守護神オブラク、リバプールの本拠地不敗神話を打ち破る原動力となる

 リバプールの本拠地不敗神話を打ち破ったのは、闘将ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリードだった。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦第2戦、敵地アンフィールドで延長戦の末に3-2、合計スコア4-2で勝利し、前年度王者を撃破した。シメオネ監督は殊勲の守護神を称え、スペイン各紙も大絶賛している。

 耐えて耐えて耐えて、延長戦の大逆襲につなげた。敵地アンフィールドに乗り込んだアトレティコは相手をリスペクト。序盤こそスペイン代表FWジエゴ・コスタがチャンスを迎えたが、その後は専守防衛の戦略を選んだ。前半43分にオランダ代表MFジョルジオ・ワイナルドゥムに頭でねじ込まれ、0-1。2戦合計スコアでイーブンにされてハーフタイムを迎えたが、ここからがアトレティコの真骨頂だった。

 さらにゴール前に城壁を築き、スロベニア代表GKヤン・オブラクがビッグセーブを連発。スペイン紙「マルカ」によると、「バルセロナにはメッシがいる。ウチにはオブラクがいるんだ」と試合後に誇った守護神の活躍で耐え切る。

 延長戦に突入して95分にブラジル代表FWフィルミーノに一時は勝ち越しとなるゴールを奪われたが、王者の一瞬のミスを逃さなかった。2分後にリバプールGKアドリアンのキックミスからカウンターを浴びせ、途中出場のMFマルコス・ジョレンテがフィニッシュ。貴重なアウェーゴールを奪った。

 1点を奪わなければ敗退するリバプールの焦りを見透かしたように、アトレティコは前半アディショナルタイムにもう一刺しを入れる。再びマルコス・ジョレンテがリバプール守備陣の間隙を突くミドルシュートを叩き込み、試合を決定づけた。

 そして延長後半アディショナルタイム、途中出場のスペイン代表FWアルバロ・モラタがこの日3点目のゴールネットを揺らした瞬間、シメオネ監督とベンチの選手は一気に飛び出した。

 2019-20シーズン、ほぼ敵なしの状態で突っ走ってきたリバプールに対し、アトレティコリーガ・エスパニョーラで6位と不調に陥っていた。しかし、“シメオネ采配”と選手が見せた根性は、「マルカ」紙が「This is Atleti!」と、リバプールの本拠地に掲げられる「This is Anfield」をもじって称えるほどの120分間だった。(Football ZONE web編集部)

アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】