日本のサブカル界で異彩を放ち続ける掟ポルシェの月一連載!ブログやツイッターでは知ることができない、“掟ポルシェの今”を赤裸々に語り尽くす居酒屋フリートーク企画「掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信」。あなたの知らない“もう一つの世界”はこんなにもおもしろい!

【写真を見る】Sunshine 1st ANNIVERSARY PARTY!!!@sound bar brick(福岡・大名)[2019.12.8]

■ あ、これはすごいものを観たなっていうライブでしたね

——12月8日には福岡で年内最後のDJでした。

掟「楽しかったけど1人ユニークなテンションのお客さんがいたのが印象的過ぎましたね」

——印象的(笑)

掟「(ライブ当時の写真を見ながら)DJ始まった瞬間、お客さんなのにDJブースの俺の横にいたんですよ(笑)。この時点で『あれっ?ちょっとユニークだな』と思って、引いてたんですけど(笑)。DJが始まると俺はフロアに出てってお客さんに絡んでいくんですけど、その間その人はDJブースの中でずっと踊っていて。出演者かっていう(笑)」

——福岡の掟さんのお客さんやばいなって思いました(笑)

掟「ヤバいなんてそんな!ユニークと言ってください (笑)。久々にDJの度量が試される瞬間でしたね。他のお客さんも無視できないくらい、DJブース激近で終始鳥みたいな滑稽ダンスをガンガン踊ってたんですけど、この巨大なノイズ的な物体からの干渉に対して演者が出来るのは、何らかの形で絡んで活かすか、徹底的にないものとして無視するかの二択ですから。俺の場合ユニーク客が絡んできそうになったら場所を移動してフロアに突っ込んでいって視点を分離する方法にしました」

——なるほど。

掟「素人が軽い気持ちで舞台に介入するのって俺すごい嫌なんですよ。どうやって楽しむかはお客さん次第ですけど、ステージ台無しにするほど素面じゃない状態で暴れるのは流石に勘弁ですね。で、俺みたいなまっとうなDJじゃない会場全体を使ったカオスな表現形態だとまだどうにでもできるけど、俺の次に出演したいい歌を聴かせるゴスペルシンガーさんは気の毒でしたね。『次の曲はバラードなので、静かに聴いてください』とお願いしたのに、バラードに合わせてあのすべてを台無しにする鳥みたいなおもしろダンスをガンガン繰り出していて、もうなんだかわからないアバンギャルドな光景になっちゃって(笑)。問題はあの人、俺を見に来たみたいなんですよね……あの、うちのお客さんがすみませんでした!」

——年末はいかがでしたか?

掟「年末はロフトプラスワンで吉田豪と一緒にトークイベントをやってるんですけど、1年を振り返る企画なんですね。昔は豪ちゃんと一緒にいろんな人にインタビューに行って、大変な目にあったことをいろいろ喋るっていう感じなんですけど、まあ、最近はそこまで大変な目にあうこともなく。以前だと岡本夏生さんにインタビューに行ったらコテンパンにやられたりとかして(笑)。あれももう15年くらい前かな。そういう1年の中でインタビューして強敵だった人、インタビュー対象として不適当な人、それこそインタビュアーとしての力量が試されるような、そういう仕事があって。そういう話こそ後で話すとおもしろいわけですよ」

——なるほど!吉田豪さんと掟さんが一緒にインタビューに行かれるのはどんなお仕事ですか?

掟「CONTINUEっていうゲーム雑誌の電池以下っていうインタビュー連載です。それが今も続いてるってい感じですね。掲載誌の休刊で数年ストップしてたんですけど、復刊してまた始まって」

——編集部からここに行ってくれって言われるんですか?

掟「いや、基本は吉田豪セレクトです。時には俺セレクトもあるんですけど。でも行く前から不穏な雰囲気があったりとかすることもあって。でも普通じゃない人に惹かれてしまうというか、ひどい目にあったとしても、それも含めてその人の魅力でしょ?っていうのを最終的に伝えられればいいわけですから」

——最近注目してる人っていますか?

