます。映像は近日公開予定です。同時に、「フルコト」は更なる複雑で多種に及ぶストーリーを、短編という域を越えて創造していく、本格的な開発フェーズを迎えます。共にご期待ください。

※ P-S-L技術については現在特許出願中

【Alesとは?】


弊社Alesは2018年6月にはAI研究の第一人者でもある、はこだて未来大学副理事長松原教授を取締役会長を筆頭に、自然言語処理分野におけるAI開発を主軸としましたAI開発ベンチャーです。
他にもAIに関するソリューションのコンサルティングや、それに付随する付帯事業も展開して参ります。
今後は、主にエンタテインメント領域においてAIの自然言語処理を活用しましたサービスの提供を目指し、エンタテインメント分野におけるAI開発会社としてトップランナーを目指して参ります。

設立年月日:2018年6月1日
代表取締役:藤井 竜太郎
本社所在地:北海道函館市梁川町6-6
東京オフィス東京都品川区五反田5-22-7
https://ales-ai.com/

松原仁のコメント
松原仁
人工知能が与えられたむずかしい問題を解くことは、将棋や囲碁で名人を越えたことからもわかるようにある程度できるようになってきました。しかし、新たなものを創り出す創造性については人工知能はまだ人間に遠くかないません。8年ほど前から、コンピュータ星新一さんのようなショートショートを生成させることを目指す「きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ」をスタートさせて研究を行なってきました。2015年に人間とコンピュータが共同で作った作品を星新一賞という文学賞に応募したところ、一次審査を通過したということで大きなニュースになりました。小説を作ることは、ストーリーを作る、そのストーリーを日本語の文章にする、という2つのステップに分けることができますが、人工知能が担ったのは後半の部分でした。前半のストーリーを作る部分も人工知能に任せたいということで、その部分に集中して試行錯誤を重ねてきましたが、このたびその第一段階として「フルコト」を作成しました。このシステムはまだ試験版ですが、起承転結に沿った破綻のないストーリーを生成することができます。ストーリーは映画、マンガ、アニメ、ゲームそして小説の共通の基盤になるものであり、これから「フルコト」の本格版の開発を目指して頑張っていきたいと思います。

▪️株式会社Ales取締役会長
東大理学部情報科学科卒業、同大学院工学系研究科情報工学専攻博⼠課程修了。 工学博⼠。
人工知能、ゲーム、情報学、観光情報学などを研究。「AIに心は宿るのか」ほか著書多数。
公立はこだて未来大学副理事長、前人工知能学会会長、前情報処理学会理事、観光情報学会理事など多数歴任。


長谷敏司氏のコメント
ライトノベルで、ウェブ発の小説がトレンドを作るような状況が現れているように、エンタテインメントとデータは、着実に近づきつつあります。そして、この接近の行き着くところは、今の段階でもある程度見えています。受け手の摂取する行為自体からユーザーデータを取得して、AIが読みたい物語を生成してくれることです。
「フルコト」は、この生成システムの進化の系統樹のはじまりにあたります。シナリオを起承転結に沿って自動生成できるようになったので、次はキャラクターの魅力を増してゆくように物語を生成してください。そして、次は、投稿プラットフォームのユーザーデータを自動取得して、現在の人気タグに合うエピソードを適宜配置した物語です。枝葉として、作中キャラクターの管理システムを置き、人間関係を物語にフィードバックできるとなおよいです。生成システムの、人間にはない強みのひとつは、長い物語を破綻なく作るシステムを確立すれば、長編や連載作品を人類には不可能なほど大量に生み出せることです。大量に生み出せたら、AI読者に読ませて、高いスコアをとったものを遺伝的に生存させて、ヴァーチャルにクオリティ保証された物語を読者に提供してください。浴びるほど大量に、いつまでも終わらない物語を。大きな流れの第一歩を、商売敵ではありますが、こころからよろこびたいと思います。夢物語というなかれ。

▪️作家
大阪府出身。2001年「戦略拠点32098 楽園」にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。
『あなたのための物語』が第30回日本SF大賞と第41回星雲賞日本長編部門に、「allo,toitoi」が第42回星雲賞日本短編部門にノミネートされた。2015年『My Humanity』(3作とも早川書房)にて第35回日本SF大賞受賞。


多和田紘希氏のコメント

「フルコト」の魅力は二つあります。一つは日本語で物語が書けること、もう一つは起承転結を守れることです。当たり前のことですが日本語というものは、日本の自然や精神風土を表現するのにぴったりの言語ですし、日本語を用いて作られたストーリー・コンテンツ、例えば映画、マンガ、アニメ、ゲーム、小説などは、その独特な存在感によって世界中にファンがいます。英語など他の言語を扱う人工知能はたくさんあるのでしょうが、日本語で物語が書ける「フルコト」は、あの日本の独特な存在感を表現するのに一番合っている気がします。また起承転結というのは、日本の小学校では作文の時に習うのだと思いますが、実はストーリーの構成方法として世界的に珍しいものです。そんな起承転結を守れる「フルコト」は、たぶん日本的な語り口を持っているということで、その点でもまた日本文化から漂いがちな、あの奇妙だけど美しい独特さ、の表現にぴったりなのだと思います。最後に「フルコト」は枕草子や源氏物語日本書紀にも出てくる、昔の言い伝えや物語を意味する言葉だそうです。「フルコト」が作り出した物語のいくつかが、この先100年か1,000年後、名前通りのふることになることを期待しています。


▪️脚本家・構成作家
静岡県浜松市出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修士課程修了。ナショナル ジオグラフィックなど国内外の映画、ドラマ、CMで活躍。株式会社THE U.D.S. 所属。御茶の水美術専門学校講師。本件システム開発にあたりアドバイザーを務める。

配信元企業:株式会社Ales

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