新型コロナウイルスによる肺炎が発生した以降、中国当局と約2年間貿易交渉を続けてきた米国のみならず、世界各国も経済上、中国とのデカップリング(分断)を余儀なくされた。専門家は、世界経済のサプライチェーン再編が進められていると指摘した。

英紙フィナンシャルタイムズ(FT)のコラムニスト、ラナ・フォローハル(Rana Foroohar)氏は昨年12月21日に発表した記事で、「過去40年間における世界の政治経済が中国を中心にしたグローバル化市場経済であるなら、今後40年間は中国とのデカップリングに転じるだろう」との見方を示した。

湖北省武漢市をはじめ、中国の大中小都市で都市封鎖や外出・移動規制の措置が実施された。中国当局はこのほど、経済崩壊を回避するため、企業や商店に圧力をかけて生産操業・営業の再開を命令した。しかし、ロイター通信2月24日の報道によると、移動規制などの措置で従業員が工場に戻れないため、中国の中小企業の操業再開率は約3割しかない。

習近平国家主席は23日の感染対策会議において、「企業の生産操業再開を推し進めていく」と再び言及し、「新型肺炎のまん延による経済への大打撃は避けられない」と述べた。

大紀元コメンテーターの唐浩氏は、自身の時事動画番組「世界の十字路口」で、「企業の経営破たんや失業者の急増は共産党政権にとって致命傷になるだろう。これを感じた当局は、政権維持のために、急いで企業に生産活動の再開を促した」と話した。

中国企業の生産操業停止は世界経済にも打撃を与えた。米国の医療設備メーカー、バレリタス(Valeritas)は2月上旬、経営破たんを発表した。中国サプライチェーンの寸断が主因だという。

アップル2月17日、新型肺炎の影響で中国からの部品供給の制約と中国での小売り販売の低迷が主因で、630億ドル以上と見込んでいた1~3月期の売上高目標を達成できない見通しだと公表した。ナイキやアディダスなどの米企業も、中国工場の稼働停止や営業中止、物流網ストップによる原材料の調達難に直面している。

一方、ロイター通信2月26日付によると、トヨタ自動車は、中国からの部品調達の不足により、将来数週間、日本国内の工場は「サプライチェーンによる影響が懸念されている」

同社の中国の4工場は、天津市、吉林省、広東省と四川省成都市に位置する。天津市などの3工場は今月17日と18日に稼働を再開し、成都市の工場は24日に再開した。報道によると、天津市などの3工場の生産体制はこれまでの半分程度にとどまり、成都市の工場は半分以下になったという。

ホンダは中国に5工場を持つ。うちの3工場は、新型肺炎の発生源である湖北省武漢市にある。同社は2月20日、操業再開は3月11日以降になると発表した。湖北省は中国の自動車や部品生産の重要拠点である。

また、日経アジアレビュー2月21日付は、ファーストリテイリングが展開する衣料品ブランドユニクロ」の東南アジアでの生産工場は、中国からの原材料に頼っているため、3月、ユニクロの在庫に影響が出る恐れがあると伝えた。

新型コロナウイルスによる世界経済の停滞を懸念して、米株式市場では26日、主要株価指数のダウ工業株30種平均が5日続落し、前日比123ドル77セント安の2万6957ドル59セントで取引を終えた。

26日の東京株式市場も日経平均株価が3日続落し、昨年10月15日以来の安値となった。27日午前11時半現在、日経平均株価は前日比401円14銭(1.79%)安の2万2025円05銭を付けた。

時事評論家の秦鵬氏は米中国語テレビ放送「新唐人」に対して、「新型肺炎のまん延を通して、各国の企業はサプライチェーンを1カ国に集中することに多大なリスクがあるのを認識できたはずだ。中国からの生産移管や、他国からの原材料・部品調達を急ぐだろう」と語った。

秦氏は、中国と世界各国で新型肺炎の感染者が急増した主因は「中国当局の隠ぺい体制と防疫対策の遅れにある」と指摘した。

「今まで、各国の企業は中国の巨大市場だけに着目し、このような政治的リスクがもたらす打撃を見通さなかった。今回の新型コロナウイルスによって、外国企業は深く反省するだろう。世界製造業のサプライチェーン再編は避けられない」

(翻訳編集・張哲)

米株式市場では2月24日、投資家が新型コロナウイルスによる世界経済への大打撃を不安視したため、ダウ工業株30種平均の終値は前週末比約1031ドル安となった(JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images)