掟「特にパッとは浮かんでこないですね・・・。でも、この間ね、福岡で12月にド・ロドロシテルで対バンした林まゆさんていう、自分で打ち込みで曲を作って歌ってるシンガーソングライターの人とは共演できてよかったです。この歳になって他人のライブを見て感動することってなかなかないんですけど、あ、これはすごいものを観たなっていうライブでしたね」

——へぇ!

掟「林さんはこうやって言うのも何だけど、パッと見は普通のその辺によくいる風貌の女性なんですけど、その地味な感じの人がステージに上がって、激しい振り付け付きで自分の作った曲を歌う様子が、まさに「本気」そのもので。身を削って歌ってるのが誰の目にもわかってしまって素晴らしかった。その時のライブがラストライブだったんですよ。予定していたライブのキャンセルが何度か続いて、医者と家族から止められたみたいで。人前で歌うことが生きるか死ぬかみたいな人ってなかなかいないですよね。林さんはそう言う意味では、生き死にのレベルで表現活動をされている方で、ちょっと感動しましたね」

——お会いしたのは初めてですか?

掟「初めてですね。みんなに言われたんですよ。『今日林さんと一緒ですよね?』って言われて、『いや俺知らないです。誰ですか?その人』って。見たら一発でどういうことか分かりました。自分で(ライブの背後に流れる)映像までCGで作ってるんですけど、その映像が仏像が燃えてるやつで。もう軽々しい感じで見ちゃいけないステージでしたね。とにかくすごかった。林さんのラストライブに立ち会えて本当うれしかったです。福岡にもこういう人いるんだって」

■ 最高におもしろいですね。友達の裁判って

——ロフトプラスワンのトークイベントは毎年やってるんですよね。

掟「大晦日は必ずそのイベントをやってますね。最近はメンバーが固定されてきましたね。まず徳光正行さん。徳光さんの芸能裏情報が最高におもしろくて。(記事には)絶対書けない話を気前よくしてくれるんですよ。あとは、久田将義さんっていう豪ちゃんとよくイベントやっているTABLOの編集長と、春日太一さんとKダブシャインさん、それと昔からの付き合いのコンバットREC。いつものメンバー、おなじみの人たちで年末に今年こんなことありましたよっていうのをベスト3方式で発表していくっていう」

——掟さんのベスト3はどんな感じでしたか?

掟「俺のベスト3は何だっけな。第3位はあれですよ。水戸で子供達に絡まれてバズったやつ。第2位は友達が逮捕」

——あのAさんですね。もう裁判は終わったんでしたっけ?

掟「裁判はもう終わりましたね。普通にもう服役してるんじゃないですかね。友達の裁判って、笑ってはいけないシリーズみたいなもんで、独特のおもしろさがあるんですよ」

——Aさんはちょっと盗み癖がある方なんですよね。

掟「今回、アイドルイベントの合間に逮捕劇があったことで、捕まった事実や裁判の模様が大っぴらになったので言いますけど、Aさんはミニカーが大好きなんですよ。で、それと同じくらいアイドルも好きで。アイドルの現場では主に観覧するだけならお金のかからない無銭イベントに来るんですけど、握手するにはCD買ってお金を払わないといけない。そこはちゃんと払うんです。でも、ミニカーは対面じゃないからまぁ盗めばいいか、と判断するっていう(笑)。その辺冷静に判断してるんで窃盗症みたいな病気ではないですよね」

——しかも1回目じゃないんですよね。

掟「そうなんですよ。何度かありましたね」

——Aさんとは元々どういうお知り合いなんですか?

掟「元々、お互いモーニング娘。が好きで。オタクとして付き合いが始まって。あの人の良いところは、友達のものは盗まない(笑)。そういうネットリテラシーとか節度とかはいっぱい持ってるんですよ。なんですけど、お金がなくなると色々歯止めがなくなっちゃう。家の留守番とか犬の世話とか子供の面倒とかよくAさんに見てもらってて、そういう友達甲斐はすごくあるんですよ。なんですけど、友達じゃない赤の他人のものは欲しいとどうにもならなくて盗んででも手に入れようとする。たまにね、周りにいる俺たち友人が甘やかすからこういうことになるんだって言う人いるんですけど、相手は50歳でもう立派な成人ですからね。友人であるだけでなんで監督責任まで持たされんだと。『働いて自分で稼いだ金でミニカー買えよ!』って、そんな当たり前のことわざわざ言わないですよ」

■ 裁判長、違うよ!みんな5ちゃんねる見てきただけだよ!

