「大物」と呼ばれる両親のもと、19歳で芸能活動をスタートさせたIMALUさん。

映画が好きだから、と積極的に映画に関わる仕事に挑戦し、今回『チャーリーズ・エンジェルマイナビウーマン読者独占試写会のサプライズゲストとして登壇した。

強い女性・エンジェルたちが正義のもと悪と戦っていく本作。驕ることなく、ブレない軸を持ってまっすぐな瞳で話すIMALUさんは、『チャーリーズ・エンジェル』の一員のようにも思えた。

だが、自分らしく仕事に取り組んでいる彼女も、デビュー当初はさまざまな壁にぶつかったのだそう。

仕事をはじめるうえで「両親の名」というプレッシャーは感じなかったのか。自分らしく仕事ができるようになったきっかけとは……? IMALUさんの仕事観を深掘りした。

■華やかな「モデルデビュー」に抱えた葛藤

今やタレントとしてさまざまな方面で活躍されているIMALUさん。最初から両親と同じ道を選ぼうと決めていたのだろうか。

「小さいころから音楽が好きだったので、音楽に携わる仕事ができればいいなと思っていました」

タレントや女優として活躍する身近な両親を見ていると、自然と同じ世界を目指してしまいそうになる。でもIMALUさんは違った。高校生のころから広い視野を持っていたのだ。

「両親のおかげもあり、さまざまな方が試行錯誤して『IMALUを売り出そう』と考えてくださって、最初は『Zipper』という雑誌で専属モデルと、“ライブレポート”という音楽レポの連載を持たせてもらいました」

彼女のファーストキャリアは“モデル”。だが、思い描いていたキャリアとは違うものだった。

「私は身長が小さいので、まさかモデルなんて……という気持ちが大きかったです。なので、さんまの娘が“モデル”デビューと新聞に載ったのを見たとき、自分が思っていたスタートと全然ちがって戸惑いました。とてもありがたい話ではあったんですが、モデルとして活躍する自分はまったく想像していなかったので」

IMALUさんと切っても切り離せないのが、ご両親の存在。彼女の名前を聞いて、ご両親の顔を思い浮かべない人はいないはず。プレッシャーは感じなかったのだろうか。

「自分からすると、普通の父親と母親ですけど、デビューが決まったときの世間のリアクションは想像以上でした。プレッシャーというか、デビューしてから両親の大きさを改めて感じましたね」

当時を振り返って、こう続けた。

「前日まで一般人だったのに、新聞で発表された途端、どのチャンネルをつけてもワイドショーが自分の顔でいっぱいになっていて(笑)。スタートしてから出来事の大きさに気づいたので、当時は自分のことなのに、自分じゃないような気持ちでした」

大物タレントを父に、大物女優を母に持つということが、どれくらいのことなのかが想像できない。だから彼女の苦しみや葛藤を完全に理解することはできないけれど、「突然荒波の中に投げ出されたようだった」という言葉を聞いて、当時の苦労が少しわかった気がした。

■「仕事の大きさ」と「自分のレベル」との差

華やかなモデルデビューから10年。着実にタレントとしてのキャリアを歩んできたIMALUさんだが、最初のうちは苦労の連続だったという。

「やめたい、とまではいかなかったものの、最初のうちは仕事の大きさと自分のレベルとの差を感じてつらかったですね」

その背景には、デビュー後の急激な環境変化があった。

「普通は徐々にステップアップしていくところを、両親の名前のおかげでデビュー後すぐにCMのお仕事をいただけたり、長寿番組に呼んでいただいたりと、すごく恵まれた環境で大きな仕事に関われました。でも、その大きさに自分自身がついていけてないと感じてしまって」

デビューと同時に一気にスターへの階段を駆け上がったIMALUさん。あんなすてきなご両親から生まれた時点でラッキーガールだ、なんてうらやましく思っていたけれど、その環境がゆえに悩みを抱えていたとは。

「雑誌やテレビの取材を受けても『さんまさんって家で何してるんですか?』と、両親絡みの質問ばかりだったんです。私に対しての質問ではなく。当時は悩んで落ち込む余裕もなかったんですけど、いま振り返るとあれがモヤモヤ期だったのかな」

