MBS/TBSドラマイズム「死にたい夜にかぎって」(MBSでは毎週日曜夜0:50-1:20、TBSほかでは毎週火曜夜1:28-1:58ほか)に出演する賀来賢人山本舞香に、同作への思いや撮影現場での様子などを聞いた。

【写真を見る】浩史(賀来)&アスカ(山本)の“キス”シーンは大きな話題に!アスカが浩史のほほに手を添え…!!(第1話より)

「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」憧れのクラスメイトにそう指摘された少年は、この日を境にうまく笑えなくなった――。

死にたい夜にかぎって」は、原作者・爪切男本人のまさかの実体験のエピソード。幼くして母に捨てられた男、小野浩史(おの・ひろし)が、さまざまな女たちとの出会いを通じ、ときにぶつかり合い、たまに逃げたりしながら、少しずつ笑顔を取り戻していくという、もの悲しくもユーモアあふれる物語。

初恋の相手は自転車泥棒、人生で一番愛した女性・アスカは、変態に唾を売って生計を立てていた。

そんなどうしようもない男が、人生最愛の女性アスカと過ごした6年間を中心に、過激な女性たちに振り回された、ろくでもない半生を描く。

うつ病アスカに首を絞められたり…

――「死にたい夜にかぎって」に出演が決まったときはいかがでしたか?

賀来:今作は、冴えない男と、とても元気でオープンだけど心が強くない女性の物語。

そこにすごくドラマがあるわけでも、分かりやすい出来事が起こるわけでもないんだけど、2人のやり取りが妙に泣けたり笑えたり、いろんな要素が詰まった作品だなって。

実はそういうドラマを一度やってみたかったというのと、監督も長くお付き合いのある方だったので、喜んでお受けしました。

山本:最初にお話を聞いたとき、「今の自分がやるべき作品だな」って思ったんです。ことしでデビューして10年目なんですけど、こういう役はやったことがないし、新たな経験として挑戦してみたいと思いました。

――それぞれが演じる役の魅力は?

賀来:僕が演じる小野浩史は、幼くして母に捨てられ、その後も女性に振り回され続ける大変な人生を過ごしてたきた男。人間としても決して強くはないんですけど、山本さん演じる(橋本)アスカに出会って、少しずつ笑顔を取り戻していくんです。

劇中では、うつ病アスカに首を絞められたり、いろいろディープな出来事も起こるんですが、浩史は全てを受け入れるというか。結構ポジティブに捉えるんです。

「まぁいっか」で乗り越えられるのが浩史の魅力だし、そこに彼の全てが集約されている気もします。人間らしいピュアなキャラクターですね。

山本:アスカはすごく明るくて真っすぐな子なんですけど、彼女が「普通」と思ってることは周りからすると普通じゃない。例えば、(変態に)唾を売って生計を立てるとか。

浩史と出会ってからは、ちゃんと仕事をしようと頑張るんだけど上手くいかなくてうつ病になったり、自分と離れたほうが幸せになれるんじゃないかと思って浩史の首を絞めたり…。

すごく難しい役ですね。でも笑うときは素直に笑うし、本当に浩史のことが好きなんだなっていう姿が可愛らしくて。そこがアスカの魅力かなと思います。

■ 芝居をしてないときも毎日息がしづらいというか

――役に共感できる部分はありますか?

賀来:浩史はよく「どうせ俺なんて…」ってところから入るんですけど、僕もそれはしょっちゅうです。仕事で自信がなかったり、高いハードルが目の前にあったりして。

そういうときは「俺はできる、俺はできる」って自分にマインドコントロールをかけて乗り越えます。言霊(ことだま)じゃないですけど、わりとクリアできたりします。

山本:うつ病という病気は、共感ではないけど気持ちが分かる部分はあります。

そういう部分をしっかりと演じて伝えられるように、もっともっとアスカを自分の中に入れたいと思うし、芝居をしてないときも毎日息がしづらいというか、苦しい。そこまで思うのは初めてです。

――さまざまな女性に翻弄される浩史ですが、お二人は異性のワガママをどこまで許せますか?

賀来:好きな人だったら全然どこまででも。逆に興味のない人はちょっと受け入れられないかも(笑)。

山本:それはそうですよね。普通、普通(笑)。

賀来:自分が相手に対してどう向き合っているかによるのかなと思います。

山本:分かります。あと、ワガママの度合いですよね。

■ “死にたくなる夜”はありますか?

――タイトルにちなんで“死にたくなる夜”はありますか?

山本:おー。質問がシリアス(笑)。

賀来:僕はないです。むしろ生きることにすごく執着しています。死ぬのが怖いから、生き続けたいです。

山本:辛くなることはありますよ。ただ、苦しくても「生きてたら楽しいこともあるな」って思うし…。

――そうなんですね。撮影はまだ続きますが、ここまで共演しての感想はいかがですか?

山本:賀来さんはオンオフの切り替えがすごい。撮影が終わるとすぐ“賀来賢人さん”に戻って「お疲れ様でしたー」って。

賀来:(笑)。

山本:でもリハのときから役の眼鏡をかけてくださったり、衣装を着てくださったりしたので私はすごくやりやすかったです。合間にもいろんな話を聞いてくださって。

賀来:色んな話をするよね(笑)。

山本:そう。私が抱えてることをバーッてしゃべったら、賀来さんが「あーわかる」って。「そうだよね」って聞いてくれたり、共感してくださったりするのが優しいなって。

賀来:俺、全部受け入れるよ(笑)。

山本:すごく話しやすいです。

賀来:舞香ちゃんは今回の現場にすごく集中して臨んでくれてると思う。アスカはかなり起伏の激しい役だけど、現場の居方もシーンごとに変えててすごいなって。そういう空気を自分から作ってくれるから、芝居をしてても「うーん…」って思ったことが1回もない。

山本:やった。

賀来:監督を交えて3人でちゃんと話すこともあるし、すごく良いものが撮れてるんじゃないかなって思ってます。

■ 「鬱・不安障害・不眠障害」という精神病だと――第2話あらすじ

漫画喫茶でバイトをしていると嘘をつき、変態に唾を売る仕事を続けているアスカ(山本舞香)。

どうにかアスカを唾業界から抜け出させようと、浩史(賀来賢人)は安月給のバイトを辞め、ライター見習いとして編集社へ転職することに。

仕事にも慣れ、同棲生活も落ち着いてきたある日、ご飯に手を付けないアスカが、元気のない様子で「仕事を休む」と言い出す。

心配した浩史がアスカを連れて病院へいくと、「鬱・不安障害・不眠障害」という精神病だと告げられる。診断を聞いて落ち込むアスカに、浩史は、これまで隠し続けていたある事実を打ち明け始めたー。

編集社へ転職して2年が経った頃、社長から突然、編集長になるよう辞令をうけた浩史。戸惑いながらも新しい編集部へ向かうと…そこは、部下が全員ラッパーという個性派揃いの部署だった。

一方、家では、アスカが薬漬けの日々から抜け出すために、断薬をすると言い出し、薬を減らし始めたのだが…。

(取材・文=川倉由起子)(ザテレビジョン

「死にたい夜にかぎって」に出演する賀来賢人、山本舞香