中国国家衛生健康委員会は2月19日、同省で新たに新型肺炎感染者349人確認し、そのうち武漢市では新たに615人と発表した。中国版ツイッターの微博では、武漢市の新たな感染者がなぜ湖北省の新たな感染総人数より多いのかと疑問が相次いだ。

中国共産党機関紙・人民日報は同日、2月13日から採用した臨床診断を廃止したためだと説明した。臨床診断とは、ウイルス検査で陽性の結果が出ていなくても、新型肺炎特有の症状の有無で感染しているかどうかを判断する方法だ。

新方式に従い、それまで症状があってもウイルス検査が陰性である患者の数は、感染者数から引かれた。しかし本来、陰性と判断された人数は累計の感染者数から引くべきだったが、当局は当日の感染者数から引いたため、武漢市は湖北省全体よりも感染者数が多くなったという現象が起きた。

湖北省の衛生当局、衛生健康委員会は、武漢市を含む省内の5都市の新たな感染確認者628人から、孝感市など10都市からウイルス検査が陰性である279人を引き、「全省の新たな感染確認者349人」とした。

アメリカの外交専門誌フォーリン・ポリシーは「診断方法の変更が政治的な要素を排除できない」との見方を示した。

中国当局は2月13日、湖北省トップの蒋超良・党委員会書記を更迭し、後任に応勇・上海市長を充てた。同日、公表された2月12日同省の新たな感染者数は、前日の1638人から約9倍増の1万4840人となった。

応勇氏が、蒋氏が離任する前に「感染確認されていない症例を確認し、それを合算して、感染拡大の責任を前任者に負わせようとした」との見方がネット上で広がった。

応勇氏が湖北省トップに就任してから、発表された感染者が徐々に減る傾向となった。この理由は当局は企業活動の再開を急いでいるためだとフォーリン・ポリシーは指摘した。浙江省と広東省は最近、隔離措置を緩め始め、市民の外出が少しずつ増え始めたという。

為替データの提供元であるオアンダ・アジア・パシフィック(Oanda Asia Pacific Pte)の市場アナリストを務めるジェフリー・ハリー氏はブルームバーグに対して、再三にわたって診断方法を変更する中国当局は「人々を混乱させる」と指摘した。「長い目で見れば、各国は中国の旅行制限を延長する可能性もあり、中国経済にとって打撃を与える」

香港大学のベン・カウリング(Ben Cowling)疫学教授はネイチャー誌に対して、頻繁に診断方法を変更するのは「異常なことだ」とし、「CT検査という臨床診断を今後行わなくなる恐れがある」と潜在的な感染者の発見ができなくなると指摘した。

ネットユーザーも「新方式で新しい感染者の数を減らそうとしているだけだ。新しい(省の)トップはこんな芸当ができるとは思わなかった」と批判した。

(翻訳編集・張哲)

中国武漢市の紅十字会医院。写真は1月25日撮影(HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)