6月23日の公式ニコニコ生放送ドラゴンクエストX TV 〜ドラゴンクエスト10だけに10時間ぶっ通しで生放送やっちゃおうスペシャル〜」の中で、ビックリするような発表があった。

DQXプレイ動画生放送と配信がニコニコ動画で可能になります!」

ええええええ、そんな大事なことをニコ生で発表しちゃうの! いや、でもニコ生の話題をニコ生で発表してるんだからこれでいいのか。深夜に放送を見ながら、この日は日本のゲームカルチャーを語るうえで、きっと大きな節目になるだろうなーと思った。

実はニコニコ動画でもっとも多く投稿・配信が行われている動画ジャンルは、「VOCALOID」でも「歌ってみた」でもなく「ゲーム」だったりする。遊んで楽しむだけがゲームじゃない。「誰かが遊んでいるのを、みんなで野次を飛ばしながら見る」という楽しさをニコニコ動画は教えてくれた。あ、その前に「有野の挑戦」があったか、まあいいや

一方で、ゲームプレイ動画には「著作権」という大きな問題がつきまとっていた。ゲームは基本的にメーカーの著作物だから、無断でその映像や音楽を配信すれば著作権侵害になる。今まではメーカーはこれを「黙認」していたが、今回スクエニは「黙認」ではなく「公認」するよと発表したわけだ。

詳しい利用方法はこちらのページに書いてあるとおり。いくつかルールはあるが、特に申請などは必要なく、書かれていることさえ守れば誰でもすぐに配信を行うことができる。
ドラクエと言えばスクエニドル箱タイトルだし、キャラクターデザインには鳥山明サウンドにはすぎやまこういち大御所が名を連ねる。たぶん権利関係の調整は他のゲームと比べてもかなり大変だったはずだ。だからこそ「そのドラクエ」で真っ先に動画配信を公認したことは大きな驚きだった。

ところで「黙認」が「公認」になると、何がいままでと変わるんだろう?
たぶん、表面的にはほとんど何も変わらない。今までだってドラクエ10プレイ動画はたくさん投稿されていたし、一部ネタバレを含むものを除けば、ドラクエ10ユーザーの動画投稿・配信に対してわりと寛大な方だった。

しかし、それでも「黙認」と「公認」とでは全然違う。
黙認されているとは言っても、許諾を得ずに動画を配信すればそれは違法スレスレのグレー行為だ。さいわいなことに、僕が知る限り訴訟にまで発展したケースはまだないが、「訴訟寸前」まで行ったことはあった。黙認前提であるかぎり、ゲーム動画はいつまでたっても裏通りの文化のままだ。

公認にしてしまうといろいろ面倒なことになる、だから黙認が一番無難ーーというメーカー側の立場はよく分かる。でも結局、そのリスクを背負わされているのは動画投稿者だ。黙認だから当然、メーカーに「配信してもいいですか」と尋ねれば、メーカー側はダメと言うしかない。投稿者は違法であることを承知で、無断で動画をあげざるを得ない。何かあった時の責任はすべて投稿者もちだ。
もちろん「著作権を持っているのはメーカーなんだから文句言うな」と言われればそれまでだが、それにしたって動画投稿者の立場が弱すぎる。

僕がここまで動画投稿者の肩を持つのは、「プレイ動画」というものが、ゲームの遊び方、楽しみ方を今以上に広げてくれるものだと思っているからだ。

ゲームは「プレイヤーがいないと完成しない」という点において、映画や小説などとは大きく性質が異なる。すでに自分で遊んだことがあるゲームでも、他人が遊んでいるのを見ると、まったく違う攻略方法やプレイスタイルに驚かされたりする。ドラクエ4の第5章で、シンシア主人公幼なじみ)がいた花畑に「はねぼうし」が落ちていたなんて、僕はしんすけ実況プレイ動画で見るまで気付かなかった(これについてはエキレビのアライユキコさんが書いたブログがすばらしいのでぜひ読んでほしい)。10人いれば10通りの楽しみ方があるのがゲームという娯楽だ。

ゲームプレイ動画は、確かに著作権の観点から見れば違法スレスレかもしれない。でも同時に、ゲームという文化をもっともっと拡張してくれる可能性も持っている。それをメーカー側の都合で押さえつけてしまうのは、巡り巡って結局、自分自身の首を絞めることになると思うのだ。

ーーなどと僕が力説するまでもなく、今度発売されるプレイステーション 4には、誰でもすぐにプレイ動画を投稿・配信できる「シェアボタン」が付くというし、セガの「ぷよぷよ!!」のように、早くからルールを守れば動画投稿や配信を認めているゲームもすでにあった。海外のゲームなんかだと「YouTubeリプレイを投稿する」機能が普通に付いているものも多い。遅かれ早かれ「公認」に向かう流れはあったのかもしれない。

いずれにしても、面白いことになってきたな、と思う。
ゲームの動画配信がもし当たり前になったら、きっとゲーム自体の遊び方もまた変わってくるはずだ。

だからとりあえずみんな、ドラクエ10配信しようぜ!
(池谷勇人)

ニコ生で配信公認が発表されたときの映像。利用方法を守れば、個人使用の範囲に限って(営利利用はダメ)、ニコニコ動画・ニコニコ生放送・ニコニコ静画などのニコニコモンズ対応サイトでプレイ動画を配信することができる。