先月、WHAT’s IN? tokyoとしてリニューアルスタートした本サイト。このタイミングで、ゲーム業界の情報、出来事、発言から独自にチョイスし、カジュアルに考察する企画を進めていきます。
2020年がスタートして2ヶ月、ゲーム業界は活発に動き始めています。1回目となる本稿では特別編として、2019年の出来事やヒットしたゲームを各月ごとに駆け足のダイジェストで振り返ります。この年の出来事や傾向から2020年の動向を簡単に予想してみましょう。

構成・文 / WHAT’s IN? tokyo編集部

◆人気タイトル、事件、ビッグニュースで大騒ぎの2019年前半
2019年1月は『キングダム ハーツIII』がナンバリングタイトルとしては約13年ぶりに発売され、その華やかで爽快なアクションが人気を博しました。同じく久々のナンバリング作品である『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』は、リアルなVRモードも高く評価されています。年の始まりから、人気シリーズの新作はそれを証明するように堅調な支持を受けましたね。
2月で注目したいのは5日に発表&配信されたオンラインFPSAPEX LEGENDS』。事前告知がなかったにも関わらず、リリース後72時間でユーザー数1,000万人を突破しています。この規模の作品のマーケティングとしては異例のことで業界も震撼。基本無料であることや多くの人気配信者のプレイ動画が影響したようです。

もうひとつゲーマーを驚かせたのが、パキスタン格ゲープレイヤー・Arslan_Ashさんでしょう。15~17日に開催された格闘ゲームの大型イベントEVO Japan 2019の『鉄拳7』大会にて、強豪を押しのけて優勝を飾りました。Ashさんがダークホース的存在であったこと、さらに彼いわくパキスタンには猛者がまだまだいるということも格ゲー界をザワつかせました。何だかバトルものの少年マンガの展開を想像してしまいますね。

平成の終わりには事件が相次ぎ、令和にはビッグニュースが飛び込んできました。業界の多くの会社が年度末を迎える3月にはピエール瀧さんの逮捕を受け、セガが『ジャッジアイズ』の販売を自粛。同作は7月18日より羽村京平のモデル・音声を差し替えた新価格版が発売されています。羽村は作品中で重要な人物であり登場シーンも多かっただけに、たった4ヶ月で交代を実現させた開発チームの奮闘がうかがえますね。そして間違いなく2019年のゲームの顔のひとつである『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』が22日に発売。フロム・ソフトウェアらしい高難度な和風アクションゲームで、The Game Awards 2019のゲームオブザイヤーなど数々の賞を受賞しました。

また、PlayStation(R)Vitaの全モデルが出荷完了し、8年の歴史に幕を下ろしました。後継機となる携帯ゲーム機は発表されていないため、本体やソフトを大事に残しておくのがよさそうですね。

同じく事件のあった4月。愛知県のスーパーのゲームコーナーで『太鼓の達人』の筐体である太鼓が持ち去られ、のちに少年3人が自首しました。盗難は各地で発生していたとのことで、太鼓の面を盗む“面パク”という言葉も出るほど。
5月ソニーマイクロソフトがパートナーシップ契約を締結。両社はAIや半導体、ゲームストリーミングの共同開発で提携するとのこと。ハードメーカーとして好敵手どうしである2社のタッグ、つまりゲーム界のザ・マシンガンズ結成に夢が膨らみますね。夢のようなテクノロジー、画期的なシステムが生まれそうで今後の進捗に注目です。
6月ビッグイベントの季節。11~13日にアメリカで開かれたゲーム見本市E3 2019では、『ファイナルファンタジーVII リメイク』の映像や『あつまれ どうぶつの森』の発表など大きなニュースに沸きました。なお『ファイナルファンタジーVII リメイク』はE3では2020年3月3日発売予定とされていましたが、最後のブラッシュアップのため4月10日発売予定に変更されました。『ファイナルファンタジーVII リメイク』は分作となり、1作目はミッドガル脱出までが描かれます。

