新型コロナウイルスの発生源とされる中国・武漢市で、人々は今も感染によって命を脅かされる日々を送っている。そんな中、武漢市内に40台ほどの移動式焼却炉が搬入された。中国メディアの多くは医療廃棄物を焼却するためと伝えているが、感染者の遺体の火葬を義務付けられている中国国内からは「遺体を火葬するためでは?」といった声があがっているようだ。『香港01』『Daily Star』などが伝えている。

中国国内で7万5千人以上(22日時点)の新型コロナウイルス感染者が確認されているが、そのうちの6万2千人以上が武漢市のある湖北省での感染で、死者においては2千人以上にのぼる。中国政府は感染の収束に向けて武漢封鎖や感染者の遺体を迅速に火葬させるなどの対策をとっている。

そんな中、武漢政府が移動型焼却炉を新たに導入したようだ。『香港01』によると、この焼却炉は上海交通大学環境科学与工程学院のチームが開発したもので、40台ほど武漢に搬入されたという。また『中国船舶新闻网』では、感染者の治療のために使われた医療廃棄物を処理するためのものだと伝えている。

移動型焼却炉は標準のコンテナサイズとほぼ同じで長さ6メートル、幅2.4メートル、高さが2.6メートルほどである。固形の廃棄物は粉砕してから焼却し、排出される煙を浄化する機能まで搭載されている。

また炉の中の温度は850度にまで達するため、ウイルスが完全に死滅するとともにわずか2秒で焼却が完了し、一日最大5トンの医療廃棄物を処理できるとのことだ。

ところがこの移動型焼却炉の側面には、医療廃棄物と動物の死骸を処理することを意味する「垃圾和动物尸体处置方舱」と中国語の記載があった。そのため『新唐人電視台』や一部メディアでは、医療廃棄物だけでなく動物の死骸も焼却するためだと伝えていることから、中国国民の脳裏には「感染者の遺体を焼却するためではないか」という疑念がわいたようだ。

国立台湾大学政治学科の明居正名誉教授も「この移動型焼却炉は遺体焼却のためではないか」と示唆しており、Facebookには焼却炉の写真とともにその使用目的の明示を訴えるコメントを投稿している。そんな明教授の投稿には、次のような意見が集まった。

「動物の死体焼却って言っても動物は感染しないのに…。」
「これがもし感染者の遺体にというなら、いったい何人亡くなっているんだろう。」
「死体って本当に動物なの?」
「まあ、人間も動物だからね。」

中国では現在、感染によって亡くなった遺体は葬儀することも許されず、迅速に近隣施設で火葬しなければならない。『Daily Star』によると、武漢の火葬場で働いている人物が感染による死者が急増しているため長時間労働が続いていることを伝えており、これらの理由から人々が移動焼却炉の使用目的について疑念を抱いてしまったのだろう。

画像は『香港01 2020年2月20日付「【武漢肺炎】武漢增「移動式焚化爐」 兩秒焚醫療垃圾﹑動物屍體」(中國船舶報 圖片)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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