【インタビュー|第1回】最前線でゴールを目指す今季、掲げるのは「15ゴール10アシスト

 昨季7位に終わった“西の雄”ガンバ大阪は今季、フランス1部トゥールーズから日本代表DF昌子源を獲得したほか、MF小野裕二(←サガン鳥栖)らを獲得。そんななか、昨夏ドイツ1部アウクスブルクから復帰したエースFW宇佐美貴史が、2020年シーズンを迎えるにあたってFootball ZONE webの単独インタビューに応じた。今季の展望や新チームの印象など、宇佐美の“本音”をお届け。第1回は「G大阪が逆襲するには」――。

 頼もしい男が、力強く自ら口にした。昨夏、ドイツからG大阪に復帰した宇佐美は、リーグ戦を14試合7得点で終えた。負傷に苦しむ時期もありながら、ラスト7試合(出場6試合)で6得点。この7戦、残留争いで苦境に立たされていたチームは5勝1分1敗と波に乗り、最終的に7位でフィニッシュした。今季エースとしてシーズンを迎える宇佐美は、その責任感を強く感じている。

「(去年は)俺が決め出してから勝ち出したから、『自分の結果=チームの結果』ぐらいに思っている。思い詰めて考える必要はないけど、チームが勝てなかったら俺個人のせいって思うぐらい、それぐらいの自分に課す思い、責任を負ってもいい。自分にプレッシャーをかけて、自分に危機感を募らせることで乗り越えていけるようにしたい」

 攻撃的なサッカーを目標に掲げるG大阪。指揮を執る宮本恒靖監督にとって就任2年目だった昨季は54得点48失点に終わった。昨シーズンJ1優勝を果たした横浜F・マリノスは、ダブル得点王に輝いたFW仲川輝人とFWマルコス・ジュニオールがそれぞれ15ゴールを叩き出し、計68得点だった。そのなかで、今季G大阪が掲げる得点数の目標は「60」。国内三冠を達成した2014年でも59点だったが、この数字を目の前にした時に宇佐美の心は決まった。

「チームの目標が60得点やから、それを考えた時にやっぱり15ゴール10アシストは必要。俺個人で25得点、(60点の)半分近くを作れたらチームとしてもそのゴール数に辿り着くし、チームも上位にいると思うから、それを目標にしたい。」

 問われる前に自ら口にした15ゴール10アシストという数字。達成するために、今季は“FW”宇佐美にこだわっていく。サイドやトップ下、昨季はインサイドハーフなどのポジションにも挑戦したが、最前線で自慢のシュートを繰り出すことがチームの白星へとつながると確信しているからだ。

「一番前の真ん中。いろいろ制限されないところでやれれば、やりやすいかな。個人としては」

タイトル奪還へ…「強くない時期を知れているのは俺らしかおらん」

 昨季、G大阪に復帰した宇佐美は“救世主”になった。残留争いを強いられ、二桁順位が定位置のようになっていた。常に上位につけ、タイトル争いを繰り広げていたチームとは別の姿。最終的に7位で終えたものの、もちろん「現状維持ではあかん」と言い切る。再び強いG大阪を取り戻すために戻ってきた宇佐美。昨年のシーズン途中、宮本監督から練習後に指名され、チームメートに訴えたことがあった。

「現状維持ではあかん。けど、逆に今この時間を知れていることも幸せなことやと思う。去年、選手の前でも言ったけど、この時間このチームにいれて、俺たちは弱い時期からやっている。13位、14位のチームのメンバーで築き上げてきたものはわけが違う。だからこそ、上にのぼっていかないと。タイトルを取れるようなチームに、今ここにいるメンバーでやっていかないと。そこに魅力を感じて来てくれる選手はめちゃめちゃありがたいけど、今強くない時期を知れているのは俺らしかおらん。それは間違いなくありがたいことやし。むしろ幸せなこと。悲観することじゃない。ポジティブな材料として今この時期を知れているのはいいことやと思っていたし、これでタイトルを取れたら喜びもひとしおになる」

 全員の前で語りかけ、ここからの逆襲を誓った。“低迷”した時期を知ったからこそ、より強く感じた5シーズンぶりとなるタイトル獲得への思い。新しい仲間を加えた今季こそ、地に足をつけながら、ゴールを量産してチームを救う。簡単なことではない。だが、“青黒の申し子”として下部組織から育ってきた宇佐美には、その道筋がはっきりと見えているはずだ。(Football ZONE web編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)

G大阪FW宇佐美貴史を独占インタビュー【写真:齊藤友也】