ハロー!プロジェクトの5人組アイドルグループ・こぶしファクトリーが、3月30日のTOKYO DOME CITY HALLでのコンサートをもって解散します。メンバーの年齢は18歳から20歳で、まだまだ“これからだ!”というタイミングでの解散を惜しむ声が多いのも事実です。

 

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公式サイトに発表されたコメントによると、2019年初めにリーダーである広瀬彩海さんが所属事務所に対し、「ハロー!プロジェクトを卒業し、新しい道を進みたい」との思いを報告。そこからメンバー間で話し合いをした結果、2020年3月いっぱいでの解散となったとのことです。広瀬彩海さん、野村みな美さん、浜浦彩乃さんの3人は、解散と同時にハロー!プロジェクトを卒業し、ソロとして活動。和田桜子さんは芸能界を引退。井上玲音さんはハロー!プロジェクトに残留し、アイドル活動を続けます。

こぶしファクトリーの結成は2015年1月なので、活動期間は約5年2か月となります。過去のハロプロで正式に「解散」、もしくは「活動停止・休止」した主なグループの活動期間は以下の通りです。

 

太陽とシスコムーンT&Cボンバー):約1年8か月

美勇伝:約3年11か月

カントリー・ガールズ:約5年

メロン記念日:約9年10か月

Berryz工房:約11年2か月

℃-ute:12年

 

Berryz工房℃-uteの活動期間が長いのはメンバーが小学生時代に結成されているという影響もあるわけですが、単純に数字だけ見るとこぶしファクトリーの5年という活動期間は、決して長いものではないけど、短すぎるわけでもないといった印象です。とはいえ、こぶしファクトリーに、『Berryz工房スピリットを受け継ぐ』というコンセプトがあったことを考えると、ファンとしては「もうちょっと見たかった」という思いが大きいのも当然でしょう。

 

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では、どうしてこぶしファクトリーは解散という決断に至ったのか。それはもう公式コメントを受け止めるほかないのですが、まさにメンバーそれぞれが次なる夢を持ったからとしか言い様がありません。

アーティストになるために今の環境を変えたいと思った広瀬さん然り、女優の道に進みたいと思った野村さん然り、自己プロデュースをして様々な分野で活動したいと思った浜浦さん然り、自分の人生を自分で切り開こうとする若者を止める権利など、誰にもありません。これはもう本当に仕方ない。

それと同時に、和田桜子さんの「私にとって、こぶしファクトリーはすごく大切な存在で、5人で活動することに意味がある、この5人でなければ、という気持ちが強くありました」というコメントも重要です。誰かか欠けたら、こぶしじゃない。こぶしじゃなければ意味がない――。8人組としてスタートし、1年で3人が抜けるという試練を超えてきたこぶしファクトリーなのですから、今の5人に強いこだわりを持つのは当然のこと。“こぶし組”と呼ばれるファンだって同様に、「5人でこぶしファクトリー」ということに対して強い思い入れがあるはずです。

 

こぶしファクトリーは、2019年5月に東京と大阪で初めての単独ホールコンサートを行いました。“単独ホールコンサート”は、早い段階でこぶしファクトリーの目標として公言されていたものです。正確な情報はありませんが、おそらく初ライブハウスツアーを成功させたあたりから、そういった目標を口にしていたはずです。

そして、初単独ホールコンサートとなった2019年5月3日中野サンプラザ公演のMCでは、2020年にホールツアーを行い、2021年に日本武道館公演を成功させたい――と、次なる目標を掲げていました。このときは、ファンも輝かしい未来を描いたことでしょう。

しかし、それらの目標を果たすことなく、解散を選んだメンバーたち。もしも、ホールツアーと日本武道館公演という目標が達成できそうな現実があれば、解散しなかったのではないか……と、勝手な想像をしてしまうのも事実です。

 

ちなみに主なハロプログループの結成から初めて日本武道館公演までの期間はこんな感じです。

 

モーニング娘。:約2年8か月

Juice=Juice:約3年9か月

アンジュルム(初武道館公演はスマイレージ時代):約5年3か月

℃-ute:約8年3か月

Berryz工房:約10年10か月(さいたまスーパーアリーナでの単独公演は、結成から約3年3か月で達成)

 

仮に、こぶしファクトリーが2021年に初武道館公演を行ったとしたら、結成から約7年での達成となります。現役グループのモーニング娘。アンジュルムJuice=Juiceと比べると、少々時間がかかってしまうことになるわけです。

メンバーたちが、なかなか日本武道館公演が実現できないでいる現状を見つめ直す中で、こぶしファクトリーとしての限界を感じてしまった可能性もあるかもしれません。もちろん、グループの形なんてひとつではないし、℃-uteのように初日本武道館公演まで長い時間がかかったっていいはずです。でも、ハロー!プロジェクトという枠組みの中にいると、どうしても他のグループと比較してしまう部分もある。そんな事情が、メンバーたちの決断に影響したのかもしれない……。

 

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しかし、こういった現実が、メンバーたちに次なる一歩を踏み出すタイミングを与えてくれたと、捉えることもできます。人生には大胆な決断をしなくてはならない時もある。こぶしファクトリーには、そのタイミングがほんの少し早く訪れたのです。

解散を発表した後のこぶしファクトリーは、これまでと変わらないどころか、これまで以上に楽しそうに活動をしています。ラジオのレギュラー番組では相変わらずギャーギャー騒いでいるし、ブログでも楽しそうな日々を綴っている。そして、3月4日に発売されるラストシングル『青春の花/スタートライン』について、とにかく自画自賛しまくっている!

心の中には寂しさや悔しさもあるだろうに、こぶしファクトリーとしての残された時間を最大限に謳歌しているのです。

前向きな彼女たちの姿を見てもなお、落ち込んでいるなんて、こぶし組の名が廃る! メンバーたちも、こぶし組が解散を前向きに受け止めてくれると信じたがゆえに、決断できたはず。そんな気持ちに応えるためにも、こぶし組がすべきは3月30日までこぶしファクトリーとともに楽しむことなのです!(文◎大塚ナギサ)

 

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CD『青春の花/スタートライン』より