愛称呼びが多いアルゼンチン出身サッカー選手 その謎にスペインラジオ局が迫る

 アトレティコ・マドリードディエゴ・シメオネ監督の愛称が、「エル・チョロ」であることは周知の事実だ。しかし、つけられた理由とそれが何を意味するのかまでは、ほとんど知られていない。スペイン紙「AS」は、スペインラジオ局「カデナ・セール」で放送された指揮官のインタビューを引用し、なぜ「エル・チョロ」なのかを紐解いている。

 アルゼンチン出身のサッカー選手は愛称で呼ばれることが多い。現在リーズ・ユナイテッドを指揮するマルセロ・ビエルサ監督は「エル・ロコ(変人)」と呼ばれ、パリ・サンジェルマンアルゼンチン代表MFアンヘル・ディ・マリアは「エル・フィデオ(細身のパスタ)」、マンチェスター・シティアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロは「クン(日本のアニメキャラ由来)」だ。過去には、「エル・プルガ」「エル・ラトン」「エル・ピオホ」といった愛称で親しまれたアルゼンチン出身のサッカー選手がいた。元アルゼンチン代表MFのシメオネ監督も同様で、「エル・チョロ」という愛称を持っている。

 同じくアルゼンチン出身のリオネル・メッシは、「レオ」とファーストネームのリオネルを短縮した形となっている。しかし、シメオネ監督の「エル・チョロ」はそういった短縮形には当てはまらない。「チョロ」はラテンアメリカの先住民族インディオを意味する語だが、シメオネ監督にはそういった血統はないため、その愛称の意味が謎とされていた。

「カデナ・セール」で放送されている番組「エル・ラルグエロ」は、「なぜエル・チョロという愛称なのか」を本人に直撃。シメオネ監督が自ら経緯を説明している。

ベレス・サルスフィエルドのユースを率いていたスピネット監督が命名

1970年代にカルメロ・シメオネという選手がいて、彼はチョロと呼ばれていた。彼は右サイドバックとしてボカ(・ジュニアーズ)でプレーしていて、アルゼンチン代表でもプレーした選手だったと思う。1985年頃、ベレス・サルスフィエルドのユースチームアルゼンチン代表MFとしても活躍したビクトリオ・スピネット監督が指揮していた。ある日、彼が私のことを『チョロ』と呼んだ。それが決定打だった」

「エル・チョロ」という愛称がつけられた日のことを振り返ったシメオネ監督だが、「チョロ」の意味に関しては「分からない」という。

 シメオネ監督が70年代に活躍したという故カルメロ・シメオネ氏は、1950年代後半から60年代にかけてベレスやボカ・ジュニアーズで活躍した選手。愛称も同じ「チョロ」となっているが、シメオネ監督との血縁関係はない。しかし、愛称の由来となったことは間違いないようだ。

 結局のところ「エル・チョロ」という愛称は、14〜15歳の少年が70歳を過ぎた偉大な監督から“ノリ”でつけられたもののようだ。(Football ZONE web編集部)

アトレティコのシメオネ監督が愛称の誕生秘話を話した【写真:Getty Images】