沖縄ではくしゃみをした時に「クスケー」と言うらしい――

そんな噂がツイッターで話題になっている。あるユーザーによれば、バイト先でくしゃみをした際、沖縄出身のバイト仲間に「クスケー」と言われたとのことだ。

くしゃみをしたら「クスケー」(画像はイメージ)
くしゃみをしたら「クスケー」(画像はイメージ

いきなり「クスケー」と言われても、戸惑う人がほとんどだろう。話題になっ投稿では、くしゃみをすると悪い霊がとりついてくるため、「糞喰らえ」を意味する「クスケー」という言葉で追い払うと説明されているが...。

はたしてそれは本当なのか。Jタウンネット2020年2月17日沖縄市立郷土博物館の担当者に詳しい話を聞いた。

今ではあまり使わない?

沖縄市の公式サイトにはくしゃみをした後に「クスケー」と言うようになった由来が載っている。

昔、子供のいない夫婦がいた。夫は妻が妊娠しているのを知らず那覇の辻(今でいう風俗街)に入り浸っていたが、子供が生まれたことを知るや家に戻った。男はジュリ(遊女)には何も言わずに、男がいなくなったことを知ったジュリショックで死んでしまった。

そして子供のお祝いをする日、ジュリの死を知らなかった男は、祝いの座を盛り上げるためにジュリを呼んだ。その様子を見ていた知人の妊婦が、ジュリの足が見えないことに気づくが、男に伝えてなんとかジュリを帰すことに成功する。

その後、ジュリが自分の赤ん坊の魂を抜き取ろうとしていることを知った男だが、「クシャミをしたらクスケー、2回したらメークェーといいなさい」という妻の言葉に従ったため、子供の魂が取られることはなかったという。(沖縄市文化財調査報告書第26集『むかしばなしⅠ』より)

――これがくしゃみをすると「クスケー」と言うようになった由来だ。

この文化は今でも存在するのだろうか。沖縄市立郷土博物館の民話に詳しいスタッフに聞いてみたが、30~40代以下の若い人はあまり言わないのではないかとのことだった。

「50~60代ぐらいの方は言うかもしれませんが、私自身それを自然に発するという場面を目にしたことはありません。しかし、おじいちゃんおばあちゃんからこの話を民話として聞いたという人は30~40代でもいるかもしれません」

スタッフ自身は携わっていないが、市のサイトに載っている民話の元となった「むかしばなしⅠ」を編集する際、話を聞いたのは沖縄市に住む明治45年生まれの人だったとのこと。この民話がいつから伝わるものなのかも聞いてみたが、「少なくとも明治時代から」ということまでしか分からないという。

使い方としては、くしゃみをした人に対し、周りの人が「クスケー(クスクエ)」と声を掛けるとのこと。

「子供は魂が弱くて、何かあるとすぐ魂を取られるという観念があります。そのため子供がくしゃみをすると周りの大人が『クスケー』と声を掛け、大人になっても続いているという感じです」

英語圏でくしゃみをすると言われる「(Godbless you」と同じような場面・意味で使う、おまじないのような言葉であるとのことだ。

沖縄ではどれくらいの範囲でこの文化が定着しているのか。スタッフに聞いてみると、

「おそらく沖縄本島、特に中南部では確実によく言ってると思います。北部でも言っているかもしれませんが、宮古島や八重山諸島は本島と違うこともあります」

とのこと。地域によっては「クスクエー、メークエー」(糞を食え、米を食え)というように長い言い回しになることもあるそうだ。

くしゃみをしたら「クスケー」(画像はイメージ)