安倍晋三首相が2月27日新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請したことが、波紋を呼んでいる。

萩生田光一文部科学相は2月28日朝、「地域や学校の実情を踏まえ、さまざまな工夫があっていい」と発言。

共同通信2月28日)によると、文部科学省の担当者も、一斉休校はあくまでも要請で、各教育委員会などが休校しない判断をすることは排除しないとの見解を示したという。

休校は誰が決めるの?

そもそも、感染症の予防のために学校を休校にする場合、誰がどう決めることになっているのか。

臨時休校について定めた学校保健安全法第20条は、「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、 臨時に、学校の全部または一部の休業を行うことができる」としている。

学校の設置者とは実質的には、公立の小中学校であれば市町村の教育委員会、高校や特別支援学校であれば都道府県の教育委員会だ。つまり、休校の判断をするのは、都道府県ないし市町村の教育委員会となる。

「要請」は「お願い」ではあるが…

そうなると、安倍首相の「要請」はどのような意味を持つのか。

明星大学教育学部の樋口修資教授は「教育は地方自治が原則」とした上で、今回の「要請」がもつ影響力を懸念する。

「要請というのはお願いであって命令ではない。ただ、現場サイドで見ると『そうしなさい』という命令に近い口調に聞こえてしまう。同調圧力で全ての自治体で行われる可能性がある」

「学校の臨時休校は非常に影響が大きいものなので、あくまで感染症の予防上必要があるときに限られる。新型コロナ感染者が出ていない都道府県も含め、全国一斉に臨時休校にしなさいというのは、地域の実情を踏まえないもので、一律の休校をするには課題が山積みだ」

安倍首相の要請よりも前に、一斉休校に動いていた都道府県もある。

感染者があいついで確認された北海道では、鈴木直道知事が2月27日から1週間、全道の小中学校臨時休校にするよう、各市町村に要請していた。

これも「要請」にとどまっている理由は、道は小中学校の設置者ではないため、各市町村の教育委員会に「お願い」するという立場のためだ。

今後の流れは?

今後の見通しとしては、文部科学省からの通知をうけ、都道府県の教育委員会が一斉休校するかどうかを判断し、小中学校については、都道府県の教育委員会から通知を受けた市町村の教育委員会が判断することになる。

樋口教授は影響について、「文科省としてもあくまで要請であり、最終的な判断は各都道府県市町村で行いなさいというものです。ただ、教育委員会としては『臨時休校せずに新型コロナ感染者がでた場合、責任を問われるのではないか』など怖気づくから、右へならえで行われる可能性は高い」と話した。

各家庭に大きな影響を与える休校。憲法26条で保障された「教育を受ける権利」との兼ねあいも生じ、本来慎重な判断が求められる。

まだ新型コロナウイルス感染者が現れてない地域で、一斉に休校が本当に適切な措置なのか。各自治体の判断が問われることになる。

安倍首相の「休校要請」に「右へならえ」でいいの? 教育学者は影響を懸念