◆ヒットゲームの発売ラッシュ! 新ハードの登場&発表などホットな2019年後半
長期の休暇が訪れる7月と8月。シリーズの4年ぶりの完全新作となる『ファイアーエムブレム 風花雪月』が発売されました(7月)。学園編と戦争編の2部構成で描かれる激動の物語となっており、「愛する生徒たちが……!」と心揺れながら夢中になるプレイヤーが続出。

シリーズ初となるCG映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』が公開(8月)。『DQV』をベースにした物語ですが、ラストの展開にさまざまな議論が巻き起こりました。
9月に入り、『ドラクエ』熱はスマホの位置情報を使ったRPG『ドラゴンクエストウォーク』の配信によって加速します。12~15日には日本のゲームの祭典・東京ゲームショウ2019が開催。同会場で行われた日本ゲーム大賞2019では『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』が賞を総なめし、5冠を達成しました。ハードにも動きがあり、メガドライブミニが発売されたり、携帯モード専用のモデルNintendo Switch(TM) LiteNintendo Switch(TM)より1万円安い19,980円(税抜)で新登場。コントローラーと一体型でおすそわけプレイができない仕様ながらもヒットした背景には、従来モデルよりひと回り小さくコンパクトになったこと、Newニンテンドー3DS LLと同じ価格帯になりパパやママのGOサインが出やすくなったことが挙げられるでしょう。2019年11月にはNintendo Switch(TM)およびNintendo Switch(TM) Liteの国内累計販売台数が1,000万台を突破しました。

10月の話題をさらったのはPlayStation(R)5の正式発表。2020年末に発売予定とのことです。また、Nintendo Switch(TM)の『リングフィット アドベンチャー』も品薄が続くほど人気。リングを使ったフィットネスゲームでカジュアルに運動できると思いきや、かなりハードで筋肉痛になるプレイヤーも少なくないとか。
29日には『マリオ』の生みの親として知られる任天堂代表取締役フェローの宮本 茂氏がメディア芸術分野で文化功労者に選出されたことが明らかに。ゲーム業界としては初のことで、ゲームも日本の文化として認められた証とも言えますね。宮本 茂氏は現在67歳ですがゲーム開発はもちろん、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの“SUPER NINTENDO WORLD”や『スーパーマリオ』の映画などに携わられているとか。新しいことに取り組み続けるレジェンドの姿勢に憧れます。

11月8日には『DEATH STRANDING』が発売。小島秀夫監督率いるコジマプロダクションの初作品で、2016年の発表から満を持してリリース。人気俳優のノーマン・リーダスが主人公・サムを演じ、世界中のプレイヤー同士が繋がりながら荷物を各地へ配送するという新しいゲームシステムは発明とも言われています。プレイヤーだけでなく、ゲームクリエイターからも注目を集めた作品のひとつでしょう。

15日には『ポケットモンスター ソード・シールド』が登場。28日にはシミュレーションアドベンチャー『十三機兵防衛圏』が発売。機兵に乗る13人の少年少女たちの物語で、ヴァニラウェアお得意の美しい2Dグラフィックが好評です。ソフト品薄のお詫びが発表されるほどのベストセラーになっていました。

年末の12月は『サクラ大戦』シリーズの完全新作である『新サクラ大戦』が登場しました。キャラクターデザインは、『BLEACH』が代表作のマンガ家久保帯人氏が担当。13日にはマイクロソフトの次世代ゲーム機Xbox Series Xが正式発表されました。現行機のXbox One Xの4倍の処理能力や、歴代のXboxハードのゲームと互換性があるとのこと。発売は2020年末を予定しています。

2019年は長らくナンバリングタイトルが発売されていなかったシリーズの新作が登場したり、名作ゲームのリブート、リメイク作品が多く見られました。この傾向は2020年も続きそうです。当時オリジナルで遊んでいたプレイヤーはいまや40代以上。大人になってゲームから離れてしまった人に訴求する呼び水として、リメイクはうってつけなのかもしれませんね。

新規IPを立ち上げるより、リメイクするほうがコストや労力がかからないというイメージもありますが、当時の開発データを現行ハードにそのまま使えるわけではなかったり、そもそもデータや資料が残っていないというケースもあるようです。それにファンのチェックも厳しいので下手な仕上げはできず、愛と情熱が必須でしょう。リメイクもオリジナルと同じくらい情熱が注がれて作られていると思うと、じっくり味わいたくなりますね。

2020年のリメイクの目玉作品といえば『ファイナルファンタジーVII リメイク』ですが、4月は同じくリメイクの『バイオハザード RE:3』や、CD PROJEKT REDの新作『サイバーパンク2077』(こちらも発売延期)など注目の作品も控えています。これは寝不足の日々を覚悟しなければならないかも……?

