俳優の東出昌大さんと女優の唐田えりかさんの不倫報道が1月、大きな話題となりました。東出さんが妻で女優の杏さんと離婚するのか、それとも関係を修復するのかといった点の他、唐田さんが自身のSNSを通じ、東出さんとの不倫をにおわせる投稿を行っていたことも注目を集めました。

 リスクがあるはずなのに、相手と関係があることをSNSに投稿してしまうのはなぜでしょうか。男女問題に詳しい堀井亜生弁護士が実例をもとに解説します。

おそろいの服やアクセサリーで撮影

 唐田さんはSNS上に、東出さんに似たイラストとキスをするポーズの写真や、ワイングラスを持つ手の右隅に男性の手が写り込んだ写真などを投稿していました。これらの投稿は東出さんと特別な関係であることをほのめかす、いわゆる「におわせ投稿」ではないかと言われています。

 芸能人と交際している人が「におわせ」をしていると話題になるケースは少なくありません。交際相手の芸能人とおそろいの服やアクセサリーを身に着けて写真を撮ったり、グッズを背景にちらりと写り込ませたり、相手の好物と同じものを食べているとアピールしたりとその内容はさまざまですが、投稿が芸能人のファンに発見されると、「これはにおわせではないか」と騒がれます。

 芸能関係の仕事をしていると、実際に芸能人から「交際相手がにおわせをしているからやめさせてほしい」という依頼を受けることがあります。におわせ行為をやめさせるには正式に文書で警告してもいいのですが、筆者の場合は、当事者に会って話を聞いてみるようにしています。原因はその人の心理的な部分にあると思うからです。

根底にあるのは、自慢ではなく不安

 ある芸能人と交際中の女性のケースです。彼女はSNSに交際相手の住所が分かる投稿をしたり、彼の寝顔の写真をアップしたりと暴露に近いような投稿をしていて、気の強い人をイメージしていましたが、会ってみるととてもおとなしい人でした。聞くと「悪いことだと分かってはいるけれど、どうしてもやめられないんです」と言われました。

「(彼が)みんなにキャーキャー言われているのを見ると、浮気をするんじゃないかと毎日不安で仕方なくなります。『彼が好きなのは私一人だけ』と言いたくなってつい、SNSに思わせぶりなことを書きたくなってしまうんです」と言って、彼女は泣き出してしまいました。

 筆者は「不安な気持ちは分かりますが、あなたのせいで彼の人気がなくなってしまったら、彼のことを好きでいられますか?」と尋ねました。すると、彼女は「彼には人気者でいてほしい、彼の仕事を応援したい」と答えました。

 筆者は後日、交際相手の芸能人に頼んで、「君はファンとは違って特別な存在だから、ちゃんと大事に思っているし浮気はしない。これからも僕の仕事を応援してほしい」と、彼の言葉で彼女に言ってもらいました。それ以来、彼女はにおわせ行為をしなくなり、2人は今でも交際を続けているそうです。

「におわせ」と聞くと、ファンマウントを取ろうとしているとか、嫌がらせをしようとしていると思う方が多いかもしれませんが、その心理的な共通点は、彼氏が芸能人だから自慢したいというわけではなく、ファンに人気があることで不安な気持ちになっているということです。

「あなたたちの関係をファンに見せつけても、いいことは何もない」と説得すると、本当に相手のことを好きな人であれば分かってくれることがほとんどです。

 もっとも、きちんと対応しても、なかなか効果がない場合もあります。におわせ行為をしている人の目的が、自分自身の売名や彼との結婚を迫るためなど、別の方向にシフトしてしまっている場合です。

「におわせ」をする人は友達が少ない?

 とはいえ、自分たちの関係を見せつけたいと思った人全員が、におわせ行為に走るわけではありません。もう一つの特徴として、友達が少なく、相手との関係に依存しているという点があります。

 友達が多い人なら、仲間内で彼氏のことを話したり相談したりできるので、わざわざSNS不特定多数のファンに向けて交際をほのめかす必要がなくなります。

 におわせというのは、とても孤独でむなしい行為です。その写真を投稿している様子を想像してみてください。恋人にちなんだグッズを買ってきて、背景にちょうど写り込む場所に置いて自撮りをして、さりげない位置に写り込んでいるか何度も撮り直して確認して、思わせぶりな文章やハッシュタグとともにSNSアップする…。

 そんな不毛な作業にのめりこんで目を覚ませなくなるほど、相手との関係がその人のすべてになってしまっているということでしょう。

 におわせ行為は相手への依存と不安から行われるので、交際相手の芸能人やその所属事務所がきちんと対応して不安を解消させられれば止められます。逆にファンに騒がれても続いている場合は、事務所がうまく対応できていないと考えられるでしょう。

 におわせの有無は、事務所が芸能人とその交友関係をきちんとコントロールできているかのバロメーターでもあるのです。

弁護士 堀井亜生

唐田えりかさん(左)と東出昌大さん(2018年5月、EPA=時事)