最終電車で熟睡している人を見て、「あの人は無事に下車できるのだろうか」と不思議に思う人は多いのではないでしょうか。

小田原

 実はそのまま、最終駅まで行き着いて目覚めてから途方に暮れてしまう人も案外多いとか。今回はそんな乗り過ごし常習犯に、その理由と乗り過ごしたときの対処法について伺いました。

電車好きで、長時間の通勤も苦痛でない

 東京都の上野にあるIT企業に務めている小杉亮介(仮名・25歳)は、横浜市にある実家から毎日1時間以上かけて通勤しています。ただ、日常の通勤はそれほど苦痛と感じてはいないといいます。

10時始業なので通勤ラッシュは避けられますし、大学時代から電車通学だったので『痛勤』だと思ったことはありませんね。それに学生の頃は、青春18切符に乗ってあちこち旅するほどの電車好きなこともあり、1時間以上の通勤も入社前から不安に感じることはありませんでした」

 ただ、盲点に気がついたのは入社して3か月ほど経った頃でした。その日、小杉さんは会社の先輩たちと深酒してしまい、酔っ払って東京駅から東海道線最終電車に乗車。

 ぐっすりと座席で眠ってしまい、気がついたら小田原駅だったのです。

小田原駅近くのカラオケで一泊

カラオケマイク
イメージです(以下同じ)
「いつもですけど、目を覚ました瞬間『やってしまった』と頭を抱えてしまいますね。大学の時もたまに乗り過ごしてしまっていましたが、社会人だと次の日も仕事で簡単には休めないですし、後悔は思った以上に大きかったです(笑)

 その日は小田原駅近くのカラオケボックスで一泊し、始発で一度、実家に帰ってから出社した小杉さん。

 そのときは「飲み過ぎないように注意しよう」と考えを改めたといいますが、お酒好きな人が多い職場ということもあり、その後も2か月に一回は乗り過ごしてしまっているようです。

立ったまま寝てしまう…長時間通勤の盲点

 次の日の仕事にも影響する可能性もある「乗り過ごし」。

 小杉さんも「乗車する電車を1本早くする」「お酒を飲んだ後はしっかり締めて、眠らないようにする」などの対策を打ちますが、どれも大きな効果はなく、横浜駅で降りることができませんでした。

「早めの電車に乗っても最終駅から折り返しの電車でまた眠ってしまい、横浜駅を通過して川崎駅で目を覚ましたこともあります。あのときはハンバーガーショップで一泊しましたね(笑)

 最終的に「帰りの電車は椅子に座らない」という手段を取った小杉さん。しかし、それでも目覚めたら小田原駅でした。

「さすがに頭を抱えました。立ったまま熟睡してしまっていたんですよね。大学時代は研究室のタイルの床の上で寝ていましたし、どこでも寝られる自信はあったのですが、ここまでとは思いませんでした」

 会社に新卒で入社してそろそろ丸一年が経つこともあって、早朝に帰ってくる小杉さんを見る家族の視線も痛くなってきたと小杉さんはいいます。

お酒を控えつつも…。最終手段は引っ越しか!

引っ越し

 現在、小杉さんは深酔いしないように飲み会などではお酒を控えているとか。ただ、元々、お酒が好きな小杉さんにとっては少し物足りないようで、乗り過ごし対策も兼ねて引っ越しを検討している最中だそうです。

「ずっと実家暮らしということもあって、一人暮らしをしたいと考えています。希望は会社の近くか、同僚や上司と同じ沿線の物件ですね。そうすれば、眠ってしまったとしても最悪起こしてもらえますから(笑)

 お酒のせいで、普段の通勤が「痛勤」になることもあるようです。2~3月は引っ越しが特に多い時期なので、物件探しをしている人も多いと思います。隠れた痛勤の要素を見過ごさないためにも、「駅までの距離」や「通勤時間」だけでなく広い視点を持って住む場所を決めてみてはいかがでしょうか。

― 特集・私の“痛勤ラッシュ”レポート ―

TEXT/藤広冨之 イラストカツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>

【藤広冨之】

本業は会社員のWebコンテンツディレクターアラサーで上京し、複業でライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰を務める