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ムッソリーニがラリーに出場

text:Lizzie Pope(リジー・ポープ)
image:Ashley Border/Archivio Luce(アシュレイ・ボーダー/アルチヴィオ・ルーチェ

ベニート・ムッソリーニが最初のオーナーだった稀少なアルファ・ロメオ6C1750スペル・スポルトに、徹底的なレストレーションが施されることになった。現在は写真のような状態だが、最終的にはコンクール・レベルのコンディションにまで仕上げられる予定だ。

このアルファ1930年1月、イタリアの独裁政権で知られるムッソリーニに納車されたと、資料に書かれている。当時の価格は6万リラだったという。ムッソリーニがこのアルファを運転し、ローマ・オスティア間で行われたラリーの一区間を走っている様子を収めたフィルムも残されている。

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新車当時のアルファ・ロメオ6C1750SS

数奇な運命から残っていたこのクルマの写真や映像は、失われたかつての姿を取り戻すための手掛かりとなるだろう。

レース仕様に改造された現在の姿

ムッソリーニのコレクションとして数年を過ごした後、この車台番号6C0312898は、1937年3月21日にレナト・ティジッロに買い取られた。同年8月、東アフリカエリトリアの首都アスマラに運ばれたと推定される。

オリジナルはスタビリメンティ・ファリーナ製ボディのスポーツ・レーサーだったが、この時代にフェンダーやウインドシールド、ヘッドライトなどの公道走行用装備が取り外され、現在のようなレース仕様に仕立てられたようだ。

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現在のアルファ・ロメオ6C1750SS

当時、エリトリアイタリア植民地だった。その首都アスマラではイタリア人の若者たちによって、多くのヒルクライム公道レースが行われていた。

オリジナルの状態を復元するために

現在このアルファを所有する人物は、オリジナルの状態に戻したいと考えていた。英国サイレンセスターのレストア業者であるソーンリー・ケルハムが、この難しい仕事を請け負うことになった。

既に始まっている詳細な研究によって、このクルマの歴史と1930年代当時の姿が明らかになった。現在のグリルはオリジナルではなく、ボディ・パネルの多くも変更されていることが判明した。

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アルファ・ロメオ6C1750SS

シャシーとリア・アクスル、ギアボックスはオリジナルのままだ。しかし、それ以外は手を加えられている部分も多い。レストア作業は数千時間に及ぶと予想される。

数千時間のレストア作業が必要

「わたしたちの目下の挑戦は、最初にスタビリメンティ・ファリーナの工房で作られた姿を復元することです。それには徹底的な研究と、卓越した職人による数千時間の作業が必要になります」と、ソーンリー・ケルハムの共同創業者であるサイモン・ソーンリーは語っている。

「このような自動車の歴史は、将来に向けてきちんと保存されるべきです。素晴らしい物語の1ページに関わることができ、非常に嬉しく思います」。

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アルファ・ロメオ6C1750SS

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