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 新型コロナウイルスの感染被害は続いている。3月10日の時点で、死者は世界22か国で4000人を超え、確認されている感染者は約11万3600人に達したという。

 そんな中、Microsoftの共同創業者兼元会長のビル・ゲイツ氏と妻のメリンダにより創設された慈善基金団体『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』が、多額の資金を投じて、新型コロナウイルスの家庭用検査キットをアメリカのシアトルで提供するプロジェクトを実施する予定であることを明かした。

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自宅で検査できるキットが数週間以内に提供予定

 The Seattle Timesによると、ワシントン州シアトル周辺は、アメリカ国内における新型コロナウイルス感染者が伝えられてから、その流行の中心地になっているという。

 ワシントン州では既に死者15名が確認されており、シアトルだけでも現在600例以上の感染者がいると推定されている。

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 そこでゲイツ財団は、シアトルのみでCOVID-19を自宅で検査できるキットを住民に提供する予定であると発表した。

 しかし、全ての市民に提供されるわけではなく、まず自身の症状にオンラインから回答し、衛生当局が「感染の可能性があり」と判断した者にのみ郵送される。

感染者が病院に行く必要性が減り、他人への感染リスクも低くなる

 キットは、インフルエンザの検査のように綿棒を使って鼻から検体を採取する方法を用いる。

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 結果は2日以内に衛生当局に通知され、陽性の場合のみ当局から連絡があるという仕組みだ。

 感染者は、オンラインで質問に答え、行動履歴を伝えることが可能となる。当局担当者が検査・隔離が必要な人への対処に当たる一方で、他の可能性のある症例の特定や、感染したと思われる場所の特定、ウイルスの広がりの追跡が可能となる。

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 最も重要なのは、自宅で検査が可能になることにより、患者がクリニックや病院を訪問する必要性が減り、他人にうつす可能性が低くなるということだ。

最終段階に取り組むゲイツ財団

 ゲイツ財団のコロナウイルス対策責任者スコット・ダウエル氏は、次のように話している。

プロジェクトの明確な日程はまだ決まっていません。アクセスできるソフトはクラッシュが予想されるためアップグレードなどの対策を行い、その他の仕上げ作業を行っているという段階です。

1日当たり、最大400件の検査が可能になると推測しています。現時点では、キットの提供がシアトル市民に限られていますが、いずれ州全体に拡大していく予定です。

すべきことがまだたくさんありますが、このプロジェクトは流行の状況を一変させる大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

1億ドルプラス500万ドルの対策費用が投入

 実はビル・ゲイツ、2018年に「今後10年内に疫病が大流行する」と予測していた。その時に備えて準備を進めていたようだ。

 このキット開発のプロジェクトは、もともとインフルエンザなどの疫病の流行を追跡するためにワシントン大学が2年にわたって行ってきた研究から発展したものだ。

 ゲイツ財団は、このプロジェクトへの取り組みのために約1億ドル(約100億円以上)の資金を投入。更に、追加金500万ドル(約5億2300万円)の支援を行い、それはキット開発の資金に充てられるという。

 シアトル・キング郡の公衆衛生局では、2月7日に71人の感染者を公式に確認したことを発表。言うまでもなく各地での感染者数は日に日に増加している。

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 ゲイツ財団CEO(最高経営責任者)のマーク・スーズマン氏は、このように声明文を発表している。

COVID-19の流行により、境界なくこの感染症が拡散し、世界的な脅威に対してコミュニティ全体が免疫を持っていない状態であることを思い知らされているといった状況です。

しかし、シアトルおよび世界中でその影響を緩和するための措置を講じることは可能です。我々は、地元コミュニティでこれらの取り組みをサポートする準備をまさに今行っている最中なのです。


 The Seattle Timesによると、早ければ数週間以内には検査キットが住民に提供される予定だということだ。

References:The Seattle Timesなど / written by Scarlet / edited by parumo
追記:(2020/03/11)本文を一部訂正して再送します。

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52288719.html
 

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