2020年はいよいよゲームの定額サービス戦国時代に突入といった感もありますね。2019年からApple ArcadeやEA Accessなど新たなサブスクリプションサービスが始まり、ユービーアイソフトのUPlay+の日本展開も計画中とのこと。GoogleのクラウドゲームサービスStadiaもアメリカなど14ヶ国でサービスを開始しました(日本でのサービスは未定)。また、既存のPlayStation(R) Nowも2019年10月から料金が値下げされ、1ヶ月1,180円(税込)で遊べるようになり、CERO:Zのタイトルもラインアップに加わりました。はたしてゲーム界のNetflixとなるのはどこなのか!?

2020年末にはPlayStation(R)5、Xbox Series Xと次世代ハードの発売が予定されています。両ハードとも解像度8Kに対応とのことで、テレビモニタの新調を検討するいい機会にもなるかも。PlayStation(R)5のローンチタイトルとしてはアクションRPG『Godfall』、Xbox Series Xはローンチ恒例の『Halo』シリーズの最新作『Infinite』、『Senua’s Saga: Hellblade II』が明らかになっています。

任天堂は、3月20日発売予定の『あつまれ どうぶつの森』のほか、発売時期は未定ですが『ゼノブレイド ディフィニティブ・エディション』、『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』、『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』を発表しています。ゲーム文化の動きとしては、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンにて東京五輪開催まえに“SUPER NINTENDO WORLD”がオープンする予定とのことですし、2020年は東京五輪だけでなくゲームにとってもお祭りの年となりそうです。

最後に、2019年に記念すべき年を迎えたおもなゲームやハードをピックアップ。2020年のアニバーサリータイトル&ハードも列挙しました。同じ年に各メーカーからハードが発売されていることが見て取れますが、当時の覇権争いがいかに熱いものであったか思い出される方もいらっしゃるかもしれませんね。同時にソフトメーカーのチャレンジも盛んで、ひとつのゲームジャンルを築いた作品も多く発売されているのがわかります。

2019年アニバーサリーハード
30周年 ゲームボーイ
25周年 PlayStation(R)
25周年 セガサターン
15周年 ニンテンドーDS
15周年 PlayStation(R)Portable

2019年アニバーサリータイトル
30周年『SaGa』シリーズ
20周年『スペースチャンネル5
20周年『beatmania IIDX
15周年『モンスターハンター
10周年『アングリーバード

2020年アニバーサリーハード
30周年 ゲームギア
30周年 スーパーファミコン
25周年 バーチャルボーイ
20周年 PlayStation(R)2

2020年アニバーサリータイトル
35周年『スーパーマリオブラザーズ
30周年『ファイアーエムブレム』シリーズ
25周年『エースコンバット
25周年『幻想水滸伝
25周年『テイルズ オブ』シリーズ
25周年『風来のシレン
20周年『真・三國無双
20周年『遙かなる時空の中で

5周年『刀剣乱舞
5周年『スプラトゥーン

2020年から2021年にかけて記念周年を迎えるタイトルは、すでにアニバーサリー記念サイトや告知があるものも。現時点で発表がないシリーズもこれから動きがあるかもしれませんので、ファンの方は情報の定期的なチェックをお忘れなく。次回は2020年1月のゲームシーン、それ以降は隔週間隔でゲームシーンのトピックや気になった点を取り上げていきますね。

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2019年ゲーム業界のキーワードは“○○年ぶり”!? 歴戦タイトルの底力と新規IPのせめぎ合いは、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press