米テキサス州にあるアメリカ料理レストラン「J.ウィルソンズ(J. Wilson’s)」は通常、午前10時に開店する。しかし先月26日、オーナーは店を少しだけ早く開店して3歳女児とその家族を迎え入れた。女児は6か月以上前から病気で外出もままならない生活を送っており、オーナーは「家族一緒に楽しんでもらえたら」と美味しい食事と温かいサービスでもてなしたそうだ。優しさ溢れるニュースを『People.com』『Good Morning America』などが伝えている。

テキサス州在住のアデレード・スタンレーちゃん(Adelaide Stanley)は昨年7月1日、嬉しいはずの3歳の誕生日に「急性リンパ芽球性白血病」であることが判明した。診断から3日後には化学療法による治療が始まったが、それと同時にアデレードちゃんの免疫力は急速に低下し、家族そろって外出することはほとんどなくなった。アデレードちゃんにとって細菌や風邪が命取りになってしまうため、両親は衛生面に細心の注意を払い、ハグをするにも気を遣った。

そんなある日、家族で同州南東部ボーモントを車で通過中、アデレードちゃんがレストラン「J.ウィルソンズ」を見つけ、父親のジョーダンさんにこんな質問をした。

ダディ父さん)、あのレストランでみんなで食事ができるかな…?」

J.ウィルソンズはアデレードちゃんお気に入りのレストランだったが、叶えてあげることができそうにない娘のリクエストにジョーダンさんは、涙が溢れそうになるのをこらえて「そうだね。アデレードの具合が良くなって、病気が治ったらみんなで行けるよ」と答えるのが精いっぱいだった。

言葉を濁すしかなかった夫の気持ちが痛いほど分かる妻のヴァンラムさんはその後、車内での出来事を親しい友人アリーシャさんに打ち明けた。その話を聞いたアリーシャさんは、のちに居ても立っても居られなくなってJ.ウィルソンズのオーナーのジョン・ウィルソンさんに連絡を取り、一家のためにレストランを少しだけ早くオープンできないか相談を持ちかけた。

ジョンさんは、その時のことを次のように振り返っている。

「アデレードちゃんが白血病と分かる前は、一家はうちのレストランの常連でした。休日のブランチによく家族そろって来ていたのですが、7月以降はぱったりと姿を見せなくなってしまったのです。だからアリーシャさんから相談を受けた時は、2つ返事で引き受けました。」

「家族を迎えた1月26日は、スタッフらといつもより念入りに店内を掃除し、アデレードちゃんが大好きなピンク色で店内の飾り付けをしました。そして通常より1時間15分早い8時45分にレストランをオープンしたのです。もちろんお客さんはアデレードちゃん、11歳と1歳の姉妹、そして両親だけでした。」

「あの日、アデレードちゃんの笑顔を見ていたら、ああ、早く店を開けた甲斐があった…としみじみ感じました。たとえ一瞬であっても、アデレードちゃんが病気を忘れて楽しんでくれたことが本当に嬉しかったのです。」

アデレードちゃんは大好きなベーコンスクランブルエッグ、自家製パンを思う存分食べて大満足だったというが、一家にはジョンさんから更なるサプライズがあったようで、ヴァンラムさんはこう明かした。

「食事代はいらないからと言われて、本当に言葉を失いました。私たち家族一人一人にとって、5人揃ってのレストランでの楽しい時間がどんなに素晴らしいものだったか…。感謝してもしきれません。」

なお『Fox News』のインタビューで、医師らは「アデレードちゃんの治療がうまく進めば、来年の9月には“がんがない状態”になるでしょう」と述べている。

画像は『Vanlam Nguyen 2020年1月26日付Facebook「We as a family love to brunch at J.Wilson’s in Beaumont a lot on Sundays…but when Adelaide became ill in July, we could not eat out in public any more as a family.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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