どの会社にも、その会社独自の人事制度が存在します。人事制度により「会社員として守られているな」と思うことがある一方で、「振り回されているな」と思う人も少なくないのではないでしょうか。

ブラック企業

 今回は、会社の人事制度に対して怒っている白川大志さん(仮名・27歳)に話を聞いてきました。

仕事をしないおじさん管理職にイラつく

 白川さんは老舗の機械メーカーに勤務しています。聞けば、社内には仕事がデキない・しないおじさん社員が多数存在していると言います。

「仕事をしないのに、自分の倍近く給料をもらっているおじさん社員がたくさんいます。仕事をしないだけでもイラっとするのに、なまじ役職がついているので、仕事内容に口出しをしてダラダラと説教をしてくるんです。

 しかも、否定はするけど代案・提案はなし。『今までのやりかたと違う』と経験則だけで言ってくるので、みんな困っています。会議も多いし、長いしで体質の古さにうんざりです」

 聞けば、白川さんをはじめとする若手・中堅社員の多くが「仕事をしないおじさん管理職」に対して同じ気持ちでいたと言います。

「それで、会社の業績が悪くなった年に、若手社員がごっそり転職しました。今まで溜まっていた不満が爆発したんだと思います。それで、慌てた人事部が、若手社員を中心にヒアリングをしました。

 そしたら、『働かない・働けないおじさん社員を見ていたら、将来に不安を感じた』『不公平感を感じる。若いうちから自分の裁量で働ける職場に転職したい』という意見がたくさん出てきて、人事部が相当焦ったと聞きました。それで人事制度改革がおこなわれたんです」

人事制度改革でも居座るおじさん

上司 部下
イメージです(以下同じ)
 若手にヒアリングをして人事制度を変えるなど、白川さんの職場はかなり環境のよい職場だと思うのですが、白川さんの不満は解消されなかったようです。人事制度改革は一体どのようなものだったのでしょうか。

おじさん社員が大量に多部署に左遷になりました。でも、役職がついているおじさん社員はほとんど残っているんですよね。

 役職がついている人は社内の人脈や社内政治を使ってのし上がってきた人達なので、人事制度改革で簡単に飛ばしたりできなかったみたいです。役職こそついていないものの、現場でこつこつやってきたおじさん達が左遷されて、やるせない気持ちです」

 仕事がデキる管理職たちは早期退職でいなくなり、結果、働かない・働けないおじさん管理職だけ大量に残ったそうです。

人事制度改革で現場は大混乱

 人事制度改革後の社内の様子を、白川さんはこう語ります。

「人事制度改革で若手をかなり重宝する動きになり、それ自体はすごくありがたいし、いいと思うんです。実際に、若手中心のプロジェクトチームがたくさん立ち上がって、活気づいています。けど、若手のアイデアを現場で具現化したり、フォローできる人がいないんです」

 現場を知り尽くし、経験も知識もあるおじさんたちはどこかへ左遷され、残ったのは仕事のできない管理職と忙しい中堅どころだけという事態になっているとか。

おじさん管理職は仕事ができないので、若手の斬新なアイデアに『いいね、それやろう』と無責任にわかったふりをして丸投げで、無駄な説教や口出しをしてきます。会議も減らず、現場は若手だけではまわらず、大混乱です」

 結局は、仕事をしないおじさん管理職のしわ寄せがどこかで発生している様子です。

雑な人事制度改革にうんざり

ビジネスイメージ―人事

おじさんをひとくくりにして、“お荷物”というのも違うのかなと思います。その辺の見極めを人事部にはきちんとしてほしかったです。役職はつかないものの、現場を回し続けてきたおじさん達がいなくなったのは、会社の損失といってもいいと思っています。結局、本当のお荷物は残ったままで問題は解決されていませんからね」

 人事制度によって、若手はやる気を取り戻したものの「おじさん」というくくりで、左遷される現状をまのあたりにした白川さんはこう語ります。

「今度は現場の混乱具合を知り、左遷したベテラン社員を何人か呼び戻したという話を聞きました。人事の方針が変わりすぎるのでついていけないし、その場しのぎ感も拭えません。社員が駒そのものの扱いで嫌ですね…」

 白川さんは現在転職活動中とか。一見、素晴らしい動きに見える人事制度も蓋を開けてみれば大混乱ということもあるようです。

― 特集・令和の「ブラック企業」事件簿 ―

<取材・文/瀧戸詠未 イラストパウロタスク(@paultaskart)>

【瀧戸詠未】

フリーライター。教育、ビジネスを中心に記事を執筆中。お酒と食べ歩きとひとり旅が趣味。Twitterは@eieieiko2