〇〇さん家の猫がかわいすぎる Vol.6】


「すべての猫にリボンを」という願いを込め、「Ribbon Cat」という猫のキャラクターを描いているデザイナーの仲田愛美(@nakadamanami)さんは現在、おうちで6匹の猫と生活中。その中でも仲田さんの価値観を変えてくれたのが、生まれつき目がない全盲猫のチャムくん。



“Ribbon Cat”という猫のキャラクターを描いているデザイナーの仲田愛美(@nakadamanami)さん宅の、全盲猫チャムくん



 今回は、チャムくんとの出会いやRibbon Catに込めた想いなどを詳しく聞きました。


◆娘の一言で決心した、目がない黒猫との暮らし
「80代半ばの義祖母が黒い子猫を親戚から預かり困っていたので、家族で会いにいきました。」
 出会った頃のことを懐かしそうに思い返す仲田さんは対面前から、チャムくんの目に病気があることは聞いていたそう。しかし、実際に会った時に目がないことを知り、正直不安に……。そんな時、心に響いたのが当時4歳だった娘さんの口から出た「ふわふわでかわいいから飼いたい」という、優しい言葉でした。


 実はチャムくんは2度捨てられ、ボランティアの人にも断られ、半年もの間ちゃんとした飼い猫になれなかった子。
「娘の言う通り、目の前にいたチャムはふわふわで、かわいい猫でした。できないこともあるけれど、できることもたくさんある。他の猫と何ら変わりがないと思えたんです。」


 実際、家族になってみると、チャムくんは見えないことを受け入れつつ、普通に生活し始めたそう。仲田さんがキッチンで料理をしていると、足にじゃれつくことも。そして、おもちゃを取ってきた時には得意げにアピールをします。




 そんな無邪気な姿を見ているうちに、仲田さん家族はチャムくんが全盲であることを忘れていきました。




「見えていない分、臆病だったり不安から威嚇したりすることもありますが、見えていてもそういう子はいるので、特別なことではないなと。この子は神経質だとか食欲旺盛だとか、そんな個性と同じような感覚です。」


 家族になるきっかけを作った娘さんとチャムくんは、今でも大の仲良し




 自分に向けられる優しい笑みをチャムくんは、心で感じとっています。


◆チャムくんとの出会いを一冊の絵本に
 そんなチャムくんとの出会いを仲田さんは5年前、一冊の絵本にし、猫雑貨イベントで販売しました。


 小さな頃から野良猫が友達だった仲田さんは当時、外猫をなくそうという考えをなかなか受け入れられなかったそう。
「だからこそ、都内で熱心にTNR活動(外猫を不妊・去勢手術する活動)をしているボランティアの方々と親しくなって、実際に手術現場を見せてもらったり、様々な活動内容を伺ったりしました。」


 そうした中で知ったのは、外猫たちが置かれている厳しい状況とボランティアさんたちの熱い思い。胸がいっぱいになると共に、時代の流れによって猫と人の共存方法は変わらざるを得ないのだと痛感しました。
「もしかしたらこの先、外で猫に出会うことはなくなるかもしれない。そう思ったら、チャムとの出会いをひとつの足跡として残したくなりました。」


 こうして制作された絵本には、大きな反響が寄せられたそう。




 現在、再販の予定はないそうですが、何か機会があれば、その都度考えていきたいとのことでした。様々な感情が芽生えてくる仲田さんの絵本は、大人だけでなく子どもの心にもじんわりと響きます。


◆「すべての猫にリボンを」に込められた願い
 仲田さんの猫愛は自身がデザイナーを務めているRibbon Catにも反映されています。



 Ribbon Catは特定の猫をモデルにしたものではなく、仲田さんが思い描いている“猫の象徴”をキャラクター化したもの。「すべての猫にリボン」というキャッチコピーには、深い祈りが。


「私の中でリボンは愛しいもの、大切なものにつけるというイメージがあります。リボンは人から愛されている、大切に思われている証。人と猫は古くから同じ世界に生き、お互いを必要としてきました。土地や環境によって共存の仕方はひとつではないかもしれないけれど、すべての猫が人の愛を感じて生きていけますように……という願いを込めました。」


 また、仲田さんが2年前に描いた油彩画「みんな何か欠けている、みんな何か持っている」も奥深い作品。


◆そのままの姿が愛おしい



 この作品は自身や飼い猫のグレちゃん、チャムくんをモチーフにしたもの。
「チャムは目がないけど、足は4本持ってる。グレは前足が1本ないけど、目は2つ持ってる。私は人間だけど猫みたいに柔軟に生きたいし、チャムみたいな長い尻尾にも憧れる。」


 たとえ何かが欠けていたとしても何かはちゃんと持っていて、そのままの姿が愛おしい。この作品には、そう感じさせてくれる力があります。


 大人だけでなく子どもの心にも響く表現法で命の大切さを訴えかけている仲田さんは、今後も猫を描き続け、猫の幸せに繋がるような活動をしたいと意欲を燃やします。心を揺さぶる、かわいくも奥深い作品をこれからも待ちわびたくなりますね。


<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>


【古川諭香】愛玩動物飼養管理士・キャットアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter@yunc24291