昨年12月ニューアルバム『CONQUEROR』 をリリースしたBAND-MAID2月13日、14日に、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で全国ツアー『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 【進化】』を行った。2年前から始まった世界征服を掲げたツアーで、【宣告】、【侵略】、【激動】と国内、国外と多くの場所でお給仕を展開。この日、21年2月11日日本武道館でのワンマンお給仕を発表した。約2時間全23曲を熱演した14日の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

BAND-MAIDの進化を脳裏に焼き付けて

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 この日はちょうど2年前に覚悟と宣告を込めたアルバム『WORLD DOMINATION』をリリースした日。様々な経験を積んだ彼女たちをひと目見ようと、会場となったLINE CUBE SHIBUYAは2日間ともソールドアウト。多くのご主人様お嬢様たちが湧き上がる期待感と共に待ちわびるなか、SEが流れ、オーディエンスはクラップでメンバーの登場を迎え入れる。

 そして、新衣装を纏った5人がステージに登場し、AKANE(Dr)の重戦車のようなツーバスドラムからハードナンバー「輪廻」でお給仕の幕は開けた。イントロで小鳩ミク(Gt.Vo)はフライングVタイプのギターで、ステージ前方でヘッドバンキング、そしてクールな低音を響かせるSAIKI(Vo)の歌声で高揚感を煽る展開にオーディエンスも腕を掲げアクセル全開のスタート。LEDを使用した演出でさらに興奮を煽る。

 そして、今の彼女たちの意思を感じさせる「Blooming」で会場に鮮やかな花を咲かせるような、アグレッシブなパフォーマンスで魅了。ステージから伝わってくる進化への気概。堂々としたパフォーマンスはサウンドにも大きく表れていた。

 MCからのアルバム『CONQUEROR』でも、アルバム最後のピースとしてお給仕映えする1曲を入れたかった、と小媒体のインタビューで話していた「Dilemma」から、海外でも人気の高いキラーチューン「glory」への流れはより会場の熱を高めてくれた。SAIKIのエナジーみなぎる歌声がオーディエンスを牽引していくよう。フロントマンとしての役割をワンステップもツーステップもレベルアップしていることを感じさせるパフォーマンスだ。続いての「FREEDOM」では、良い意味での余裕を感じさせるステージングが印象的で、各々がステージ上を自由に動き視覚的にも魅せる。

 ここでミディアムナンバーの「PAGE」を届けた。ステージ後方のLEDには鮮やかな万華鏡のような映像が、楽曲の世界観を後押し。バンドが奏でる“間”を大事にした演奏に優雅に乗り、メロディを歌い上げるSAIKI。そして、鮮やかにステージを彩ったグリーンのレーザーが印象的だった「Mirage」と、ニューアルバムからのナンバーで、勢いだけではない、わびさびをもコントロールする今のBAND-MAIDを感じさせた。

 SAIKIは「BAND-MAIDの進化を脳裏に焼き付けて、これからもついてきて下さい」と語り、大きな歓声が上がる中、KANAMI(Gt)と2人でアコースティックアレンジの「YOLO」を披露。SAIKIは情感を込め、そのエモーショナルな歌声にオーディエンスも静かに耳を傾ける。SAIKIは「まだまだスペシャルは続きます。この方に来ていただきましょう」と続いてMISAを呼び込むと会場からは“MISAコール”が巻き起こった。

3人で「Puzzle」(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 そして、3人で「Puzzle」を届けた。MISA(Ba)は滑らかなスライドを交えたフレーズで彩り、間奏ではベースソロも披露。フルバンドの時とはガラッと楽曲の印象変えたアコースティックセクションは、言葉の一つひとつがダイレクトに響き渡る。

 お給仕も「カタルシス」で中盤戦へ。LEDパネルを使用した歌詞を投影する圧巻の演出。そして、オーディエンスのシンガロングが高らかに響いた「Bubble」と再び会場の温度は上昇していく。

 ステージに紗幕が降りると、炎をイメージさせる映像とのシナジーで聴かせた「The Dragon Cries」を投下。世界的プロデューサーのトニー・ヴィスコンティとの共同作業で生まれた新機軸となる1曲は、大陸の壮大さを感じさせ、しっかりと地に足をつけたサウンドで展開。そして、ギアを上げテンポアップし、SAIKIのハイトーンが光る「I can’t live without you.」はオーディエンスの心の導火線に火をつけるかのような激しさを打ち出していた。

