coffee-171653_640_e

Christoph/pixabay

 コーヒーがスウェーデンに初めて伝えられたのは1674年頃だが、実際に普及したのは18世紀で、富裕層を中心に広く流行するようになった。

 しかし、その流行を懸念したのが当時のスウェーデン国王、グスタフ3世である。彼は拷問の廃止や、言論の自由の法律化など、優れた政治を行った国王だが、「コーヒーは体に有害に違いない」という先入観があったようだ。

 再三にわたりコーヒー禁止令を出しただけでなく、コーヒーの危険性を自ら証明しようと、死刑判決を受けていた一卵性双生児に過酷なコーヒー実験を行ったのだ。さてその実験結果は?

―あわせて読みたい―

コーヒーでトリビア。コーヒーを禁止しようとした5つの国の面白ストーリー
国が違うとこんなに違う。世界16のコーヒーの飲み方
カフェインの量がパネェ!世界最強のコーヒー「インソムニア」が爆誕
毎日コーヒーを3杯飲む人は長生きするという調査結果(英・米研究)
1日4杯のコーヒーで得られる4つの驚きの健康効果

死刑判決を受けた一卵性双生児を実験台にコーヒー実験

 1771年にスウェーデンの国王として在位したグスタフ3世は、コーヒーの摂取が公衆衛生への脅威と考えており、健康に有害だと信じていた。

 そこで、コーヒーの危険性を自ら証明しようと科学的実験を行うよう命じた。

 実験台に選ばれたのは、一卵性双生児の双子の兄弟だった。彼らは犯罪者で、既に死刑判決を受けていたが、実験に参加するならばその見返りとして終身刑に減刑すると持ちかけられ、承諾した。

 実験は、双子の1人は1日ポット3杯のコーヒーを、もう片方は1日ポット3杯の紅茶を死ぬまで飲み続けるというもので、グスタフ3世はコーヒーを毎日飲んでいる方が早死にするという予測を立てていた。

king_e


その実験結果は?


 しかし、実験に携わっていた2人の医師は、実験完了前に死亡してしまった。死因は2人とも老衰とみられている。

 また、グスタフ3世も1792年に暗殺され、実験結果を見ることがないまま他界した。

 結果として、双子のうち先に死んだのは毎日紅茶を飲んでいた方だった。とはいえ死亡した年齢は83歳だったそうで紅茶で早死したわけではなさそうだ。一方でコーヒーを飲んだ方だが、83歳よりも生きていたことはわかったが、いつ死亡したのかは不明となっている。

 結局、コーヒーが体に有害であることを証明することには失敗したようだが、21世紀現在、コーヒーや紅茶の健康に与える影響は詳細に調査されているし、どんな飲み物でも過剰摂取は良くないことを皆知っている。

coffee-2358388_640_e

TeeFarm/pixabay

 つい最近、海外掲示板でこの1件が投稿され、話題になった。ユーザーらは下記のようなコメントをしている。

・紅茶を飲みすぎると、紅茶に含まれるシュウ酸で尿路結石になりやすいということだから、それで紅茶を飲んだ方が早く死んだのでは?

・1組の双子じゃなく、300組ぐらいを対象にすれば、きっと結果も違っていただろう。
→・確かに。でも1700年代なんて、正確で洗練された科学的手法なんてなかったんだよ。

・誰か、この国王にタイムトラベルで現在のスタバの状況を見せてやってくれ。

・なんの意味ある結果ももたらさない実験だな。ヘビースモーカーが90歳まで生きて、禁煙者が30歳で肺がんになって死ぬことだってあるんだ。

・コーヒーを飲み続けた方が何歳で死んだのか知りたい。
→・だよな。肝心の結果が抜けてるじゃないか。

・コーヒーが(紅茶に)勝った、ということでいいのか?
→・いや、まぁ、コーヒーだって大量摂取すると体に悪いわけだし。


coffee-2714970_640_e
cocoparisienne/pixabay

現在、スウェーデンは1人当たりのコーヒー消費量が世界でもトップ


 18世紀後半のこのコーヒー実験や再三にわたるコーヒー禁止令が施行されたにも関わらず、当時のスウェーデンではコーヒーを飲む習慣が断絶されることはなかった。

 そして現在では、スウェーデンは1人当たりのコーヒー消費量が世界で最も多い国の1つとなっている。他にもノルウェーデンマークフィンランドなど北欧の国がトップ入りしている。

 ちなみに、グスタフ3世のコーヒー実験は「スウェーデン初の治験」とジョークで呼ばれているそうだ。

References:Redditなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52286988.html
 

こちらもオススメ!

―料理・健康・暮らしについての記事―

「パニックによる買い占め」と「合理的な危機への備え」との違いは何か?
完璧主義は目的を見失う。心理的柔軟性を身に着けるための2つのヒント
寒い冬を野外で過ごすホームレスの人々のために。寝袋と衣服が一体になった「シェルタースーツ」
AIで脳波を調べることで、個々にあった適切なうつ病の治療が行える可能性(米研究)
お好み焼きにご飯みたいなもんなのか?フライドポテトを挟んだバーガーキングのハンバーガーが登場(ニュージーランド)

―知るの紹介記事―

ベテルギウスが再び輝きを取り戻しつつある兆候。超新星爆発は免れたか?
「パニックによる買い占め」と「合理的な危機への備え」との違いは何か?
スミソニアン博物館、280万点以上の作品をデジタル化&無料ダウンロード可能に
完璧主義は目的を見失う。心理的柔軟性を身に着けるための2つのヒント
「おまわりさん、迷子になりました」自ら警察署に出頭した犬(アメリカ)
「コーヒーは体に悪いに違いない」18世紀のスウェーデン国王がそれを証明しようと行ったコーヒー実験、その結末は?