掟「友人としてはずっと続けていくつもりなんですけど、なんせその友達が出ている裁判って申し訳ないけどおもしろいんですよね。これ以上ない笑い堪えイベントだから。前回の裁判でも色々ハイライトがあったんですけど、裁判長のおじいさんに怒られたシーンがベストで。『さっきからさ、反省してる反省してるって言ってるけど、嘘だよね?』って。あのやさしそうな風貌の裁判長が、冷静に裁判の争点を述べるでもなく呆れた顔で『嘘だよね?』って言ってシンプルに詰めてて(笑)。めちゃめちゃおもしろいのに笑ってはいけないんですよね。今回の裁判は行けなかったんでホント残念で」

——そういえば吉田豪さんが行って怒られたみたいな話を聞きましたけど。

掟「豪ちゃんはその日風邪をひいてたみたいで。裁判って普段行かないから知らないけど、いろいろやっちゃいけない禁止事項があって、基本的に傍聴席では飲食禁止なんですよ。咳が出て裁判の進行を妨げちゃいけないと思ってのど飴舐めて水を飲んでたら『あなた、飲食は禁止ですよ』って裁判長に怒られたみたいですね。で、(周りが)誰だあれ?って見たら、あ、吉田豪だ!ってザワついたらしくて」

——吉田豪来てるんだ!みたいな(笑)

掟「前回のAさんの裁判でも俺も豪ちゃんも傍聴してて。そしたらAさんを知らない阿曽山大噴火さんがたまたま入ってきて、俺たちが揃って裁判傍聴してるのを見てギョッとしたっていう(笑)。しかも俺がサンバイザー被って行ったんですけど、裁判って帽子禁止なんですよ」

——サンバイザーは大丈夫だったんですか?

掟「怒られませんでしたね。でも多分それは東京だったからじゃないですかね。そのAさんの裁判は茨城だったんですけど、茨城の裁判所ってあまり人が来ないらしいんですよ。傍聴席に。来ても3人くらいらしいんですね。それがね、ネット上でも情報が漏れて5ちゃんねるにも情報貼られた結果面識のない人まで押しかけて、小さな茨城の傍聴席が満席になったらしいです(笑)」

——すごい集客力ですね(笑)

掟「Aさん、ヲタ界隈では有名人なんで。それで、裁判長がちょっと誤解して。『こんなに多くの友人に恵まれてるんだから、今後はもうこういうことはやらないように』って(笑)。逆に心象がよくなっちゃって。裁判長違うよ!友達じゃないよ!みんな5ちゃんねる見てきただけだよって(笑)」

——あはははは(笑)

掟「で、1位は田代さんの事件ですね。この話は前もしましたけど、まあ何とかなんねえかなって思いますね。薬物依存症という病気がようやく世間に認識されてきましたし、今後科学とか医療の力で治療できるようになるのがベストだと思います。いろんなところ進歩して欲しいですね。覚せい剤が使いたくなくなる薬とか」

——禁煙パッチみたいなのができればいいですよね。

掟「そんなのができればいいですけどね。本人もやめたいでしょうからね」

(Vol.6は4月公開予定)

掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)

1968年生。男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』&ひとり打ち込みデスメタル『ド・ロドロシテル』での音楽活動、ピッチを一切合わせないアイドル曲オンリーDJ、読後一切頭と心に残らない酷いコラム著述業、アイドルイベント司会を手がける他、頼まれれば法に触れない範囲で大体のことはやる。2015年より福岡市西区に在住。(九州ウォーカー・森川和典)

Sunshine 1st ANNIVERSARY PARTY!!!@sound bar brick(福岡・大名)[2019.12.8]