米CNBCによると、中国本土で一時閉鎖していた米アップルの直営店「Apple Store」は、その7割が営業を再開したという。

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全42店中29店の営業再開

 北京の5店舗のほか、上海や南京、広州などの一部の店舗の計29店が2月24日までに再開した。アップルの中国サイトによると、北京では通常の営業時間が午前10時から午後10時であるところ、現在は午前11時~午後6時で営業中。上海の一部の店舗は午前11時~午後6時30分の短縮営業だが、3月1日から通常に戻るようだ。

 アップルは新型コロナウイルスの感染拡大への対応で、中国本土の直営店全42店を一時閉鎖した。当初は2月10日の再開を目指していたが、その後、閉鎖延期を決定。2月14日には北京の5店舗のみが短縮営業で再開した。

 この時からアップルは、「公衆衛生と予防の考慮事項に基づき、一部の小売店を一時的に閉鎖しています。再開した店舗に入る前にはマスクを着用し、体温検査を受けてください」と顧客に告知している。

20年1~3月期の売上高予想、未達の見通し

 こうして短縮営業ながらも7割の店舗が再開した。しかしその業績に及ぼす影響は決して小さくないようだ。同社は2月17日、先の決算発表で示していた2020年1~3月期の売上高予想を達成できない見通しだと明らかにした

 その理由は2つあるという。

 1つは、スマートフォン「iPhone」の全世界向け供給が今後一時的に制限されるというもの。アップルによると、同社製品の中国工場は、最初に感染が広がった湖北省にはなく、すべての工場は操業を再開している。しかし生産能力の回復が当初の予想よりも遅い。これがアップルの売上高に一時的な影響を及ぼすという。

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 もう1つは、中国市場におけるアップル製品に対する需要の低下。前述したように、中国国内の店舗は一時閉鎖や短縮営業を余儀なくされている。これにより、来店客が著しく減少したという。

1月の中国スマホ販売36.5%減

 中国工業情報省(工情省)傘下のシンクタンク、中国信息通信研究院(CAICT)の統計によると、今年1月の中国スマートフォン販売台数は、前年同月比36.5%減の2040万台と、大きく落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大で消費者需要が圧迫されたとロイター通信は伝えている。

 影響を大きく受けているのは、米グーグルのOS(基本ソフト)「Android」搭載のスマートフォンだという。その出荷台数は前年同月比39%減の1810万台。これに対し、iPhoneの出荷台数は200万台と、同ほぼ横ばいだった。

 CNBCによると、スイス金融大手UBSのアナリスト、ティモシー・アーキュリー氏はこの統計を基に、1月のiPhoneの中国販売台数は同5%増で、他のスマートフォンと比較し著しい成長を示したと報告している。

 ただ、アーキュリー氏は、2月は状況が変わるとみている。店舗閉鎖、そして営業再開や生産能力回復の遅さが2月の業績を悪化させる可能性があり、先行きは不透明だと同氏は指摘している。

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