プレミアリーグでは早くもリバプールファンのお祝いムードが漂う中、何としてでも優勝を阻止しようと立ち上がった少年がいる。

ここまで25勝1分け無敗という圧倒的な強さで首位を直走るリバプールは、2位のマンチェスター・シティとは勝ち点22差で、あと5勝で自力優勝出来るところまで来ている。マンチェスター・ユナイテッドのファンだという10歳のダラー・カーリー君は、どうにかしてライバルチームの優勝を阻止できないかと考えに考え抜いた結果、相手指揮官ユルゲン・クロップ監督に手紙で直接お願いする方法に辿り着いた。

アイルランドアイリッシュタイムズ』が紹介している手紙の内容はこのとおり。切なる願いが伝わってくる。

「親愛なるユルゲン・クロップ監督へ。僕の名前はダラー。10歳です。アイルランドの小学校に通っています。僕はマンチェスター・ユナイテッドを応援しています。この手紙を書いているのは文句を言うためです」

リバプールは試合に勝ちすぎです。あと9試合このままだと、イギリスで一番長く負けないチームになってしまいます。それだとユナイテッドファンはとても悲しみます」

「だから次の試合は負けてください。お願いします。相手に点を取らせあげてください。この思いが届くことを願っています。ダラーより」

これほど真っすぐで心に染みるメッセージなんてあっただろうか。この少年と同じ気持ちのファンは多いのではないだろうか。

普通なら聞き流してしまうようなものだが、クロップ監督は見事な対応を見せた。なんとその少年に向けて手紙を返したのだ。リクエストには応えられないとしながらも、小さなユナイテッドファンに希望を与える言葉を綴った。

「親愛なるダラー、まずは手紙のお礼を言いたい。これが激励やそういった類のものでないことはわかっている。だが、いつだって若いフットボールファンの声に耳を傾けるのはいいことだ。手紙をくれてありがとう」

「だが残念なことに、このリクエストを許可することはできない。君がリバプールに負けてほしいと願う気持ちと同じように、世界中の何百万というリバプールファンは優勝を願っている。そんな彼らの手助けをするのが私の仕事だ。私も他のチームを打ち負かしたいなんて思っていない」

「でもね、我々は過去に何度も負けてきたし、これからも負けるだろう。それがフットボールだ。問題は10歳の君が今思っているように、我々のこの状態が変わらずにいつまでも続くかどうかだが、52歳の私が言えることはただ一つ。そんなことは決してない」

「だが、この手紙を読んで私も変らないと断言出来ることが一つある。それは君のフットボールやクラブに対するパッションだ。マンチェスター・ユナイテッドは君のようなファンがいて幸運だ」

「たとえ我々が幸運にもより多くの試合に勝ってトロフィーを掲げることが出来ても、君があまり失望しないことを願う。なぜなら我々が偉大なライバルであっても、お互いに大きな敬意を分かち合うことが出来るからだ」

「これは私にとってフットボールのすべてだ。お大事に、幸運を。ユルゲン」

これにはダラー君のみならず父親のゴードン氏も目を丸くしたようだ。「クロップ監督を称賛しないといけない。ダラーは信じられない様子だったが、学校で先生や友達に自慢して回ったみたいだ」とコメント。ドイツ指揮官英国紳士さながらの神対応に、同じくユナイテッドファンの父も関心した模様だ。

サムネイル画像