世界征服へ向けてまっすぐまっすぐ走って行くっぽ

「The Dragon Cries」の演奏の様子(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 メンバーが一旦ステージを去ると、クラブサウンドが鳴り響き、小鳩タイムへと展開。この日はバレンタインデーということで、チョコレートを客席へ投げ入れるサービスも。「さらに成長している姿を見せる」と意気込みを話し、2年前から始まったばかりツアーを振り返る。「このコーナーがツアーで一番進化しなくてはならないコーナーだったと思ってますっぽ」と話し、お給仕恒例の「おまじないタイム」へ。

 AKANEとMISAがドラムセットのところで、サンプリングした小鳩の声を使って「萌え萌え、キュンキュン」とお株を奪うというまさかの展開。怒る小鳩は意地を見せ、テンションの高い声でコール&レスポンスを展開し、小鳩ボーカル曲の「TIME」で、SAIKIとはまた違った魅力のある歌声でオーディエンスを煽情。小鳩は「小鳩タイムも世界征服へ向けて大きくなっていくので、今後とも宜しくお願いします」と躍進を誓い、ライブは後半戦へ突入。

 5人のグルーヴが熱い渦を作りだした「Wonderland」から、インディーズ時代のナンバーから「alone」、そして、真っ赤に染まるステージが闘争本能を煽った「DICE」では、楽しそうに演奏するKANAMIが印象的。ギターソロでは流れるような早いパッセージで畳み掛け、鮮烈なフレーズで魅了する。

 「Don’t you tell ME」で再びシンガロングで一体感を高めていく。小鳩、KANAMIMISAの3人がステージ前方でアグレッシブな演奏を叩きつけ、難易度の高いナンバー「Play」でボルテージはうなぎ登りに高まっていく。フィナーレへ向かうにつれて、演奏もどんどん鋭さを増していくのが体感できた「DOMINATION」で完全に会場をコントロール、支配していた。

 SAIKIは集まったご主人様、お嬢様に感謝を伝え、「最後にみんなで一緒に歌いませんか」と投げかけ、オーディエンスの声も響き渡るなか、更なる大きなフィールドへの決意を感じさせた「endless Story」で、“生きる証”を提示しお給仕を締め括った。

 小鳩は「世界征服へ向けてまっすぐまっすぐ走って行くっぽ」とメッセージを述べ、メンバーが去ったステージに紗幕が降りてくると、そこに投影されたのは前日に解禁された7月から始まるZeppツアー、4月29日に本公演の模様を収録した映像作品のリリース、さらにこの日は2021年2月11日日本武道館でのワンマンお給仕を発表。割れんばかりの大きな歓声がホールに響く中、『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 【進化】』は大団円を迎えた。

日本武道館発表の瞬間(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

 バンドの一体感はこれまで以上に高まっている事を感じさせ、5人の意思が同じ方向にしっかりと向かっていることで放たれるエナジーに満ちたお給仕だった。Zeppツアーも日本武道館もきっと通過点だと感じさせてくれるお給仕になるだろう。

セットリスト

BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 【進化】』
2月14日@東京・LINE CUBE SHIBUYA

01.輪廻
02.Blooming
03.Screaming
04.Dilemma
05.glory
06.FREEDOM
07.Choose me
08.PAGE
09.Mirage
10.YOLO
11.Puzzle
12.カタルシス
13.Bubble
14.The Dragon Cries
15.I can’t live without you.
16.TIME
17.Wonderland
18.alone
19.DICE
20.Don’t you tell ME
21.Play
22.DOMINATION
23.endless Story

「The Dragon Cries」の演奏の様子(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

MISA(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

小鳩ミク(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

SAIKI(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

AKANE(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

KANAMI(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

MISA(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

KANAMI(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

3人で「Puzzle」(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

小鳩ミク(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

SAIKI(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

AKANE(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

(撮影=MASANORI FUJIKAWA)

日本武道館発表の瞬間(撮影=MASANORI FUJIKAWA)