テクノロジーの進歩とデータ量の増加による次世代通信網「5G」の商用化、eコマース(電子商取引)の拡大に伴う爆発的な物流の増加、少子高齢化による人口構造の変化と急速な都市化の進行など、今、私たちのライフスタイルを変えるような“大きな時代のうねり”がみられます。こうした社会の変化は“メガトレンド”と呼ばれ、世界に大きな変化をもたらしつつあります。“メガトレンド”を背景に、不動産投資信託(REIT)においても変化が見られ、新たな投資分野が拡大しています。

 三菱UFJ国際投信は「次世代REITオープン」を2月14日に設定しました。同社金融法人営業第二部長の山内恭一氏(写真:右)、運用委託先のコーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インク(以下、コーヘン&スティアーズ社)の日本法人であるコーヘン&スティアーズ・ジャパン代表取締役社長の板井健氏(写真:左)に、当ファンド設定の「背景」や「特徴」などを伺いました。

 ――まず、当ファンド設定の背景について教えていただけますでしょうか。

山内氏:これまでグローバルREITは、オフィス、商業施設や集合住宅の分野を中心に拡大してきましたが、米国を中心に、新しい分野の物件を保有する、「次世代のREIT」といえるようなREITが急速に拡大しています。

板井氏:収益性の観点で見ても、次世代のREITは、保有する物件のキャッシュフローの成長率が高く、伝統的なREITに比べ高いパフォーマンスを上げています。

山内氏:今後このトレンドは米国のみならず、グローバルに拡がっていくと考えており、今回、次世代REITに着目した投資を行い、成長期待への投資機会をお客さまに提供するため、当ファンドの設定に至りました。

 ――次世代REITとはどういった分野なのでしょう?

山内氏:当ファンドが投資する次世代REITは、情報技術の進歩や急速な都市化の進行、人口構造の変化等のメガトレンドの恩恵を受ける分野のREITとしています。現時点では、(1)通信データ量の増加により必要とされる通信塔、データセンターといったテクノロジー関連REIT、(2)eコマースの拡大や都市化の進行に伴い多様なニーズに対応する物流施設や倉庫といったロジスティクス関連REIT、(3)人口構造の変化に伴い新たな需要が発生している戸建住宅・簡易住宅、シニア住宅及び学生寮といったニュースタイル関連REITの3つの分野に注目しています。

板井氏:例えば、世界のデータ通信量の拡大を背景に通信塔REITやデータセンターREITは需要が高まっていますが、その特殊性から参入者が限られ、利用者が長期の契約を結ぶことが多く、安定した利益成長に繋がっています。なお、日本では通信会社が自前の通信塔を保有することが一般的ですが、米国をはじめ海外では、事業効率の改善や通信品質の向上等の観点から、ひとつの通信塔を複数の通信会社が賃貸する「インフラ・シェアリング」が進んでいます。こうした通信塔を保有するのが通信塔REITです。日本でも、5Gを見据えたインフラ・シェアリングの動きは活発化しています。

 また、Amazonなどにより、グローバルのeコマース販売比率は2015年に7%だったものが2019年には約13%に達すると予想されています。これに伴い企業において、商品の発送・保管を行う付加価値の高い物流施設REITへの需要が高まっています。ニュースタイル関連REITは、馴染みのない分野かと思いますが、例えば戸建住宅REIT・簡易住宅REITがあります。これは米国において、世帯形成層が戸建住宅を購入するのではなく借りる、退職者層が老後のためにサービスが充実した簡易住宅に住み替えるといったライフスタイルの変化に対応した住宅ニーズが高まっており、REITの中でも成長している分野の一つです。

 戸建住宅REITは戸建物件を大規模に取得し改修・管理・運営を行い、居住者は賃料を支払います。簡易住宅REITは工場で組み立てられた住宅のコミュニティを保有・運営しています。居住者は、通常、建物を保有し、借地料、公共料金、プールやフィットネス・センターなど付帯設備の利用料を支払います。

 これら3つの分野のREITは、メガトレンドによる構造的な需要を背景にキャッシュフローが増加している点が特徴です。

 ――運用を担うコーヘン&スティアーズ社についてお聞かせください。

板井氏:同社は、1986年に米国初のREITに特化した運用会社として設立されました。REIT市場の拡大に伴い業界最大規模の投資運用チームを形成し、ニューヨーク本社の他、ロンドン、香港、および、東京にオフィスを構え、グローバルな体制で運用を行っています。また、リソースを集中的に投入することで日々戦略を磨き、REITに特化したスペシャリストを育成し続けています。その高い専門性とREIT投資のパイオニアとして長年培ってきたリサーチ力やノウハウを活用し、日本の投資家の皆さまに魅力ある次世代REITの投資戦略をご提供していきたいと考えています。

 ――では最後に、お客さまに向けてメッセージをお願い致します。

山内氏:今回のファンドのコンセプトは、一昨年前から当社とコーヘン&スティアーズ社で着目し、議論を重ねてきて商品設定に至りました。これまでのREIT投資では、投資時点の配当利回りに着目することが多かったと思いますが、当ファンドは、メガトレンドの恩恵を受け成長が期待される、新しい分野のREITに投資することによって得られる成長の果実であるリターンを享受することが期待されるファンドになっております。当ファンドは、これまで伝統的なREITに投資を行ってきた方や、メガトレンドによる成長への投資機会を考えている投資家の皆さまに、ぜひともご検討いただきたいファンドの一つです。(情報提供:モーニングスター社)

配当利回りじゃない! メガトレンドによる成長の果実を取り入れる「次世代REITオープン」誕生