古くから続く店が軒を連ねる二宮駅の北口を出て、さらに大通りをしばらく歩くと鮮やかな赤い店構えがひときわ目を引く「Pâtisserie Saint-Maloパティスリー サンマロー)」がある。駅から離れているが、入れかわり立ちかわりひっきりなしに客が訪れる、地元で支持されるパティスリーなのだ。

【写真を見る】日差しがいっぱい入り込む明るく広々とした店内

店内に入ると横長の大きなショーケースが出迎えてくれ、そこに並ぶ色とりどりのケーキは小さなものから大きなものまで約45種類ほど。その種類の多さに目移りし、ワクワクとした気持ちでいっぱいに! 奥の厨房ではガラス越しにテキパキと働く若いスタッフの姿が見え、活気に満ち溢れている。

オーナーを務めるのは、武田 利秋シェフ。東京・曙橋の「パティスリー ラ・ヴィ・ドゥース」でパティシエとしてのキャリアをスタートし、その後渡仏。「アルノー・ラエール」「ローランドゥシェンヌ」といった実力派シェフの元で腕を磨き、名門ホテルの「ホテル プラザ アテネ」で経験を積んだ。帰国後、「ベージュ アランデュカス 東京」のパティシエに就任。2008年に居抜きの物件を譲り受けて「パティスリー サンマロー」を開業した。

国内外でのコンクール受賞歴も多数あり、店内を見渡すと輝かしいトロフィーや賞状が飾られている。そんな確かな腕をもつ武田シェフだが、可愛らしいスイーツがあるのも「パティスリー サンマロー」の魅力の一つだ。

動物の形をした「マカロン」(150円)は、看板商品の一つ。今では広く認知されているマカロンだが、開業当時は知らない人も多かった。そこで、老若男女に興味をもってもらうために動物の形にしたところヒット。ホワイトデー前は1週間で約3,000個売れるほどの人気商品に成長した。

そして、シュークリームまでも可愛らしいクマの形に。店近辺は、子供や年配の人が多い。「地域に寄り添った店であることで、より多くの人にスイーツで幸せになってほしい」という武田シェフの思いにより、親しみのある形に変化を遂げたケーキや焼き菓子が店頭に並んでいる。

そんな「パティスリー サンマロー」で特に人気の商品はこちら!

■ カリッ、もっちり! フランスの伝統菓子「クイニーアマン」

フランスで修業していた頃に感銘を受け、今もなお作り続けているのが「クイニーアマン」(180円)。発酵生地でバターを丁寧に折り込み、砂糖を溶かして表面をカラメル状にしたフランス・ブルターニュ地方の伝統菓子だ。カリッと香ばしく、中はもっちり! バターの芳醇な香りがふわりと鼻に抜け、カラメルの甘味で満たされる何にも代えがたい幸せな味だ。フランスの伝統菓子に馴染みがない人にとっても食べやすく、「サンマローといえばクイニーアマン!」というリピーターも多い。ショーケース上にディスプレイされているのを見かけたら、ぜひ試してみてほしい。

■ 子供から大人まで愛されるメープル風味の「クマドレーヌ」

なんとも愛らしい「クマドレーヌ」(180円)は、メープル風味のマドレーヌ。「子供でも食べやすい味のマドレーヌを作りたい!」と思ったのをきっかけに、子供が大好きなホットケーキを連想。そこからメープル風味にたどり着いた。しっとりした食感の生地をかみしめると、メープルの甘いコクと香りが広がる。子供にも人気だが、大人にとってはどこか懐かしい味わいに感じられほっこりと心癒されるはず。

■ 食感や味の変化も緻密に計算された「二宮プリン」

プリンというと定番スイーツだが、「二宮プリン」(250円)はひと味違う贅沢感がある。濃厚な那須御養卵を使用したコクのあるプリンは、口に入れるととろけるような絶妙ななめらかさ! 固すぎず、トロトロすぎず、ちょうどその中間を狙ったこだわりの食感だ。食べ進む中での味の変化も計算され、カラメル、プリン、生クリームキャラメルソースの4層仕立てとなっている。今まで何回も配合を見直し、改良し続けているのだとか。常に美味しさを求めて進化を続ける武田シェフの信念も詰まった「二宮プリン」はファンが多く、イベント時の3日間で約1,600個も売れた人気商品だ。

二宮の町に溶け込み地域密着型でありながら、味わいは本格的な「パティスリー サンマロー」。店がある二宮周辺は、見晴らしがよく季節の花々が綺麗な吾妻山公園など、ゆったり散策するのが楽しいエリア。休日に少し足を伸ばしてみてはいかが?

【取材・文=磯崎 舞/撮影=奥西 淳二】(横浜ウォーカー・磯崎舞)

二宮駅から徒歩13分の場所にある