■「事務所独立」がターニングポイントに

仕事をしているとぶつかる壁。IMALUさんは、その壁をどう乗り越えたのだろうか。

「母親の個人事務所から独立したことが、大きなターニングポイントになりました。いま所属している事務所は、タレントは私だけ、あとはスタッフ2人の計3人のみ。自分がダメだったら事務所が潰れてしまう状況なので、責任感がより大きくなりましたね」

独立にともない、モデルからタレントに転身。 両親から離れて自分の力で勝負をしたことが、彼女の自信へとつながった。

「バラエティ番組に出演したとき、こういうことを言わなきゃいけないのかな……と考えるのではなく、自分らしい発言をしたときにリアクションをもらえることが増えてきたんです。なんとなく自分のやり方を見つけられるようになりましたね。一度出演した番組にまた呼んでもらえたとき、『あれでよかったんだ』と自信につながりました」

自分らしさをさらけ出して認めてもらえる。これ以上にうれしいことはない。

「背負う責任の重さは増えたけれど、同時に楽になった」と笑うIMALUさんを見て、デビュー直後にはなかったであろう大人の余裕を感じた。きっと、苦しさを乗り越えて自分らしさを見つけたからこそ身につけられたものだ。

■恋愛と仕事、どちらも両立できる女になればいい

昨今、男女平等の意識がよりいっそう広まり、仕事をがんばる自立した強い女性が増えてきている。

でも「女性が強くなればなるほど、恋愛はうまくいかなくなるのでは」という声も。IMALUさんは恋愛と仕事の両立で悩んだことはなかったのだろうか。

「昔、芸能界デビューするときにマネージャーから言われたんですよ。『仕事と恋愛、どっちを選ぶの?』って。そのとき口では『仕事です』と答えたんですけど、正直、両方選んでもいいじゃんと思っていました。私が両立できる女になればいい、って」

なんと力強い言葉。たしかに、どちらかを選ばなきゃいけない決まりなんてない。

「日本は特に、仕事・恋愛・結婚・出産において、どちらかを選ばなくてはいけないという考えがはびこっていますよね。ですが、最近はそういう考え方自体が古いし、少なくなってきているはず。

自分の努力次第で両立は絶対にできると思うので、19歳のときに感じた『私が、仕事も恋愛も両立できる女になればいいんだ』というマインドはいまも持ち続けています」

プレッシャーに負けず、自分らしく楽しんで生きる

どれだけ自分の軸を持っていても、まわりの声に振り回されてしまう瞬間もある。そんなIMALUさんも、30歳を迎えて“ある変化”を感じているのだそう。

「30歳になってから、まわりに『結婚や子どもについてどう考えてるの?』と言われることが急激に増えました。何も感じないぞと思っていても、ちょっとしたひと言にプレッシャーを感じてしまっている自分がいて……」

IMALUさんも、私と同じ女性として、同じように悩んでいたんだ。

プレッシャーに負けないように、自分らしく、自分が楽しいと思える道で一生懸命がんばりましょうという言葉を、自分にも同世代の女性たちにも贈りたいと思います」

まっすぐにこちらを見て言葉を紡いでくれたIMALUさん。

取材をする前ははるか遠い存在のように感じていたけれど、仕事や人生に対してもがき苦しみ、自分なりの働き方・生き方を試行錯誤しているひとりの女性だった。

同じ働く女性として、勇気をもらえる言葉がたくさん詰まっていた。取材が終わったあとからずっと、「仕事と恋愛、どちらも両立すればいい」というIMALUさんの言葉が、私の心をじんわりあたため続けてくれている。

どちらも諦める必要なんてない。私のようにIMALUさんの言葉から勇気をもらい、両立できる女性がひとりでも増えることを願って。

映画『チャーリーズ・エンジェル

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キャメロンディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューという人気女優が集結し、初の映画版として公開された『チャーリーズ・エンジェル』が、2020年2月21日(金)にパワーアップして帰ってくる!

(取材・文:ameri、撮影:洞澤佐智子、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

仕事と恋愛を両立できる女になればいい。IMALUが自分らしく生きられるようになるまで