2009年の子役デビューから、丸10年を超えた永野芽郁。18年にはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』のヒロイン・鈴愛を好演し、女優としてますます輝いている彼女が、昨年9月に20歳になった。その直後にクランクインしたのが、坂口健太郎主演のミステリー『仮面病棟』だ。ここに来るまで「辞めたいと思うことはたびたびあった」という永野が、10年強の歩みと出会いを語った。そこには永野に力を与えた先輩女優の名前も。

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■中学2年、体調が悪く辛かった地方ロケ それでも芝居は楽しかった

 「『早く20歳になりたい!』と思っていたんです。だから20歳になったときはすごくうれしかった」という永野。芸能界に入ったのは9歳のとき。そして中学2年生のときに、女優業を“仕事”なんだと強く意識した。

 「三島有紀子監督の『繕い裁つ人』に参加させていただいたのですが、体調のよくないときがあったんです。地方ロケで実家から離れての撮影。ひとりぼっちで心細いし、体調も悪いしという状況のなか、それでもやらなきゃいけないのが仕事なんだなと。もちろんそれまでも責任を持ってお仕事しているつもりでしたが、そのとき本当に痛感しました」と述懐。

 ただその辛い最中にも「お芝居をしているときは楽しい」と感じていたそう。そして「向いているのかどうかは分からないけれど、私はこの仕事が好きなんだな。続けられたらいいな」と思えたという。

■しんどかった朝ドラは、大きな財産になった

 続けていく道中には、試練もあった。最大だったのは朝ドラ『半分、青い。』。しかし大変だった分だけ財産に。一番実感しているのは「自分の中に余裕が生まれた」ことだ。

 「やっている最中はすごくしんどかったんです。でもそれによって鍛えられました。今になってみると、『そんなに大変だったかな?』と思えるくらい(笑)。『仮面病棟』もタイトでしたが、『撮影は1ヵ月で終わる』と思えるし、連続ドラマも『3ヵ月で終わる』と思える。朝ドラをやり終えたことが自信になって、何かをすごく大変だと思うことがなくなくなりました」と鍛錬が成長させてくれたと告白。

 さらに「なかなかご一緒できないような大先輩方ともお仕事できました。これまで先輩方にお会いする際には、『どうしよう』と緊張感に包まれてしまうこともあったのが、みっちり付き合っていただく経験をして、ワクワク感のほうが強くなりました。朝ドラには本当に鍛えられました。ありがたいです」としみじみ。

■大きな力になった、先輩女優・中谷美紀からの言葉

 朝ドラの先輩俳優もしかり、「私、ステキな方たちとお会いできる運だけはあるんです!」と断言する永野。実は最初に女優業を意識した『繕い裁つ人』の現場でも、先輩女優に背中を押してもらっていた。

 「主演の中谷美紀さんに『あなたはお芝居が絶対にうまくなるから、ちゃんと続けたほうがいいよ』という言葉をいただいたんです! 体調が悪いこともあって、隅っこにポツンと座っていることが多かったと思うんです。そんなときに言葉をいただいて。うれしくてビックリしました。『もっともっと上手になって、またご一緒するまで頑張らなきゃ!』と前向きになりました」と思い起こす。

 また、仕事に挑む際には、いつも母の教えが胸にある。「『仕事は、やると決めたなら最後までやり遂げなさい。仕事が全部終わった状態で辞めたいのなら、いつでもやめていい。でも始めたなら途中で投げ出しちゃダメ』と言われてきました」。

■今挑戦したいのは、“乗馬”と“音楽映画”

 そして今は「女優の仕事が楽しい」という永野。挑戦したいこともたくさんある。中でも“乗馬”と“楽器”は今すぐにでもやりたいと目を輝かせる。

 「写真集(2nd写真集『No cambia』)で馬と一緒に撮影したときに、すごく懐いてくれたんです。『こっち見て』と言うとちゃんと見てポーズを取ってくれるし、本当にかわいくて。乗って歩いたりもしたのですが、少しだけだったので、もっとしっかり乗馬をやりたいです。そしたら時代劇もいいですよね」と想像する。

 続けて「あと音楽映画はすぐにでもやりたい!」と前のめりに。「特にベース。楽器は好きでいろいろやるんです。でもベースはまだリフが1つ弾ける程度なので、ちゃんと挑戦してみたいな。あとはピアノでショパンとか、実際に弾いてみたいですね。音楽もの、待ってます。うふふ」と満面の笑みを見せた。

■途中でトイレに行かないように!

 馬に乗る姿も音楽映画も、そして中谷美紀との再共演も、どれも観たいが、まずは『仮面病棟』の公開だ。永野は、ピエロの仮面をかぶった凶悪犯による病院立て籠もり事件に巻き込まれた女子大生を演じている。

 監督は木村ひさし。ドラマ『ATARU』や『民王』、『99.9 -刑事専門弁護士-』で知られる鬼才である。永野も「謎解きモノだから、映画の内容はお話できないんです」と苦笑いしながら、鑑賞へ向けてのアドバイスを送った。「最初から最後までいろんな所に伏線があって、その謎を解いていく爽快感を味わえます。でもちょっとでも目を離すと分からなくなってしまうので、トイレには行かないようにしてくださいね!」。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)

 映画『仮面病棟』は公開中。

永野芽郁、『仮面病棟』インタビュー  クランクイン!