21日、2020シーズンのJ1リーグが開幕した。今シーズンからはVARが導入され、シーズン開幕前に行われたJリーグビジネスカンファレンスにて、Jリーグ副理事長・原博実氏が宣言していたとおり、オンフィールドレビューがスタジアム内のビジョンに映し出された。
 
 オンフィールドレビューが初めて使われたシーンは69分、湘南ベルマーレの石原広教がこぼれ球に反応してペナルティーエリア内に持ち込むと、それに対応した浦和レッズの鈴木大輔と競り合う。ゴールライン際で、鈴木がラインの内側にボールを残したように見え、プレーはそのまま続行された。浦和の攻撃へと転じ、ゴールラインを割ったところで、湘南の選手たちが抗議し、プレーが中断された。

 そして70分、佐藤隆治主審はVAR判定を示し、オンフィールドレビューが行われた。Shonan BMW スタジアム平塚のスタジアム内ビジョンに主審がチェックしているVAR映像が流されると、湘南サポーターが陣取るゴール裏から歓声が沸き起こった。映像には、鈴木が競り勝ったあと、ゴールラインを割ろうとしているボールを右手でラインの内側に押し戻したのが写っていた。ほどなくして、佐藤主審はペナルティスポットを指し、PKの判定。タリクが蹴ったPKはクロスバーに嫌われ、追加点とはならなかった。

 このPK失敗が重く響き、試合は湘南が2-3で敗戦。試合後の両監督による会見では、浦和の大槻毅監督は「とにかくあいまいなプレーをせず、やり切ることを指示した。こちらが得点したあと、『取り消されるんじゃないか』という思いが少しよぎりました」と語ると、湘南の浮嶋敏監督は「私の位置からはわかりませんでしたが、映像を見直せば確かにハンド。VARはお互いにとってフェアだと感じました」とコメントし、肯定的な見方を示した。

スタジアム内ビジョンに映し出されたVAR映像 [写真]=兼子愼一郎