意志の強さを表すまなざしと凛とした空気感が印象的。「アライブ がん専門医のカルテ」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)で乳がん患者の佐倉莉子を演じている小川紗良は、1年前に大学を卒業した23歳。18歳のときに映画「イノセント15」(2016年)に主演して映像作品の面白さに魅せられ、俳優として活動してきた。

【写真を見る】お花を頭に乗せる、小川紗良

今回はそんな彼女に、ドラマの役どころや、俳優のみならず映画監督としての今後の目標について話を聞いた。

■ 小川紗良インタビュー

「18歳のとき、将来のことは何も考えていませんでしたね。元々映画も好きだし撮影現場も楽しかったし、後先考えずにこの世界に飛び込んだ感じです。でも、莉子もそうだと思うんですが、何か大きな決断をするときは勢いでやれる。その後、続けることの方がずっと大変なんだと思います」

莉子は自分ががんであることを受け入れ、手術を受けた。その後、抗がん剤治療に入るが、副作用で髪の毛が抜けショックを受ける。

「莉子も頑張って治そうとは思っているけれど、抗がん剤治療は過酷で、数年間続くし、再発するかもしれない…。ドラマを見てくれた人から『難しい役だね』と言われたこともあったんですが、普通の女の子がたまたまがんになっちゃったと考え、等身大の感覚を大事にしたいなと思って演じています」

担当医である心(こころ)を演じる松下奈緒とは、朝ドラの「まんぷく」(2018〜2019年、NHK総合ほか)で主人公の娘・幸を演じて以来の共演。他のキャストは初共演だそう。

「撮影に入るとき、松下さんが『幸ちゃん、髪形が変わったね』と声を掛けてくださいました。第2話で心先生が手術をためらう莉子を“がんサバイバー”である薫先生(木村佳乃)に引き合わせてくれる場面では、すごく緊張していたんですが、松下さんと木村さんが雑談をしてくださったおかげで、気持ちがほぐれました」

■ 俳優のみならず映画監督としても活動

ドラマも後半に入り、注目は莉子の治療が順調に進むのかということ。そして、心を通わせる研修医・結城(清原翔)との関係は?

「莉子は悩みながら治療を受けていくけれど、最終回まで希望を持って続けてくれたらいいなと思います。結城先生との関係も気になりますよね。恋愛感情なのか単なる親近感なのか…。その微妙な感じのまま進んでいくのかな(笑)」

俳優のみならず映画監督としても活動しており、今年は初の長編監督作品「海辺の金魚」も公開予定。

鹿児島阿久根市を舞台に、一人の少女が人生においての一歩を踏みだすところを描きました。映画製作は地道な作業が99%。脚本を20回ほど書き直し、完成まではずっと苦しんでいましたね(笑)。でも、公開して作品が誰かの心に届いたときには、それまでの苦しみを超える喜びがあるはず」

監督としては「毎年何本もコンスタントに撮れるタイプではないので」と、マイペースで続けていくそう。その発想の源は?

「自分の中で気になるテーマが積み重なって、あるとき『やろう』と動きだす感じ。普段、電車で移動しているときに聞こえてくる声だったり、本から得た知識だったり、そういうものをスマートフォンに記録してストックしています」(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)

小川紗良