代替テキスト

政府は今、「全世代型社会保障」を進めようとしている。これまで高齢者福祉に偏りがちだった社会保障を、子どもや現役世代も含めたすべての年代が満足できるものに変えていこうという。幼児教育の無償化がその一端だが、実は、負担が減ることばかりではない。財源が切迫していることから、逆に、負担増を強いられることも多いのだ。

「今、検討されているのはおもに2つ。1つ目は、一定の所得がある75歳以上の方が、病気などに支払う医療費を現状の1割から2割負担に引き上げること。2つ目は紹介状なしで大病院を受診したとき、今は初診料に最低5,000円が上乗せされますが、この上乗せ額を増やし、対象となる病院も増やすこと。医療費はますます上がっていきそうです」

こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。そこで、医療費を節約できる方法を2択クイズ形式で荻原さんが出題! 正解はどっち?

【Q1】病院で長時間待って、やっと診察が終わり。もうヘトヘトだが、薬はどっちが安い?

自宅近くの処方せん薬局 or 病院のそばにある薬局

正解は、病院のそばにある薬局。「病院で処方された薬は、国が薬価を決めていますから、どこでもらっても同じ値段です。ただ、薬局の手間賃ともいえる「調剤技術料」が薬局によって違うのです。調剤技術料は、利用する患者さんの数でおおよそ決まっています。つまり調剤技術料は、患者さんが利用しやすい順に、病院内にある院内薬局がもっとも安く、次は病院の前にある門前薬局、チェーン店のドラッグストアと続き、町の薬局がもっとも高くなる傾向があります。受診で疲れていても、もうひとがんばり! 薬は、病院の近くでもらっておきましょう!」(荻原さん・以下同)

【Q2】病院でもらう持病の薬。飲み忘れて余っているけど……

医師の書いた処方せんは絶対! 薬局では変えられない or 薬局で頼めば減薬OK! その分薬代が安くなる

正解は、薬局で頼めば減薬OK! そのぶん薬代が安くなる。「以前は、医師の処方せんを薬局で変えるなど、できませんでした。ですが、’18年度の診療報酬改定で、処方せんより少ない日数分の薬を出す際のルールが決まりました。患者から『薬が余っている』と聞いた薬剤師は薬を減らし、医師に報告することになったのです。ですから今は、薬局で頼めば薬を減らしてもらえますし、減った分、薬代は安くなります。でも、薬は決められたとおり、きちんと飲んでくださいね」

【Q3】持病があって定期的に通院。どっちが安い?

1カ月に1度受診して、薬を4週分もらう or 2週間に1度受診して、薬を2週間分もらう

正解は、1カ月に1度受診して、薬を4週分もらう。「先ほども触れたように、病院でもらう薬は薬価が決まっているので、薬代だけを考えると、どちらも同じです。ですが、病院で診察してもらうと、医師の診察料や投薬料、薬局の調剤報酬などが、そのつどかかります。診察が減ると、こうした料金がかからないので、一度の診察で、できるだけ長い期間分、たくさんの薬を出してもらったほうが経済的です。ただし、この変更は薬局ではできません。受診の際に医師に相談してください」

新型コロナウイルスの流行は収まる気配もなく、先行きの不透明感が強いなかで、「残念ながら今年も給料は上がらないでしょう」と荻原さんは語る。

「私たちは、医療費を含めた小さな節約を重ねて、家計防衛に努めるしかありません。ほかにも、保険など家計のムダをなくす方法を『保険ぎらい「人生最大の資産リスク」対策』(PHP新書)に詳しく書きました。参考にしてください」

「女性自身」2020年3月10日号 掲載