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 ヒマラヤ山脈の高地では、やたらと大きなミツバチがせっせとハチミツ作りに励んでいる。

 このヒマラヤオオミツバチ(学名 Apis dorsata laboriosa)は世界最大のミツバチで、ついでにそのハチミツには世界最高との呼び声もある。

 赤みを帯びたその液体は別名を「マッドハニー」という。何がマッド(狂気)なのか? じつは少し食べてみると向精神作用を発揮して、楽しくなってしまうのだ。

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切り立った崖からしか採れない世界最高のハチミツ

 オオミツバチ南アジア中に分布するが、ヒマラヤオオミツバチはヒマラヤの山岳地帯にしか生息しない、ネパールブータンインド、中国雲南省の固有種だ。体長3センチほどで、スズメバチのように大きい。

 そのハチミツは世界最高と言われているが、それを採るのはきわめて難しい。

 ミツバチと言ってもとにかく大きいので、その針は普通のハチ用防護服を貫通してくるし、三日月状の巣にたどり着くには目も眩むような切り立ったヒマラヤの崖を登らねばならない。

 ハチミツ集めは危なっかしい竹で編んだ縄梯子で宙吊りになりながら行う、文字通り命がけの作業なのだ。


Harvesting Honey From Giant Dangerous And Waving Himalayan Honey Bees

 しかも、ネパール東部に暮らすクルン族が受け継いできたこの危険な伝統は、この世から永遠に消えてしまうかもしれない。2018年、最後のハニーハンターと呼ばれた人物が死んでしまったからだ。

 おかげでマッドハニーの価格は高騰し、450グラムあたり6600~8800円程度で売られているらしい。が、これは闇市での話で、普通のスーパーではお目にかかれない。

 現在マッドハニーが購入できる海外サイト(世界へ発送可)でも在庫限りとなっており、240gで41ユーロ(4,945円、送料別)となっている。

Magic Bees Deli Bal Mad Honey Extract
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頭の中にブンブンと音が鳴り響く、ハチミツの向精神作用

 ハチミツの向精神作用は、春に食べるツツジの毒から得たものだ。そのために、その作用は春にしか現れない。

 ティースプーン2、3杯が適量とされるが、それ以上服用するともっと強烈な体験をすることができる。だが、慣れない者には不快なだけかもしれない。

 ナショナル・ジオグラフィックのレポートによれば、まず便意・尿意・吐き気を感じるそうだ。

それから明るくなったり暗くなったりする。見えると思うと、見えなくなる。頭の中にハチの巣みたいなブンブンブンって音が鳴り響いて、動けなくなるんだ。でも頭は冴えている。麻痺は1日くらい続くね。(地元のハチミツ業者)

 この強烈な体験に加えて、過剰に摂取すると命の危険が伴うという噂もある。ハチミツ集めの伝統が途絶えようとしているのも、こうした理由もあるからかもしれない。

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繊細な生態系の中で生きるヒマラヤオオミツバチ

 最後のハニーハンターは死んでしまったが、幻覚ハチミツの採取は何らかの形で残るかもしれない。だが、それが持続可能な形かどうかは疑わしい。

 このユニークハチミツは繊細な生態系の賜物で、そうしたものへの配慮がなければ、採り尽くされるまでにそう時間はかからないだろう。そもそもヒマラヤオオミツバチの個体数自体が減少しているのだ。


100 Pound Giant Bee Colony Hanging Off A Cliff | BBC Earth
References:World's largest honey bee makes rare hallucinogenic honey | MNN - Mother Nature Network/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52288101.html
 

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