スマホを使用している人の多くがSNSを利用していますが、その実態はどのようなものでしょうか。「2018年度SNS利用動向に関する調査」(ICT総研)によると、ユーザー数は、LINE(8200万人)、フェイスブック2600万人)、ツイッター(4500万人)、インスタグラム(3300万人)という結果でした。その中でも、LINEはすべての年代で最も支持されているSNSであることが分かっています。

 今回は、ウェブコンサルタントの松浦法子さんに、LINEの優位性と他のSNSとの比較について伺いました。松浦さんは、LINE評論家としてメディアに多数出演、講演活動なども積極的にこなしています。近著には「コストゼロでも効果が出る! LINE公式アカウント集客・販促ガイド」(翔泳社)があります。

他のSNSを凌駕するLINE

 松浦さんは、他のSNSと比較しても、LINEは圧倒的な優位性を保っていると解説します。

 国内の通信インフラとなったLINEは、2011年6月23日にサービスを開始して以降、インターネット回線を利用した無料トークや無料通話を軸にコミュニケーションアプリとして普及しました。現在では、日本の人口の半分以上にあたる8200万人ものユーザーが利用しています。

 先行するフェイスブックやツイッターの国内ユーザー数をはるかに超え、アクティブ率においても圧倒的優位を誇っています。毎日、スマホを持っているほとんどの人がLINEを使い、日本国内の「通信インフラ」として定着したといっても過言ではありません。さらに、LINEの情報出現率は他を圧倒しています。

フェイスブックやツイッターはシステムの仕様上、いくらフォロワーであってもすべての情報を見られるわけではありません。フェイスブックページはエッジランク(フェイスブックのニュースフィードで、ハイライトに表示する情報をユーザーごとに最適化するアルゴリズム)により情報が間引かれ、ファンのニュースフィードへのリーチ率(タイムラインの出現率)は平均16%です」(松浦さん)

「ツイッターは時系列ですべて表示されますが、時間とともに流れてくる他の情報によって、あっという間に情報が流れてしまいます。さらに、フォローユーザーの『お気に入りツイート』『人気のツイート』『関連性の高いツイート』などの情報をシステムが自動的にレコメンドとして投稿を追加するので、他の情報にタイムラインが占領されてしまい、せっかく発信した情報を見てもらえないことが多いです」

 一方で、LINEはすべてのメッセージが表示されます。LINEは他のSNSのように拡散性はありませんが、圧倒的な数のユーザーに対してプッシュ通知をリアルタイムに発信することが可能です。

 これは、ビジネスとして活用する上で最大の武器になると考えることができます。

企業のLINE向け施策は急務である

 スマホが主流になる前まで、コミュニケーション手段の中心はメルマガでした。しかし、メルマガは携帯電話会社が用意しているフィルターがかかるようになり、相手に届かなくなります。さらに、LINEの登場でメールを使用しなくなり、メルマガ自体読まれなくなっていきます。

 注目すべきは、LINEの開封率です。松浦さんは、LINEの開封率がメルマガ全盛期のメルマガ開封率の5倍以上、メッセージからのクリック率は20倍以上であることを指摘します。スマホに特化したLINEの機能により、タップすれば、電話をかけたりメールを送ったり、ウェブに誘導したりすることが簡単にできるようになりました。

 2019年4月にLINEが他のサービスと統合され、LINE公式アカウントとしてリニューアルしました。しかし、詳しい集客・販促手法はあまり知られていません。利用者は、金銭的な特典をどれだけ受けられるかで店舗を選ぶ傾向が強くなっています。店舗側は、少ない経費で専用ツールを使えるようにもなりました。マネタイズ効果をいかに上げるかが成功の秘訣(ひけつ)になっているのです。

 LINEは無料でスタートし、ビジネスで課金をするビジネスモデルです。リアルタイムに反応があり、クリック率が高く、開封率まで高いのならLINEを利用しない手はありません。皆さまは、LINEを効果的に活用できていますか。

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之

LINEが持つ圧倒的な優位性とは?