東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50』(フクシマフィフティ)の黒板アートお披露目イベントが、2月23日に新宿ピカデリー1の大階段で開催され、主演の佐藤浩市と、元サッカー日本女子代表の丸山桂里奈が登壇。福島県の県立会津学鳳高校美術部の生徒たちが、『Fukushima 50』をモチーフに、約6時間をかけてライブ制作した黒板アートを見て、佐藤は「これがチョークだってことが本当に信じられない」と興奮しながら称賛した。

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『Fukushima 50』の原作は、門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎福島第一原発」。映画では、東日本大震災での福島第一原発事故当時、死を覚悟して現場に残った、地元福島出身の名もなき作業員たちの真実を描く。佐藤は、主人公である1・2号機当直長の伊崎利夫役を演じた。丸山は、「東京電力女子サッカーマリーゼ」時代に福島第一原発で働いており、当時の上司が、劇中で渡辺謙が演じる吉田昌郎所長だったという縁で、本イベントに参加した。

丸山も黒板アートクオリティーの高さに驚き、「どっちが佐藤浩市さん?と思うくらい本物な感じで驚いてます」と言うと、佐藤が描かれた渡辺謙と自分のイラストを差して「どっちが佐藤浩市かわからない?あ、そういうことではない?」とおちゃめにツッコみ、笑いをとった。

アートを手掛けた生徒の1人は「約6時間という短い時間でしが、映画にとても感動したので、自分たちは、この時のためにやってきたんだなという気持ちでやらせていただきました。ちなみに、私が佐藤さんの顔をやらせていただいたんですが、本人に褒められて光栄です」と笑顔でコメント。

続いて丸山は、吉田所長について「本当に吉田さんとの思い出が多くて。働いていた時もそうですが、サッカーもすごく応援してくれていて。発電所を出てからも、いつも応援してくれていた。映画では、渡辺謙さんが本当に吉田さんに見えました。肌質も同じで、本当に渡辺謙さんが吉田さんと思うくらい、のりうつってました」と感極まった様子で称えると、佐藤は「渡辺謙さんに伝えます」とうれしそうにうなずいた。

また、震災当時、6歳だったという生徒の1人が「当時は小さくて、震災の情報がわからなくて。でも、映画を観たら、もしかして、東日本がダメになっていたかもしれないと思って、それを父に言ったら『知っていたよ』と。大人は知っていながらも、子どもに不安を感じさせなかったのかなと。私からも同世代の人に、この映画を観てほしいと思いました」と熱く語ると、佐藤は「ぜひ、当時のことをお父さんやお母さんに聞いてください」と感慨深い表情を見せた。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

『Fukushima 50』のイベントに登壇した佐藤浩市と丸山桂里奈