WOWOWが、宝塚歌劇の各組選りすぐりの公演や大劇場公演を放送する『宝塚への招待』。2020年2月29日(土)の放送にて、昨年10月に宝塚歌劇団を退団した元星組トップコンビゆずる綺咲愛里が、星組公演『Killer Rouge』を副音声解説で登場する。放送に先立ち、2月16日(日)都内映画館にて、紅と綺咲の副音声解説公開収録が行われた。収録後にはトークイベントが開催され、このたびイベントのレポートが到着した。

劇場の後方から紅、綺咲が登場し、客席の間を通ってステージに上がると、劇場は拍手と歓声に包まれた。紅は「みなさま、お久しぶりでございます」、綺咲も「久しぶりにみなさまとお会いできて嬉しいです」とファンとの久々の“再会”に満面の笑みを浮かべた。

収録開始前は、意気込みを問われ、紅は「解説になるかどうか…ガヤになります(笑)!」綺咲は「こんなに(ファンの)近くで、緊張しますね」と語っていたが、いざ収録がスタートすると、2人とも、自分以外の演者の歌やセリフまで口ずさみ、さらに「キラッキララキラッキラールージュ!」と決めゼリフも振り付きで披露するなどノリノリ! 互いを「あーちゃん」、「さゆみさん」と愛称で呼び合いながらトークを展開していく。

とはいえ、自身の公演の模様をファンの前で、映像で見返すということに2人とも慣れていないようで、オープニングできらびやかな衣装の綺咲が登場すると、当の綺咲は「メチャクチャ恥ずかしいですね!」と赤面。続いて、巨大な龍と共に“ルージュ”紅が登場するが、紅は「この衣装、メチャクチャ重かったんだよね! 回った時に遠心力で(衣装がぶつかった)セットの龍がえぐれたくらい重かった!」と当時の苦労を述懐する。

この後も2人は、シーンごとに稽古場での思い出や公演時のエピソードなどを告白。台湾公演の思い出、各シーンに散りばめられたファンにとっては胸が熱くなるような粋な演出、小道具への愛情などを熱く語り合う。中盤の万里柚美が登場するタンゴのシーンでは、紅が「実はこの曲の時、私は……」とある衝撃のエピソードを明かし、会場が大爆笑に包まれる一幕もあった。

2人がそろって宝塚歌劇団を退団して約4か月となるが、映像を見ながら紅が何度となく「懐かしいなぁ…」と漏らせば、綺咲も「みんなに会いたくなりますねぇ」とポツリ。宝塚を退団して、外の世界に出たからこそ気づく、宝塚のステージの魅力も多いようで、2人とも幾度も「宝塚って本当にすごいところだと思う」「宝塚に入れてよかった」「本当に唯一無二ですね」などと宝塚への深い“愛”を口にしていた。

もちろん、互いの魅力についてもたびたび言及。紅が「(在団中の)トップ時代は、相手役があまり『かわいい』なんて言うのもあれなので、言わなかったけど、『ウチの嫁はかわいいだろ!』と思っていたから」と言えば、綺咲も恥ずかしそうに「ダンナさんは世界一カッコいいです」と語り、会場を沸かせた。

副音声を終えて感想を求めると、2人とも「あっという間でした!」とニッコリ。続いての番組用のトーク収録では、それぞれのお気に入りのシーンや台湾公演時に抱いていた不安や強い覚悟、さらに、宝塚退団後に2人で行った「宝塚プルミエール」の香川ロケのエピソードなど、多岐にわたるトークを展開。「○×」コーナーでは「退団後に始めたこと」「宝塚所属当時との生活の違いでびっくりしたこと」、さらには「子どもの頃に死にかけた」エピソードなどについて語り、会場は驚きと笑いに包まれていた。また、2人は“今後”の進むべき道、ビジョンについても語ってくれた。こちらのトークの模様は番組にて放送される。

さらに、番組収録後、会場に足を運んだファンのためにトークセッションが行われた。事前に観客から集められた質問に2人が回答。「お互いの長所を5個以上教えてください」という質問(お願い?)には綺咲は「5個じゃ語り切れない! 絞り切れないです」と語り「まずは見た目部門」と断った上で「端正。大きい手、長い手が好きです! 等身バランスがすごい! あと、ニコっとなる笑顔が好きです!」ともはや愛の告白状態。

一方、紅は綺咲について「誰もが認めるかわいさ、等身バランスがいい」とビジュアル面でのかわいらしさを称賛しつつ「こんなにかわいいけど、中身はメッチャさばさばしている。でも、それを見せないよね? 私は知っているよ(笑)」と知られざる内面についても言及。特に紅が探し物をしていたり、困っている時に、綺咲のパワフルな一面が発露するそうで「(紅が上着を探してると、綺咲が下級生に向かって)『さゆみさんの上着! 上着!』 (紅がペンを探していると、綺咲がすぐに周囲に対し)『ペン!ペン!ペン!』って(笑)。食事に行って私が『あれ? スプーンって言ったのに…』と言ったら、すぐに『取ってきます。(店の人に)すみません、スプーンを!』って。すごく頼もしいんですよ」とニヤリ。この暴露に綺咲は「だって、さゆみさんが所望しているんですよ! それは必死になりますよ!」と恥ずかしそうに釈明し、会場は再び笑いに包まれていた。

また「いままで演じた中で、一番好きな役は?」という質問に、紅は「本当に幸せだと思ったのはパーシヴァルブレイクニー(『THE SCARLET PIMPERNELスカーレット ピンパーネル)』)。でも、この役をやったことで舞台人生が変わったのは、『オーシャンズ11』のテリー・ベネディクト」と明かす。両公演とも小池修一郎が演出を務めているが「あんなに厳しく言ってくれる人はいないです。(『オーシャンズ11』で)『あなたがダメだったら、この作品は全然ダメ』って言われて、愛のある追い込みをいただきました」と感謝の思いを口にする。

同じ質問に綺咲は、なかなかひとつに絞り切れないようで、しばらく頭を悩ませていたが、そんな綺咲に対し、紅がボソボソと何かを耳打ち…。すると綺咲は、紅と夫婦役を演じた『ジャン・ルイ・ファージョン -王妃の調香師-』のヴィクトワール・ファージョン役を挙げ、恥ずかしそうに「畏れ多くも初めてのキスシーンを経験しました」と語り赤面。紅は、この時のキスシーンについて「(綺咲が)最初はただのろう人形でした(笑)。『愛してるよ』『私も』とか言いつつ、どこ見とんねん! って感じで…」と振り返ると、綺咲は「だって目を見れないんですもん! さゆみさんが(すぐ近くの)ここにいるんですよ!」と語り、仲むつまじい“夫婦”のトークを久々にファンの前で披露していた。

(左から)紅ゆずる、綺咲愛里