2017年夏に東京・大阪で上演され大ヒットしたミュージカル『ビリー・エリオット～リトル・ダンサー～』日本人キャスト版が、2020年7月から新たなキャストを迎えて東京・大阪で再演される。
物語の舞台は1980年代のイギリスの炭鉱町。ひとりの少年がプロのバレエダンサーを目指す。その主人公ビリー・エリオットの背中を押す親友マイケル役として、ビリー役同様にクアトロキャストで長期公演に臨むのが、河井慈杏（かわいじあん）くん、菊田歩夢（きくたあゆむ）くん、佐野航太郎（さのこうたろう）くん、そして日暮誠志朗（ひぐらしせいしろう）くんである（五十音順）。
マイケル役もまた、約1年間にわたる厳しいオーディションを経て選ばれた。決定の翌日（2019年12月）、SPICEは個別インタビューを実施。その模様をひとりずつ（五十音順に）シリーズでお届けする。
（左から）河井慈杏 菊田歩夢 佐野航太郎 日暮誠志朗 （撮影：山本れお）
マイケル役への連続インタビューの3人目として今回は、佐野航太郎くんから話を聞く。佐野くんは、2009年生まれ、埼玉県出身。
ーーマイケル役が決まって、今はどんな気持ちですか？
報せを聞いたときは本当に夢なんじゃないかと思って。実際に泣きはしませんでしたが、実は心の中で泣いていました。僕ならではのマイケルを演じたいと思っています。
DVDで『ビリー・エリオット』の作品を見て、主人公のビリーが「Angry Dance」を踊ったり、すごく長い間舞台にずっと立ち続けていて、格好いいなと思って。憧れて、オーディションを受けました。
ーーオーディション中、海外スタッフから何か印象に残ることは言われましたか？
歌のレッスンでは、「もっと表現して。会話みたいにして」と言われました。「声を出せば、それが伝わるから」と。
ーー学校で好きな教科は何ですか？
体育です。特に楽しいのがポートボールです。
ーー学校での課外活動や部活動はやっていましたか？
球技クラブをやっています。いつもサッカーかドッヂボールを繰り返していて、僕はサッカーがやりたいのですが、じゃんけんで負けてドッヂボールになってしまうと、すごく悔しいです（笑）。やはり、サッカーをやっている時がすごく楽しいですね。僕はサイドバックで走っていることが多く、相手にゴールされても、味方が励ましてくれれば、みんなで協力しあっているなと思えるのがいいですね。
ーー趣味は何ですか？
趣味は野球です。小学2年生ぐらいの時に始めて、3年生ぐらいまでやっていました。スタメン出場はありませんでしたが、代打で出場すると、みんなが応援をしてくれて楽しいなと思いました。
ーー憧れの人はいますか？
King&Princeの岸優太さんです。岸さんは歌が上手くて、舞台に立っているだけで、観ているこちらも温かい気持ちになります。
ーー将来の夢は何ですか？
ミュージカル俳優か、プロ野球選手。ミュージカル俳優になりたいのは、小学3年生の時にワークショップに出て、とても楽しかったことがきっかけです。舞台もよく観に行きますが、本当にかっこいいなと思って。プロ野球選手のほうは、僕が西武ライオンズファンでよくメットライフドームに行くんですけど、選手の打つ時の構えがとにかくかっこよくて、自分もああなりたいと思って。
ーー2020年夏の本番に向けて、自分自身の中で課題だと思っていることはありますか？
タップダンスをこれからもっと頑張りたいです。このオーディションに合格したからと言って「もうタップは大丈夫」ということでは全然ないので、みんなの目が釘付けになるくらい、もっと努力して頑張りたいと思っています。
ーーあなたがマイケルと共通するところ、或いは、マイケルに共感するところは何かありますか？
マイケルは可愛いものが好きですよね。僕も、ぬいぐるみが大好きで。いつも大事にしていて、寝る時もいつも隣りに並べています。仲間というか、怖い夢を見る時でも一緒にいてくれるので落ち着きます。『ライオンキング』のシンバのぬいぐるみが特にお気に入りです。
ーー舞台では、どんなマイケルになりたいですか？
今までにないマイケルの個性を引き出して、史上最高のマイケルになります！
ーー劇中でお気に入りの場面はありますか？
ボクシングのシーンです。マイケルとビリーは仲がいいですよね。ボクシングなのにお互いにパンチをして謝るところが面白くて。あと、ビリーが「バレエをやめる」と言って、マイケルが「良かった」と言うところです。マイケルがその理由を「寂しいから」と言ったところで感動しました。
ーーそれでは最後に、読者の皆様に一言お願いします。
これからレッスンやトレーニングでいろいろ大変なところもあると思いますが、お客様の目が僕に釘付けになるくらい、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします！
（左から）河井慈杏 菊田歩夢 佐野航太郎 日暮誠志朗 （撮影：山本れお）
ミュージカル『ビリー・エリオット ～リトル・ダンサー～』は、2000年に公開された映画「リトル・ダンサー」をエルトン・ジョンの音楽でミュージカル化した舞台作品。映画版の監督スティーヴン・ダルドリーが舞台版でも演出を手掛けた。脚本は「ロケットマン」を手掛けたリー・ホールが担当。2005年にミュージカルの舞台がロンドンで開幕すると空前の大ヒットを記録し、イギリスで最も権威ある演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞を含む4部門を受賞。2008年にはブロードウェイに進出、トニー賞10冠の快挙を成し遂げた。2017年日本初演では、東京と大阪で約4か月に渡る異例のロングラン公演をおこない、16万人を動員し、数多くの演劇賞を受賞するなど大成功を収めた。
取材・文＝五月女菜穂
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