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 気候変動(地球温暖化)は予測よりも早く進行している。2月13日に米国海洋大気庁(以下NOAA)の環境情報センターが発表した記録データによると、今年の1月は過去141年間で、最も暑い1月だったようだ。

 過去の最高暖冬記録としては2016年1月が一番新しいが、2020年1月の記録はそれを0.02度上回ったという。

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2016年1月の最高記録から0.02度高い記録

 NOAAは、2020年1月は過去141年の観測記録において、これまでで最も温暖な1月だったと発表。

 今年1月の世界の陸地と海洋の表面温度の平均気温は、20世紀のそれらの平均を1.14度上回り、2016年1月の過去最高記録から更に0.02℃高い気温が記録されたそうだ。

 NOAAが公開した世界地図を見ると、温度が上昇したエリアは赤、低下したエリアは青で示されているが、地球の大半が赤く色づけされていることが確認できる。


 今回、最大の気温上昇が確認された地域は、ロシアやスカンジナビア、カナダ東部だが、対照的にアラスカ州とカナダ西部では気温が低下し、今年の1月は実際に22か月連続で平均気温を下回った最初の月となった。


2019年は「観測史上2番目に暑い年」を記録


 温暖化が進行するとともに、気候や気温の変化も著しく、2010~2019年の10年間は「観測史上最も暑い10年」となり、更に2019年は「観測史上2番目に暑い年」を記録。

 暖冬のみで言えば2016年以降最も温暖な1月が発生している他、これまでの1月の暖冬記録トップ10は全て2002年以降に発生しており、この流れから見ても気温上昇は近年だけの傾向ではないのは明らかだ。

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geralt /pixabay

エルニーニョ現象ではなく温室効果ガスによる温暖化が原因


 これまでの観測記録のうち、2019年よりも気温が高かったのは、エルニーニョ現象による異常気象が発生した2015年と2016年だけという発表がある。

 過去1681か月のデータを比較すると、2015年12月、2016年2月と3月の3か月は、気温が正常値を上回っていた。

 これは、熱帯太平洋エルニーニョ現象が発生し、一時的に地球を自然に加熱する働きが発生したことを示している。

 しかしそれ以外の年の暖冬は、エルニーニョ現象ではなく、化石燃料の消費や、その結果として生じる温室効果ガスの影響が温暖化に起因していると研究を重ねる科学者らは示唆している。

 従って、今後数年間で更に記録的な暖かい月の数の増加が予想されると伝えられている。

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4270613/pixabay

気温上昇は海氷面積にも深刻な影響を与えている


 NOAAは、先月の地球の海氷被覆についても報告。

 北極の海氷面積は1981年~2010年の平均面積を5.3%(77万平方キロメートル)下回った1360万平方キロメートル、南極の海氷面積は1981年~2010年の平均面積を9.8%(49万平方キロメートル)下回った450万平方キロメートルをそれぞれ記録した。

 また、NOAAの科学者による統計分析では、2020年2月は世界で最も記録的な暖冬トップ5に入ると予測されているという。

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image credit:NOAA

南極でも過去最高気温を更新


 また、南極のシーモア島では2月13日、観測史上最高となる20.75度の気温が観測された。南極の気温が20度を超えたのは初めてだという。

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JOSHUA STEVEN / NASA EARTH OBSERVATORY

 このまま気候変動が続く限り、気温や気候の最高記録が短期で更新され続けることになるだろう。

 気温上昇が続くと、いずれは世界の14%の人々が猛暑で危険にさらされる可能性があるとNOAAは示唆している。

References:earthsky.orgなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52288180.html
 

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