リバプールは引き抜きを避けるための条項を盛り込む

 バルセロナは2018年の冬にリバプールからブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョを獲得した。しかし、コウチーニョはチームにフィットせず、現在はバイエルンへ期限付き移籍している。英紙「ミラー」は、リバプールが恩恵を受けているとして、バルセロナがコウチーニョについて犯した5つの間違いという特集を組んだ。

「ミラー」が第一に挙げたバルセロナの失敗は、リバプールに支払った高額な移籍金だという。2017年夏にもバルセロナリバプールに対して、コウチーニョの獲得を打診したが、この時は断られている。その半年後に再びオファーを受けたリバプールは、バルサへの売却を決めている。

 この時の移籍金は1億4200万ポンド(約203億円)とされているが、当時のコウチーニョの市場価値は1億2300万ポンドであり、1900万ポンド(約27億円)は多く支払っていると記事は伝えている。

 第2の失敗として挙げられているのは、Jリーグヴィッセル神戸へ移籍したスペイン代表MFアンドレス・イニエスタの穴埋めとして獲得したことだという。イニエスタプレースタイルの異なるコウチーニョは、バルサの中盤の役割をこなせず、先発に組み込むためにはウイングでも起用されたとしたが、結局、バルセロナに居場所がなく、バイエルンへの期限付き移籍につながったと指摘されている。

 第3の失敗は、リバプールとの契約に生じているという。リバプールは過去にもアルゼンチン代表MFハビエル・マスチェラーノウルグアイ代表FWルイス・スアレスといった主力選手をバルサに引き抜かれていた。これ以上、バルサの選手供給源とならないために、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)王者は、コウチーニョの移籍の際に今後3年間にわたって両クラブ間で選手の移籍がある場合は、1億ユーロ(約119億円)を上乗せするという条項を盛り込んだという。

 現在もエジプト代表FWモハメド・サラーらの獲得を目指しているとされるバルサだが、この条約によって、獲得は困難になる見込みであり、彼らのライバルであるレアル・マドリードが優位に立つとされている。

約408億円の値引きで夏の売却に応じるか

 第4の失敗としては、今季終了後に目論んでいたバイエルンへの売却が、困難になりつつあることが挙げられた。今季、コウチーニョはバルセロナからバイエルンへ期限付き移籍したが、その契約にはシーズン終了後の買い取りオプションが付いていた。

 しかし、バイエルンのカール=ハインツ・ルンメニゲ会長は、ドイツ紙「ビルト」に対して「なぜ移籍が確定しないか? 難しい質問だ。彼はいくつかの試合で良いプレーを見せtが、その他の試合では抑えられた」と語っている。「今後の重要な数週間で、彼がチームのタイトル獲得の助けになることを期待する」と、獲得の可能性があることを匂わせつつも、現時点ではシーズン終了後の完全移籍に否定的な姿勢を見せた。

 バイエルンが買い取りオプションを行使しなければ、コウチーニョは自動的にバルサに復帰することになる。そうなれば彼らは、再びコウチーニョを持て余すことになる見込みだ。

 そして、第5の失敗には、赤字覚悟で彼を売却することになることを挙げている。バルサがコウチーニョと契約した際、契約解除金は3億5500万ポンド(約509億円)に設定されていた。当時、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は、「コウチーニョは最高の選手であり、監督も自信を持っている。私たちとの契約があり、違約金に見合う提示がない限りは、チームに残る」と発言していた。

 しかし、監督交代を経たバルセルナの状況は変わっており、彼らは夏に2億8500万ポンド(約408億円)を値下げした、7000万ポンド(100億円)でコウチーニョの売却に応じるのではないかと伝えられている。

 2年前の移籍で自らの価値を大きく下げてしまったコウチーニョは、このシーズン後半戦で、再び評価を高めることができるだろうか。(Football ZONE web編集部)

コウチーニョは現在、バイエルンに期限付き移籍中となっている【写真:Getty Images】