新型コロナウイルスの感染拡大の影響が再びF1に襲いかかりそうだ。4月に第4戦として組まれていた中国GPの開催延期が2月12日に発表されたが、感染は一向に収束する気配を見せず、爆発的な大流行、いわゆるパンデミックに発展しそうな事態に。

昨年のオーストラリアGP((C)RedBull Content Pool)

「パンデミックの危険性が非常に高い」

 そこで欧州外で行われる開幕戦オーストラリアGP(3月15日決勝)、第2戦バーレーンGP(3月22日決勝)、初開催となる第3戦ベトナムGP(4月5日決勝)に中国GPを加えた計4戦の実施を見送るとのうわさが飛び交いだした。

 特にオーストラリアGPについてはスコット・モリソン首相が2月27日に「パンデミックの危険性が非常に高い」との認識を示し、緊急対策を実施すると発表。今のところ大規模なスポーツイベントの中止を求めていないが、切迫した状況にはあるようだ。

 それでも地元のビクトリア州政府はグランプリを計画通りに実施する方針を貫いており、同州のマーティン・パクラ・スポーツ大臣が「メルボルンはF1とテニスグランドスラムを開催する唯一の都市。3月15日アルバートパークで開催25周年を祝うことを楽しみにしている」と中心は念頭にないようだ。

 グランプリ現場に従事するF1チームのメンバーは1チームあたり約60人に制限されているため全10チームで約600人。これにサーキットの運営スタッフ、メディア、チームゲストを含めるとパドックには1500人近い数が集結する計算で、常に集団感染の危険をはらんでいる。

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開幕戦の開催を強行するか、断念するか

選手と触れ合えるミックスゾーンには多くのファンが集結((C)RedBull Content Pool)


 昨年10月のメキシコGPではマクラーレントロロッソ(現アルファアウリ)、ルノーで集団食中毒が発生し、約150人が嘔吐(おうと)や下痢の症状を訴えた。今回も1人でもパドックから新型コロナウイルスに罹患(りかん)した人間が見つかれば、かなりの数の濃厚接触者が出るのは確実だ。その場合は、そのグランプリだけでなく、次戦以降の開催にも大きな影響を及ぼし兼ねない。

 オーストラリアGPは手厚いファンサービスが有名で、パドックの隣にある広場の特設ステージで選手のトークショーを行うほか、「入り待ち」のファンが選手にサインできるようパドックの入り口には専用スタンド観戦席付きのミックスゾーンが設けられている。安全に開催するには、少なくとも観客をできるだけ近づけさせない方策を取らざるを得ない。

 ホンダも開幕戦への準備に余年はないが、日本から直接渡航した場合は入国拒否される可能性もあることから、英国の前線基地で働く駐在メンバーは日本を経由せずに直接現地に入るという。

 スペインカタルーニャサーキットで2月末に行われた合同テストでも不要な感染を恐れてフェラーリアルファタウリなどは派遣メンバーを必要最小限にとどめたほど。開幕戦の開催を強行するか、断念するか、F1は決断を迫られている。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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「パンデミックの危険性が非常に高い」F1開幕戦の開催を強行するか断念するか、決断が迫られる事態に