ロシア・ピアニズム”の申し子、イリーナ・メジューエワが、祖国を遠く離れた東京で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会に挑む。その第1回と第2回公演(同日開催)が目前だ。会場となる東京文化会館は、1997年のイリーナ・メジューエワ日本デビュー公演の会場となった思い出のホール。以来、日本に拠点を据えて幅広い演奏活動を続けてきただけに、公演にかける思いも一際強いに違いない。

第1回公演は、23番『熱情』を筆頭に1番、6番、24番、25番の5曲。そして同じ日の夜公演となる第2回では、21番『ワルトシュタイン』を筆頭に、2番、5番、19番、20番の5曲が披露される。J.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集』が音楽の『旧約聖書』に例えられるのと同様『新約聖書』と称されるベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲。この傑作群を名手イリーナがどのように描き出すのかに注目したい。

●公演概要

3月7日(土)東京文化会館小ホール
「イリーナ・メジューエワ ピアノソナタ全曲演奏会 第1回、第2回」

6月13日(土)東京文化会館小ホール
「イリーナ・メジューエワ ピアノソナタ全曲演奏会 第3回、第4回」

●イリーナ・メジューエワ IRINA MEJOUEVA(ピアノ)

(C)奥村和泰

ロシア生まれ。モスクワのグネーシン特別音楽学校とグネーシン音楽大学(現ロシア音楽アカデミー)でウラジーミル・トロップ教授に師事。1992年ロッテルダム(オランダ)で開催された第4回エドゥアルド・フリプセ国際コンクールでの優勝後、オランダドイツフランスなどで公演を行う。

1997年からは日本を本拠地として活動。2002年、スタインウェイジャパンによる国内コンサートツアー。2003年、サンクトペテルブルク放送交響楽団日本国内4都市で共演。2005~06年にはザ・シンフォニーホール(大阪)で4回にわたるリサイタル・シリーズを開催。2006年からは毎年京都でリサイタルを行う。2017/2018シーズンには、日本デビュー20周年記念として東京文化会館において全3公演のリサイタル・シリーズを行うなど精力的な演奏活動を展開している。

CD録音にも精力的で、これまでに多数のアルバムをリリース。「ショパン:ノクターン全集」は2010年度レコードアカデミー賞(器楽曲部門)に輝く。2017年9月には「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」(講談社現代新書)を出版。

2006年度青山音楽賞受賞。2015年、第27回ミュージック・ペンクラブ音楽賞(クラシック部門、独奏・独唱部門賞)を受賞。

イリーナ・メジューエワ