新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業の間でも社員に対して、人混みを避けるなどの指示が出ているようだ。

たとえば、日経新聞電子版(2月14日)によると、ヤフーでは100人以上が集まるイベントへの参加を原則禁止にしたという。

ただし、難しいのは、プライベートへの介入だ。ヤフーの場合も、禁止となるのは業務に関係するものだけで、プライベートについては対象外だという。

一方、ある中小企業では、新型コロナ問題を受けて、「中国への渡航は原則禁止」というアナウンスがあったという。

社員が業務時間外に行う活動について、企業はどこまで口出しできるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。

プライベートへは原則介入できない

ーー新型ウイルスのような緊急事態なら、企業は社員のプライベートに口出しできるんでしょうか?

職場で感染が広まれば、経営に大きな影響が出ますから、企業が従業員の行動に関心を寄せるのは当然でしょう。

しかし、純粋に私的な行動にまで企業が命令や指示をすることはできません。

従業員は私生活も含めて全活動や行動を企業に売り渡しているのではありませんから、従業員の私生活の領域まで企業が権限を行使してその行動を抑制することはできません。

業務に関係したものは制限の余地あり

ーーでは、セミナーなど、仕事とも関係あるイベントについての制限はどうでしょう?

純粋に私的な行動ではなく、業務に関連したイベントに参加することならば、企業の意向を尊重すべき場合、あるいは守るべき場合もあり得るかもしれません。

参加は企業からの命令ではないが、自己のスキルアップや業務上の情報収集の一環、顧客開拓のツールとして何らかのイベントに参加するような場合です。

企業がイベントへの参加自粛を求めたり、具体的な条件を設定した上で参加を禁止したりという措置をとることが許されることもあり得ます。

ーー会社の措置に違反すると、不利益な扱いを受けることはありますか?

内容や程度にもよるでしょうが、処分が「適法」「有効」と判断されることもあると思います。

たとえば、イベント参加者から感染者が広がったというような事実が報道されたとき、そのイベントに参加した自社の従業員に対し、ウイルスの潜伏期間とされる間は出勤停止などの措置をとるような場合です。

【取材協力弁護士
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URLhttp://www.imai-lawoffice.jp/index.html

新型コロナで「中国渡航やイベント出席は禁止」 会社はプライベートに口出しできる?