過度な演出に頼らず、音楽の本質を伴った「シンフォニックジャズ」の演奏を追求する「Symphonic Jazz & Pops Contest」。第8回の今年、全国大会に出場した18チームの中から見事総合グランプリを勝ち取ったのは、4連覇となる近畿大学附属高等学校吹奏楽部の皆さんです。その強さの理由は何なのでしょうか。主将の小阪さん、副将の有山さん、山本さんの3人にお話を伺いました。

プレッシャーに負けず、つかんだ4連覇

―― 総合グランプリを受賞された感想をお聞かせください。

小阪:4年前から3年間総合グランプリを獲っていて、去年は招待演奏をさせていただいたのですが、それは先輩方が築いてくださったものです。今年はそれを壊さないように、新しい気持ちで、「4連覇するぞ」と臨んだので、しっかり結果につながってよかったです。

有山:毎回トップを維持している状態なので、練習にも熱が入っていました。4連覇がかかっているのはすごく緊張しましたが、練習の成果を発揮できてよかったです。

山本: 並行して3月の定期演奏会に向けての練習や海外遠征の練習もあって、忙しいなかでグランプリ獲れるのかというプレッシャーがありながらも、このメンバーで獲れてうれしかったです。


―― 受賞できた一番の要因は何だと思いますか?

小阪:先輩方が作ってきてくださった音楽に、新しいメンバーがどんどん入ってさらに個性が加わっていきました。また、指導してくださる小谷先生は、音楽を楽しむことを最優先で音楽を作ってくださるので、自分たち自身が楽しんでいます。そういったところが要因なのかなと思います。

短い練習時間の中で短期集中!

―― 大会に向けて、どのような練習をしてきましたか?

山本:平日は毎日練習がありますが、学校の授業もあるので練習時間は一日に長くても2時間。先生がいらっしゃらないときは生徒が仕切ってパート練習をしたりし、短期集中しています。

小阪:合奏をすることも多いですが、今日のコンテストだけではなく他にも練習する曲があるので、コンテストに向けた合奏の時間は1日30分あるかないかくらいでした。


―― 練習で一番努力したことは何ですか?

有山:何より練習を毎日楽しくできていました。各パート内でもアイコンタクトをとったり表情を自分たちで作ったりして、いい雰囲気で練習することを心掛けました。


―― チームワークを高めるために意識していた・行っていたことはありますか?

小阪:他学年との関りを多くするために、合宿などでも部屋割りを学年ごちゃごちゃに混ぜるんです。そういうことで、学年を越えた会話などを多くできるように工夫しています。

温かい雰囲気のコンテストを楽しめた

―― 大会全体を通した感想を教えてください。

有山:初めて出た時から変わらず、この大会はスタートの仕方とか、コンテスト自体の雰囲気が楽しいです。出演者もそのテンションに乗って楽しめるので、こういう大会が日本中でどんどん広がっていけばいいなと思います。

小阪:会場が盛り上がってくれる分、自分たちも燃えるので、こうやってみんなが一体になれる場所があるのはすごくいいなと思います。

山本:他の学校も一応ライバルじゃないですか。でも、演奏が終わってから声援があったり拍手が多かったりするのがいいところだなと思いました。審査員の方や司会の方も盛り上げてくださって、雰囲気が温かいと感じました。


―― 今後の進路を教えてください。

有山:私は看護専門学校に進学します。学校が忙しくなると思うので、吹奏楽は続けないと思います。

小阪:私も大学に進みますが、吹奏楽は続けないつもりです。中学校からこの学校で吹奏楽をやりたいという強い思いがあって入学しましたが、自分のやりたかったところで満足して終わりたいと考えました。でも大学でデザインを学ぶので、芸術には携わっていきます。

山本:私は音楽大学に進学します。今後も大学でサックスを続けます。



審査委員長の天野正道さんからも「年を重ねるごとに演奏がよくなっている。いい音楽をこれからも演奏してくれればと思います。」と講評された今大会。
インタビューでも「自分たちが楽しんだ」と話す通り、近畿大学附属高等学校の演奏では総勢106名の部員の皆さんが一体となり、とてもいい表情で演奏していた姿が印象的でした。この後にはウィーンでの演奏を予定しているのだそう。海を越えて、日本の高校生を代表する素晴らしい音楽を奏でてくれることでしょう。

profile近畿大学附属高等学校 吹奏楽
小阪友萌(3年)、有山弥香(3年)、山本藍加(3年)